前回までのブログでは、ドン・キホーテの安田氏のやり方として、郊外という集客が非常に難しい店舗において、店舗をうまく軌道に乗せるにはどのようにしたら良いのか。そういった店舗の成功ノウハウを確実に積み上げてきたことについて紹介をしました。事実、そのような狙いがあったからか、都心に打って出たのはドン・キホーテ1号店ができてから9年間という期間を空けています。

 

『ドン・キホーテは売上げの上がりにくい郊外で独自の手法を完成させ、なおかつ都心に出られるだけの十分な力を蓄えて来た。だからこそ、これからが本格的な規模拡大の時期だといえるのだ。』

 

この都心に出たことが、大きな次の戦略に移行したタイミングなのではないでしょうか。もちろん、商圏内の人口が多い方が間違いなく売上は大きくなります。企業の売り上げや利益を大きくしていくためには都心への出店は必要不可欠な判断となるのだと思います。単純な成功をもたらせるために、都心店を早く作るのではなく、しっかりとした土台を作った上で、都心に店舗を展開し一気に店舗網を加速させていく狙いがドン・キホーテの安田氏にはあったのではないでしょうか。

 

『本格的規模拡大にはまず、人材の確保が必要だ。ドン・キホーテでは独特のストア・コンセプトに基づいた独自の売り場づくりが命だから、他でノウハウを身につけた流通業のプロを採用するわけにはいかない。人材は独自に育てなければならない。そのためにまず都心店をいくつか出店し、ここで人材の育成をする。都心店には、大勢の人員が必要で、しかも採用しやすいからだ。人材がストックできたら、その後は店舗の確保が比較的容易な郊外店を続けて出店して行くのだ。』

 

やはりドン・キホーテの安田氏には都心に店舗を構築した後の展開がしっかりと見えていたのだと思います。また、こうして見えていること自体が非常に戦略的な経営者のイメージを持つのに十分となるのではないでしょうか。

 

『出店に際してはコンビニはもちろん、大型ディスカウント・ストアが競合している地域でも躊躇はしない。現に大宮店は近くにダイクマとロヂャースという2大ディスカウント・ストアがあるが、売上げは絶好調だ。府中にも後からダイクマが出店してきたが、ダイクマ出店以降も府中店の業績は伸びている。業態そのものが違うから、従来の総合ディスカウント・ストアが同じ商圏にあってもドン・キホーテにとっては怖い存在ではないのだ。』

 

 

※下記著書より一部抜粋

著書:流通革命への破天荒な挑戦!―ビジネスの原点は「常識」を疑うことだ