てんやわんや-2
K君が真剣に TV Dinner を並べて考え込んでいるので、今夜どれを食べるのかを考えているのかと思ったら、違うんだそうです。
明日昼食会となると、6種類全部制覇出来ないので、どれを外すか考えているんだそうです。
本気で朝昼晩これを食べる気ですねぇ。
「そんなん簡単や、今日夜食に1つたべたらええやん」
「アッ、そうか。そやな」問題は一挙に解決。
今夜は French delight。
今度はちゃんと説明を読みます。
デザートは先に取り出してから温めなさいと書いて有ります。
カスタード何とか?プリンか?
他には茶色いシチューみたいなのと、クリーム色の正体不明、野菜等。
これなら暖めても大丈夫。
チィーンと暖まりました。
シチューみたいなのはまずまず食べられますが、クリーム色のは暖まっても正体不明。
何だかくどい味がします。
「何や嫌いか?」
「お前好きか?」
「こってりしてて美味しいがな」
「やるわ、食べて」
「そうか?好き嫌い多いなぁ」
好き嫌い多いと言われたのは初めてですね。
K君が異常に物食いがよすぎるんですよ。
デザートは溶けずにカチカチのまま。
「これ温めるんと違ごたんやろか」
「此処に取り出せて書いてあるで」
「まぁ、凍ってるねんから大丈夫、傷んでないよ」
アイスキャンデーみたいに齧るとけっこう美味い!
「おい、隣の絵のも取り出すように書いてないか?」 「オッ、ホンマやなぁ?何たらチーズて書いてあるで」
「読んだんちゃうんかいな?」
「デザートのとこだけはな、美味しい言うてたんやから、ええやんか」
「そやなぁ」
「スピーチて嫌やなぁ!」
諦めの悪い奴ですね。
掛け軸に書いて残すわけでなし、聞いたほうは直ぐ忘れるから、心配ないと思うんですがねぇ。
仮に覚えていられても、たかが学生の言う事で国際問題に発展する事も無いでしょうしね。
第一そんなに複雑な難しい挨拶なんて、先方も期待してませんよ。
バタバタバタとトムが帰って来ました。
ハイ!と渡したスピーチの原稿は思いっきり簡単。
お招きいただいてありがとうございます。
私は〇〇ともうします。
皆さんにお会いできて、大変幸せです。
今日の会合を切っ掛けに、将来〇〇クラブとXXクラブの友好が一層深まる事を希望します。
これはエエ、私も控えて置こう!
書き写して大事に持っていたんですが、結局使う機会は有りませんでした。
K君は「こんな長いのを言わんとあかんのかいな?」ってこれ以上は短くできないでしょう?
トムがタイピングしてくれた紙を持ってブツブツやっています。
「原稿持って、読んだらアカンかなぁ」
「ええのんちゃうか?」
「ほんならそうしょ」
8月15日の夜のボブの送別会といっても別に会場が有るわけでなくて、Belmont のダウンタウンにあるドライブインに同級生が集まって一晩中遊ぶんだそうです。
遊ぶって、何をするのか?と聞くと「色々さ!」
夕食は最期の夜だから家族とするので、集合が23時。
ニワトリ型の生活パターンの私にはツライ話です。
しかしボブの送別会となれば何が何でも参加したいしなぁ。
21~22日の Lemoore でのマリーン体験入隊は13:00に受け付けて、翌日昼食後解散だそうです。
参加費無料!
23~29日のアルバイトは牧場。
牧場!それは凄い、カゥボ-イか!
