ドン・キホーテに足を一度でも運んでみるとわかることなのですが、その商品の陳列量は他店を圧倒するほど数多くの商品がずらりと並んでいます。そして、ドン・キホーテの特徴である「圧縮陳列」によって、見ている人にお宝探しの感覚を持たせる非常にエンターテインメント性に富んだ売り場づくりができています。そのようなドン・キホーテですが、良い商品を仕入れて販売するために、どのようなことを実践しているのでしょうか。その点について紹介をしたいと思います。

『ドン・キホーテでは手形は一切使わない。すべて現金払いであり、即金で仕入れている物もかなりの数に上る。これが2番目の「すぐに現金を払う」である。手形は何ヶ月か先でないと現金化できない。それに対して、即金であればその数ヵ月間、仕入先は資金を運用する、あるいは買い付けをするなどして新たな商売ができる。即金で支払えば仕入れ価格が安くなるのは当然なのだ。』

この現金払いがどれだけありがたいかを理解している人は多くないのかもしれません。実際に自分のお金で商品を仕入れてみるとよくわかるのですが、即金になるということは回収のリスクも無くなりますし、何よりキャッシュフローがかなり良好な状態となります。このようにメリットを自ら提供する姿勢があるから、商品を供給してくれるメーカーとの信頼関係が構築できるのではないでしょうか。

『これとは逆の発想に、オープンアカウント・システムというものがある。フランチャイズ・チェーンのコンビニなどが採用するシステムで、加盟店の売上げは即日入金させるが、納入業者への支払いは1〜2ヵ月後とし、その間本部が資金を運用するというものだ。本部にとっては人のふんどしスタイルのおいしいシステムだが、商品の価格が安くなるわけでもなんでもない。加盟店にしてみれば資金運用もできず、高い商品を仕入れなければならないという、二重苦のシステムだ。往復ビンタ、といったらいいすぎだろうが、FCコンビニの搾り取りシステムには唖然とさせられる。』

最近のニュースではコンビニの加盟料などに関する情報が世間を賑わせています。安田氏の指摘が随分と昔になされていたことを考えると、同じ課題を長年にわたりコンビニは持ち続けていたのだと感じますね。

『3番目の「相手にリスクを負わせない」というのは、返品をしない、つまり買い取りだということだ。「売れなければ返品する」というシステムは、販売店にとってはリスクがないが、仕入先にとってはたいへんなリスクを負うことになる。結果として、仕入先は価格を上乗せすることでリスクを回避しようとし、安い仕入れは不可能になる。』

※下記著書より一部抜粋
著書:流通革命への破天荒な挑戦!―ビジネスの原点は「常識」を疑うことだ