エリアフ・インバル指揮、東京都交響楽団のコンサートに行ってきました。

ホールは、東京芸術劇場でした。

都響のコンサートでは珍しく空席が多いコンサートでした。

配置はVcが客席側で、1stVn、2ndVn、Va、Vc、矢部コンマス・四方さん、双紙さん・遠藤さん、鈴木さん・篠崎さん。古河さん・長谷部さん、山本さん・池松さん、ずらりと各パートの首席が並ぶ1列目は壮観でした。（1人を除き）

プログラムは

ウェーベルン　管弦楽のための6つの小品

ブルックナー　交響曲第4番「ロマンティック」（ノヴァーク　1874寝ん第1稿）

アンコールはありませんでした。

まずはウェーベルン。

新ウィーン楽派って食わず嫌いであまり聴く機会がありません。

クラシックオタクではありますがCDもカラヤンの3枚組を持ってるだけです。

しかもそれもほこりに埋もれてます。

ということで演奏の良し悪しは良くわかりませんが鈴木さんのVaソロがとってもきれいでうっとりしました。

矢部コンマスや古川さんのソロもありましたが鈴木さんのソロが耳に残りました。

あとは打楽器の使い方が効果的で静かな中に深みを与えてとても深遠な響きでした。

これなら新ウィーン楽派でも聴き易いかも。

15分の曲の後20分の休憩を挟んでブルックナー。

インバルでブルックナーの4番を生で聴くのは3回目です。

オケはいずれも都響、最初が第1稿、2回目がポピュラーな第2稿ノヴァーク版、そして今日。

曲全体は粗削りな印象でおよそ「ロマンティック」ではありません。

今日聴いて驚いたのは第3楽章も第2稿とは全く別物だったことです。

以前聴いた第1稿の時は1～3楽章は第2稿とあまり変わらず第4楽章は聴いたこともない別の音楽でした。

今日は第3楽章と第4楽章が聴いたこともない別の音楽でした。

大昔に聴いた第1稿と今日の第1稿、どこが違うのか興味深いところですが大昔に聴いた時の資料が手元になくNETで探して比較してみるしかなさそうです。

今日初めて聴いた第3楽章、第2稿より好きです。

しつこい繰り返しで1stVnと2ndVnの裏のメンバーは何度もパート譜を捲ったり戻したりを繰り返していました。

数えてはいませんでしたが4～5回は前のページに戻していたと思います。

ブルックナーって荘厳な響きで重層的な音の積み重ねとしつこい繰り返しで分厚くまとまった破綻のない音楽のイメージです。

教会で遠くまで重く響くオルガンがイメージされます。

でも今日の4番はブルックナーらしからぬ野性味を残した粗削りで時に猛々しさも残る素が感じられる音楽でした。

ブルックナーといえば、大人しく控えめでいつも自信なさげなイメージでしたが、今日は「喧嘩っ早いところもあるんじゃん」とイメージが変わりました。

どうしても過去にイメージづけられた固定観念で見がちですが今日はブルックナーの知らなかった一面を垣間見た気がします。

ベートーヴェンの会話帳をシンドラーの加筆や改竄前に戻してみると意外と冗談好きな気さくなオッサンだった姿が垣間見られるそうです。

もじゃもじゃ頭で眉間にしわを寄せたイメージはもしかした違っているのかもしれません。

今年の締めくくり、スカスカのホールにはもったいない熱演を堪能しました。

インバル ＆ 都響

インバル＆都響