前回デパートが構造不況となり、売上げの低迷を招いた事について本ブログで触れました。では、実際に安田隆夫氏がその点についてどのような意見を持っているのでしょうか。今回の後編のブログでは、個人の見解について紹介をしていきます。前回は、デパートは土地の賃貸を行っている、委託販売だということを説明しましたので、その続きより引用します。
 
『リスクゼロは本当にメリットなのだろうか?短期的にみれば、確かにリスクがない分、楽な商売だといえる。売上げが減れば、売上げに応じて入るマージンも減りはするものの、店子が入っている限り家賃収入があり、なんとか日々を送っていくことができる。
ところが、長期的視野に立てば、リスクゼロだったはずのシステムが、とんでもないリスクをはらんだシステムだったことに気づくのだ。
それはこういうことである。売れ残りはメーカーには死活問題だが、デパートにはあまり痛みを感じさせない。この痛くないということは、どういうことか?改善の必要性も感じないし、その原因を探ったり、今後どうしたらいいかも考えたりしないということである。
人は痛みを感じなければ、真剣に何かを変えようなどとは思わないものだ。それは、往々にして、痛みを伴わない病気が、死に至る病となるのに似ている。痛みを感じたときには既に手遅れで、もう手の打ちようがない状態になってしまっているのだ。
デパートは都心の一等地にあり、知名度もあり、資本もある。おまけにほとんどが創業200年とか100年だから、その土地の減価償却はとっくに終わっている。場合によっては建物もそうだろう。そんな好条件に恵まれているにも関わらず赤字というのは、よほど経営者に改革意欲がないか、それともデパート商法そのものが存在理由を失っているのか、どちらかとしか考えようがない。』
 
このように紐解いていきますと本当に難しい問題ですね。病に例えると本当にわかりやすいなと思いますが、確かに痛みを伴わない病にかかると人は対処が遅れてしまいますね。
それが商売であると既にまわりは遥か前から手を打っており、取り残されたのは自分達だけという状況となり、いくら資本があろうとも母体が大きいだけに中のオペレーションを変えられず、変化に敏感ではないので、動きの先見性がないなど、様々な課題が見えてきます。
難しい経営とは言え、やはりこの仕組みに気がつく気がつかないというのは大切な事ですね。
 
 
※下記著書より一部抜粋
著書:流通革命への破天荒な挑戦!―ビジネスの原点は「常識」を疑うことだ
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