寝酒について考えてみましょう

 

睡眠薬代わりの酒
厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠指針 2014」の第2条には「睡眠薬代わりの寝酒は睡眠を浅くする」とされ『アルコールは、睡眠薬代わりに少し飲んでいる場合でも、慣れが生じて量が増えていきやすいことが知られています。アルコールは、入眠を一時的には促進しますが、中途覚醒が増えて睡眠が浅くなり、熟睡感が得られなくなります.』としています。一杯やらないと寝付けない人は多いのではないでしょうか、僕がまさにそうで毎晩欠かせません、しかし「酒で得たものは、酒で失う」という至言の通り、酒が抜けたときに起きる離脱症状が不安や不眠を誘発することもあるのです(僕にはありませんが)。

 

晩酌と寝酒は別のもの
夕食時晩酌として適量を飲む酒はリラックス効果をもたらします、しかしこの「適量」がなかなかくせものですね。体重60Kgの成人男子のアルコール分解能力の平均は日本酒1合で平均3時間、つまり寝る3時間前だったらお銚子1本、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯、この程度なら寝つきには良い影響を与えられるそうなのです(飲んだうちに入りませんね)、しかしあくまでも晩酌の話、寝酒は別問題です。寝酒に頼るということは脳内の睡眠機能が働いて眠らせるのではなく、脳全体に麻酔をかけるようなもの、アルコールが抜ければ眠りも浅くなり理想的な睡眠薬とはいえません、また酒量も一定以上に達しなければ効果が表れません、少量の酒ではではむしろ興奮作用のほうが強くかえって眼もさえてしうそうなのです。

 

寝酒は睡眠を邪魔します
人はアルコールに耐性を持っているので毎晩飲めば体も慣れてきます、結果酒量は当然増えアルコール依存症になる危険性も高まるのでさらに危険となるわけです。また、たとえ眠られたとしてもアルコールは脱水症状を引き起こすので、喉が渇き夜中に目が覚めてしまうこともあります。それから人間は夜寝ているときには尿を作らないようにする抗利尿ホルモンが働くそうです、そのため日中の4分の1くらいしか尿がつくられないので、就寝中に尿意をもよおすことはあまりありません、ところがアルコールはその働きを邪魔します、だから夜中にオシッコで目が覚めてしまうわけです。

 

不眠の恐怖から飲む酒はやめましょう
深酒をすると普段いびきをかかない人でもガーガーはじめることがあります、理由は諸説あるそうですがアルコールの影響で脳の呼吸中枢が抑制される、あるいは血管が拡張することで循環器系に変化が起きるのではないかと考えられているそうです。いびきをかくと酸素を十分取り込むことができません、だから熟睡できないわけです、そして飲み過ぎれば翌朝きびしい二日酔いが待っています。普段、晩酌をしてしっかり眠れているのならこれは「幸せ」であるわけなので無理にやめる必要はありません、しかし不眠の恐怖から飲む酒はおすすめできません。酒に頼らず寝る方法はいくらでもあるのです。

 

寝酒は自然な酒ではない、そこをきちんと理解して付き合っていけ、というのですがどうでしょう、割り切れますか?