前回のブログでは借金をしてしまうと、自分の首を絞めてしまうことにもなりかねないという意味でダイエーの例を紹介してきました。実際、年間の売上高で2兆円を超えているのにも関わらず、経常利益としては5億円程度であるという説明をしました。これは、その売上から考えた時に異常に低い経常利益率だと言えるのではないでしょうか。

 

『ダイエーの負債額は単体で6300億円、連結で1兆3800億円、グループ全体では2兆円を越すと言われているのだ。2兆円もの金を借りられる力も確かにすごいが、しかし借金は借金だ。いくら売上げを上げても、この借金がある限り利子だけでも天文学的数字となり、利益を出すのは非常にむずかしい。』

 

確かに、それほどまでに借金をさせてくれるというダイエーの信用はすごいのかもしれません。しかしながら、利子が膨らんでしまい、利益を出すのがどれほど難しいのかは想像するに容易いのではないでしょうか。

 

『製造業ならば、新技術、あるいは新製品を完成させるまでは1銭にもならない反面、完成しさえすれば開発費の借金は返せる可能性もあるが、それとはわけが違う。流通業はあくまでも商品という物の流れによって、生計を立てているのだ。融資を受けること自体がハンディだし、借金の癖をつけることは非常に危険だ。借金するということは自分の実力以上に振る舞えるということだから、ない力をあるように錯覚してしまうし、金利だって今は低金利だからいいが、いつ上がるか知れたものではない。』

 

なんの仕事をするのかは、非常に重要だと思います。ドン・キホーテのような業態であれば、イニシャルコストが大きくかかる業態ではありませんので、地道に身の丈にあった経営をする方が良いのかもしれません。

 

『ドン・キホーテは無借金経営である。元来私は、事業とは自己資金でやるべきものだと考えている。流通業は設備産業ではないのだから、製造業のように莫大な借金をしなければ先へ進めないということはない。店を開くためのイニシャルコストだってメーカーに比べれば安く済む。先へ行くだけの金がなければ、そこで立ち止まって考えればいいのだ。どうすれば現状を打開できるかと。借金に頼るのは簡単で、しかも素早く現状を打開できる手段だが、いちばん怖い方法でもある。』

 


※下記著書より一部抜粋

著書:流通革命への破天荒な挑戦!―ビジネスの原点は「常識」を疑うことだ