しかしカゥボ-イってピストルで決闘したり、酒場で喧嘩したりする以外に、何をするんでしょうね。
場所は Lemoore の近くなので、体験入隊が終わった後で、22日の夜に行けば泊めて貰えるそうです
出直さなくて良いから楽ですね、晩飯も食べさせて貰えるんですって。
トムは「飯の味は期待するなよ」といいますが、まさかカイバやマグサを食べさされる筈は無いから、大丈夫でしょう。
ただし、アルバイト料は23日から。
給料はする仕事によって5$~10$の間だそうです。
エライ差があるなぁ?と言ったら、5$の仕事は掃除が主で、10$は運転免許があって、馬と牛の扱いに経験がある場合だそうです。
去年トムが2週間働いた時は、7$だったそうです。
黙って聞いていたK君が、突然「判る!喋ってる事が判るわ。外人のんは大体やけど、お前の言うてることはほとんど判る」と叫びました。
私は難しい単語を知りませんし、発音もカタカナ、そんのものが理解できても何んにもならないと思います。
しかし、トムが喋っている事がかなり聞き取れたとは!
元々の英語力はK君の方が有るみたいですねぇ。
「これやったら、お前みたいに残ってもやっていけるかも知れへんなぁ。」
「オオ、絶対いけるで、残るか?」
「うん、明日1日考えるわ」
「お金あるのんかいな」
「山登りしてる間はお金使う所あれへんかったから、丸ごと500$残ってるねん。日本円も10万くらい有るけど、足らんやろか」
殴ってやろうかと思いましたね。
「そんだけ有ったらこんなとこで留守番してんでも、ホテルに泊まって、悠々と旅行できるがな。ニューヨークでもシカゴでもテキサスでもいけるで」
「そやけど言葉がなぁ」
「お金あったら言葉の代わりしてくれるんちゃうか。残念ながらそんな経験無いけど」
「一人やったら面白無いしなぁ」
「そら、帰らなしょうないなぁ」
「そうやなぁ」
トムが怪訝そうな顔をしているので、話の内容を説明すると、K君に話し掛けました。
「グレイハウンドの割引を使えば、それだけ有ったら何処へでも行ける。ボストンも良いし、北の方も良い。南は場所によっては日本人の一人旅はどうかなぁ?どういうところへ行きたい?」
K君がキョトンとして「アカン、全然判れへん!やっぱり帰るわ」
トムに言うと、頭を振って「休暇が有って、お金が有って、しかもアメリカに今居るのに!理解できない」
「何やて?」
「こんなチャンスを使わんのが判らんねんて」
「もっと長い事喋ってたで」
「かいつまんで言うてるねん」
「そうか、すまん。そやけど、そんな事言うても、泥棒にお金でも取られたら一巻の終わりやんか。やっぱり帰る」
泥棒ねぇ、全くそういう可能性は考えてませんでしたね!
私、ちょっと抜けてるんですねぇ。
Tanakaさんから電話が有って、ヨセミテ行きは今週は無理で8月18日の水曜日になったと言う事です。
「予定はどう?一緒に行けるかい?」
「はい、是非お願いします」
「何処へ迎えに行けば良い?」
「ありがとうございます、キャンプの帰りに寄ってもらったサウス・サンフランシスコの家です」
嬉しいなぁ!本当にヨセミテに行けることになりました。
「今の電話、日本人?」
「いや2世やけど、日本語上手な人やねん」
「そうか、日系の人は日本語通じるんや!」
「俺も最初そう思って、えらい目に逢うてんで。1世以外はアカンと思たほうがエエみたいやで」
「そうか、アカンか・・・」
「2世は日系いうても、アメリカ人やもんなぁ」
「そうやなぁ、アカンか。おい、夜食、食べようや」
Neapolitan sunset を3つ取り出しました。
トムは一目見るなり「遠慮しとくよ、ちょっと晩御飯を食べ過ぎたんだ」
いくらトムでも、それは信用できませんね、これって、そういう食べ物なのかなぁ?
金持ちでも意外に食生活は質素なのかも知れません。
いや、普段はレストランに食べに行って、冷凍食品は非常食?
まぁ、どうでもいいや。
デザートは又もや正体不明。
明日はK君と一緒にあの市長(?)さんに会うんですよ、何となく胸騒ぎがしますね。
2003/07/08:初出
2022/04/04:再録