ドン・キホーテの安田氏は今でこそ自社ブランド商品「情熱価格」をドン・キホーテにて販売していますが、過去は PB商品を否定していました。では、なぜPB商品に否定的な意見を持っていたのでしょうか。今回はその当時の思いについてご紹介をしたいと思います。

『「低価格高品質の商品を提供するには、プライベート・ブランド(PB)商品の開発こそが重要だ」とする議論がある。アメリカの大ディスカウンター、ウォルマートのようにエブリデイ・ロープライスを実現するにはPB開発しかない、といいきる評論家もいる。だいたい評論家のいうことはアテにならないが、でも、これは本当だろうか?』

低価格高品質であるためにPBが必要かどうか。それは間違っているように思います。もちろん、私としては理屈を添えてしっかりとした返答ができないので、安田氏の意見を借りて記載いたします。

『確かにPBには、商品全体の相場を下げる効果はある。ウォルマートのような世界的規模を持つ小売店であれば、かなり安い価格設定も可能だろう。だが、一般的にはPB商品を開発しても低価格高品質ということにはならないのだ。』

PB=低価格高品質になるのであれば、各企業がこぞってPB商品の開発を進めるのではないでしょうか。では、なぜそのような方程式にならないのか。その点について話を記載したいと思います。

『たとえば亀の子タワシをPBでつくるとしよう。例があまりお洒落でなくて恐縮だが、私の体験なので仕方がない。勘弁してほしい。
亀の子タワシメーカーは日本国内には奈良県を中心に数社あるが、規模は零細であり、安い価格でPBを大量生産するのは不可能だ。一方、中国にあるタワシメーカーは、世界的大企業。シュロの葉から日夜膨大な量の亀の子タワシをつくっているタワシ界の巨人である。世界中を相手に膨大な量の亀の子タワシを生産しているその工場では、既にPB製造ラインができているため、安くつくるならそこに発注するのがベストだ。だが、先方はタワシ界の巨人だ。ウォルマートで100万個、Kマートで100万個というようなところに、ドン・キホーテが1万個といった規模で発注しても、歯牙にもかけてもらえない。ダイエー、イトーヨーカ堂クラスでようやく話を聞いてもらえるかな、といったところだ。』

※下記著書より一部抜粋
著書:流通革命への破天荒な挑戦!―ビジネスの原点は「常識」を疑うことだ