65-丈〇君現る-U.S.A.1964-No.65(8/10)ー再録 | maidoの”やたけた”(ブログ版)

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何でお前が!

せっかく Amrine さんが見つけてくれたアルバイトです。
遅刻しては一大事なので、坂を歩いて下ってブレントウッドのバス停に8:00に到着。
サンマテオ行き車線はこちら側なので広いエル・カミノを渡る事もなく楽勝です。
シスコ行きは車が多いけれど反対方向はガラガラ。
やってきたグレイハウンドもほとんど空席。
途中の Bus Stop は乗降客が居ないのでドンドン跳ばして、30分前にダウンタウンに着いてしまった。

いくらなんでも早すぎるから、そのあたりをウロウロしているとブチのワンコロが現われてフンフンと匂いを嗅ぎながら尻尾を振っています。
しゃがみこむと膝に前足をかけて顔を舐めようという気配です。
体の割りに頭のでっかい目玉のギョロッとした、どちらかと言えば不細工なワンコロです。
朝からこんなのに顔を舐められたのでは、今日1日が不細工尽くしになりそうです。
適当にあしらっていると、アレッ?首輪に紐が付いています。
これは逃亡犬か?

道の向側で「Oh!My!」と大きな声がしたので見ると、銀髪の縦横同寸みたいなおばあさんが、こちらを向いて喚いています。
どうやらこのワンコロの飼い主みたい。
喚いていないで道を渡って来りゃぁ良いのに。
片手に細いステッキを突いてますね、足が不自由なのかな?
紐を持って道を渡るとワンコロがおばあさんに飛びついて喜んでいます。
「あなたの犬ですか?」
「Yes!My Boy!Thank you, Thank you!」
証拠も何も無いのですが、犬とおばあさんの態度を見る限り間違いなさそうです。
聞き取りにくいお話から想像すると、散歩の途中でネコを見つけて、紐を振りほどいて行方不明になったんだそうです。
このワンコロも、飼い主が道の向かいに居るのなら、私に構わずに行けば良いのに!
大して賢い犬とも思えませんね。

この犬、後で知ったんですが、スヌピーと同じビーグルと言う種類だったらしい。
ピーナッツは知ってましたが、スヌーピーとは結びつきませんでしたねぇ。
あれは現物より可愛く描き過ぎですねぇ。
当時、日本ではこの手の犬は見んかったなぁ。

時計を見ると丁度良い時間になったので、Amrine さんの事務所に行きました。
事務所に入ると直ぐに立って来て「今から、Anderson さんのところに行こう!」
エッ?何でここでAnderson さんがでてくるのかな?
車の中で事情を聞くと、昨夜アンダーソンさんの所に日本人が転がり込んだんだそうです。
「空港からタクシーで市役所に行ったらしいいんだが、時間が遅かったのでどうしていいかわからず、持っていたアドレスを頼りにアンダーソンさんの所へたどり着いたらしいんだ。言葉が余り通じないので詳しい事は判らないけれど、姉妹都市の関係らしい。今から行って間違いなければ、一緒に留守番をして君が面倒を見てくれれば助かるんだ」
言葉が余り通じないのは私も同じようなもんで、少々耳が痛いですね。
それにしても、えらく藪から棒な話しですね!
「事前に何も連絡は無かったんでしょうか?」
「クラブに、『会員の息子が8月にそちらに行くかも知れないが、もし行ったらよろしく頼む』と手紙は来てたんだが、はっきりした日を書いてなかったし、その後連絡もなかったんだよ」
何とまぁ、アバウトな話ですねぇ。
私もそうですが、この夏サン・マテオは、とんでもない奴の当たり年ですね。

