30-Mustang-U.S.A.1964-No.30(7/23) | maidoの”やたけた”(ブログ版)

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メスティン(グ)?

表で聞きなれないクラクション。
ドロシーが真っ赤なオープンカーに乗っています。
黒のオールズモビルと買い換えたそうです。
又極端に違うのを買ったものですね!
「ガス(ドロシーのご主人)ってやさしいのね」とコラリア。
「中古を買ってくれる程度にはね!」
中古といっても発売以来そんなに経っていないらしいんですね。
新車なら2300$以上するのを、安く買ったんだそうです。
2300$としても80万円ちょっと?
セドリックでも100万円を越えてたと思うけどなぁ?
コラリアに訊くと「そんなものよ、少し古くてもよかったら、一夏働けば買えるわよ」
「エ~ッ!日本なら夏休み中バイトしても、自転車を買うのがやっとですよ」
「どうして?」
それは難しい質問です、ホントにどうしてなんでしょう?
シスコの市内バスが25¢=90円、シンセイ一箱40円の倍以上には驚いた。
すると、アメリカは他の物価に較べて、自動車が凄く安いのかな。

ご近所も皆出てきて、ワイワイと品定め。
交代で運転席にすわったり、ボンネットを開けてエンジンを見物。
又、でかいエンジンですね!これでも一番小さいモデルだそうです。
トランク、ダッシュボードまで開けたり閉めたりしてチェック。
はては、屋根をセットしたり大騒ぎです。
モーリスとは全く正反対の性格の車ですから、ロジャーが居れば面白かったでしょうね。

自動車の事になると異様に話が弾みますね。
お向かいの奥さんが運転席に座ってみて「素適ね、ウチも絶対これにするわ!」と宣言しました。
ドイツ危うし!
「コンパクトでしょ!」
確かにあの戦車みたいなオールズモビルと較べたら少しは小柄ですけど、これってセドリックよりズーッと大きいような気がします。
モーリスとなら2倍以上は有りそう。
それにしても、エンジンの大きさをキューッビック・インチで言うのには戸惑います。
長さのインチはまだしも馴染みが有りますが、一体どのくらいの大きさか見当がつきません。
何故、oz(約30cc)、pint(約480cc)、gallon(約3800cc) を使わないんでしょうね?

アメリカに来て意外だったのは、かなり古い形の車が走っていること。
長い期間同じ自動車に乗りつづける人が多いんですね。
それと、大きな中古車屋が多い。
日本では自家用車を持っているお金持ちも、ウチみたいにやっとトラックを買った商売人も、4年か6年で乗り換えるようです。
もっともウチはまだ買って2年足らずですから、買い替えなどはとてもとてもです。
此処では10年以上乗っている車なんてザラみたいですし、大概の修理は自分でするんですね。
高校生なんかは、安い古い年式の中古車を自分で改造して乗ってます。
車検なんかはどうなってるんでしょう?

通信販売のシアーズ・ローバックのカタログを見ると、あらゆる物が掲載されています。
衣料品、荒物、金物は勿論、車の部品でもマフラーどころかエンジン本体、モーターボートとか、果樹の苗、納屋、丸木小屋風の家のキットまでカタログに載ってるんです。
この6cmほど厚さのあるカタログは、目下のところ私の教科書。

「どう、今から家まで来ない?」
ハイハイと喜んで乗りました。
しかし大きなドァですね。
4ドァにすれば乗り降りしやすいのに、デザイン重視?強度的な問題かなぁ?
助手席は当然コラリア、キャシーと私は後ろ。
「狭いでしょ?Two plus Two だから」
いえいえ、モーリスに較べたら大広間みたいです。

ガン!と後ろから蹴飛ばされたように飛び出したかと思うと、飛ばす飛ばす。
オールズの時はもっと滑らかな大人しい運転でした。
車が変ると性格も変るんでしょうか。

生まれて初めてオープンカーに乗ったけど、ちょっと恐ろしいのは運転手のせいで、車のせいではありません。
オールズよりクッションが固め、モーリスよりは柔らかい感じがします。
加速は凄いですね、こんなのでぶつかったら乗っている者は、絶対に宙を飛びますね。
後ろに座っていても、時々思わず右足に力が入ります。
なんだか、体中に力が入って肩が懲りそう。
それさえ辛抱すれば、爽快です、ジェットコースターみたい。
コラリアは平気な顔をして、助手席で寛いでいるけど、度胸が据わっていますね。
キャシーは朝からズーッと母親が車を見せびらかしに廻るのに付き合ってるそうです。
この子も見かけに似合わず度胸がありますね。

しかし、感情を素直に表現するのが、こんなに難しいとは思いもよりませんでした。
そりゃぁ、アメリカにだって内気な人も、無口な人も居るのでしょうが、今までに会った人達は言葉と身振りで精一杯表現します。
個人の性格によって、いくらか差は有るでしょうが、嬉しい時はストレートに喜んで、周りも変にひがんだりしないのは、見ていて気持がいいですね。
判りやすいし、アッケラカンとしていて、ここの気候にピッタリ。
悪く言えば、子供っぽい?
私も、短期間の間に、相当性格が乾燥してきました。
こんなに爽やかな風と、透き通った日差しの中でウジウジしては居られません。
と言いながら、照れ臭さと、恥かしさがどうしても邪魔をします。

この車、サンドラ・ディみたいな若い娘が、トレアドル・パンツにギンガムチェックのシャツ、ポニーテールをなびかせて乗ったら似合うでしょうね!
チューズデイ・ウエルドでも良いかな?
カトリーヌ・ドヌーヴならシェトロエン、クラウディア・アカルディナーレはアルファのジュリア・スーパーでしょうね。
ロミー・シュナイダーはオペル、ドリス・ディならダッジでしょうか?
ブレンダ・リーは絶対シボレー、オゥドリー・ヘッバーンはべスパの印象が強すぎて他に思いつきません。
ドロシーもどちらかと言えば美人、いや美人。
けど今のこの取り合わせでは、う~、車が可哀想。
一番似合ってないのは、後部座席の日本人か・・。

車って言うのは、乗っている人によって雰囲気が変るもんなんですね。
乗っている車によって人の雰囲気が変るというのもありますね。
うっかり妙な事を口走って、変な所で降ろされたら一大事。
途中で降ろされる事も、事故も無く無事到着。
どっと疲れてしまいました。

2003/05/02:初出
2022/05/09:再録

31-Birth Day 七面鳥と初遭遇-U.S.A.1964-No.31(7/23)
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