そうこう言っている内にアンダーソンさんの所へ付きました。
中に入ると紺の背広を来た、私と同い年くらいの日本人がかしこまって座っています。

オヤッ、何処かで見たことがあるような?
向こうもこちらを見て怪訝そうな顔をしています。
思い出した!今年の春の連休に空木岳の避難小屋で、吹雪で2日間一緒に缶詰になった、関〇大学の山岳部の副将に似ていますね。
「山で会いませんでした?」
「あぁ、あの時1人で木曽側から登って来てはった・・?」
「やっぱりそうか!空木やったね?」 「丈〇です」
「そうや!丈〇君いうてはったね、副将?」 「そうです、そうです」
まさかこんな所で会うとは思っていませんでしたね。
2日間吹雪で足止めされて、暇つぶしに色んなことを話したのを思い出して来ました。
たまたま同じ市に住んでいて、私が浪人を1度しているから大学の学年は相手が一つ上。
彼は大学付属の高校に進んだけれど、中学時代の友達が私と高校が一緒だった事や、3駅大阪よりの町の洋服屋の息子である事など。

「どないしたん?何でこんなとこに居てるのん?」
「山岳部のOB主催のマッキンリー遠征に参加して、アラスカに行った帰りやねん」
「ワ~、マッキンリー登ったんかいな!」
「サポートやから中途までしか行ってへんねん」
「どうやった?」 「夏やからええけど、積雪期はとてもや無いけどきついで、ポーラーメソッドやないと、どうにも出来へんやろなぁ。僕ら、夏でもポーラーメソッドでやってん。それはエエけど君こそ何で居てるのん」

傍らで見ていた2人が驚いた顔で「お互いに知ってるのかい?友達?」
アッそうか日本語で話しているから、全く判らないんですね。

「知ってます。私も会って驚きました」
「それは良かった、じゃぁ、一緒に留守番してくれるかい?」
「はい」
Amrine さんが電話をかけています。
簡単に終ったところを見ると、話しは上手くいったみたいです。

以後、丈〇君はK君とします。
その後何と、資産家の婿養子に迎えられて、姓が変りましたが、今でも北摂在住。

「いまから Mr. Kenneth Morris に会いに行くぞ。荷物はまとまっている?アンダーソンさんお世話になりましたね、ありがとう。じゃぁ夕方のミーティングで!さぁ、行こう、行こう!」
「 Mr. Kenneth Morris who?!(Kenneth Morris さんって誰です?!)」
「Grass man!(ガラス屋さ!)」
「What?(何です?)」
「Employer!(雇い主!)」
どうやら留守番をするお宅のご主人みたいですね。

大荷物を抱えたK君と車に乗り込んで、又もやダウンタウンへ。
着いたのは大きな倉庫が隣接している会社。
ドンドン事務所に入ってゆく Amrine さんの後を訳も判らずに付いて行くと、立派な部屋にずかずかと入ってゆきました。
「彼らが留守番さ、こっちが最初に話していたた〇〇、こっちがさっき電話で頼んだ分。じゃぁこれで失礼するよ、良い休日を!」
Amrine さんは消えてしまいました。
あれよあれよといっているうちに話しが進んで、全く初対面の人の応接間に取り残されて、どうすればよいのか?

座りなさいという身振りに座ったものの、落ち着きません。
K君はもっと心細げ。
凄い金髪の美人がコーヒーを運んでくれました。
「さて、(Well)」と座った Kenneth Morris さんは
「二人でも1日5$だけど良いかい?」
「はい結構です」
「じゃぁ、行こう!」
「何処へ?」
「勿論、家へさ!」
まだコーヒーも飲んでいません。
全く目まぐるしいですねぇ。
又もや大荷物を抱えたK君とオタオタと後ろを付いて行くと、倉庫の側に停まっているのは、デッカイ「キャディラック」。
この方お金持ちみたいですね。

アレ、車はエル・カミノをシスコに向かっていますよ?
「言っていなかったっけ、家はサウス・サンフランシスコに有るんだ」
「私、今そこに居るんです」
「ソウだってな、Green Wood Drv. とは2マイルチョッと離れてるかなぁ」
それなら歩いても1時間も掛からない距離です。
何だか、凄く安心。

けど、一体これからどうなるんでしょう、K君は呆然と景色を眺めています。
そうだ、トムに連絡しないと・・。

2003/07/02:初出
2022/04/04:再録

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