東日本大震災「宮脇昭 緑の長城 いのちを守る300キロの森づくり」テキスト版 | どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」

東日本大震災「宮脇昭 緑の長城 いのちを守る300キロの森づくり」テキスト版

昨日アップした映像 のテキスト版です。

「いのちを守る300キロの森づくり」
著作/仙台輪王寺
監修/宮脇昭
制作/イトオン

1・今までの防潮林(アカマツ・クロマツのみの防潮林)

なぜ今までマツ林による防潮林だったのか?
マツは成長がはやく、塩に強い。日本人のマツ信仰?
どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」
海          防潮林(アカマツやクロマツ)         民家・学校・田畑


【津波災害時】
震災時、津波により多く根こそぎ倒されてしまった。
松は年を重ねるとあたまが重く倒れやすいため、流木となり危険であった。
その土地の植生に適合していない。
1種類の樹木による林は病気や害虫に弱い。

どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」
        →波                  →波      民家・学校・田畑 
流木となった木は、人や建物に危険をもたらす。


【引き潮時】
引き潮によって、多くの人々の生命や財産が、海に流された。

どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」
              ←引き潮     ←引き潮        民家・学校・田畑



2・これからの防潮林(生命と財産を守る緑の防波堤)

【特徴】
それぞれの土地の樹種の選択が基本。
その土地本来の深根性・直根性の様々な樹木が互いに支えながら成り立つ森は、
最も自然の力強い状態であり、病気や害虫にも強い。
多種のポット苗を混植密植させて、植えてから2~3年は除草しなければならないが、
あとは管理不要。世代交代を重ねながら、次の氷河期が来る9000年は保たれる。
将来、超高木は伐採して地域経済に役立たせる。後継樹が待っているので
森の防災環境保全力を維持しながら地域と共生する。
人為的影響がなければその土地にあるべき森なので、自然環境教育に最適。

どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」
 海                                     民家・学校・田畑
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その土地本来の色々な種類の常緑広葉樹(潜在自然植生)による森
(高木・亜高木・低木・草本植物による多層群落の森)
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高木:タブノキ、シラカシ、アカガシ、ウラジロガシetc
亜高木:ヤブツバキ、モチノキ、ユズリハ、シロダモetc
低木:ヒサカキ、マサキ、ヤツデetc

深根性・直根性で地中にしっかりと根を張り、根こそぎ倒れることはない
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通常時は防風林や防砂林として機能し、
地域の憩いの場として活用できる。
気候の緩和、地球温暖化にも貢献。
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【津波災害時】
多層群落の森が緑の壁となる。津波を粉砕し、その効果による津波のエネルギーが減殺されて、
水位と速度が下がり、避難する時間を稼ぐことができる。

どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」
          強→       →   →   →

【引き潮時】
引き潮の際には、漂流する人々や、財産が海に流出するのを食い止めることができる。

どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」
漂流する人々や、財産を食い止めることができる。          ←引き潮


どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」
新日鉄釜石シラカシ37年目(2011.4.27)
※1974年に宮脇先生が新日鉄釜石工場に植樹した土地本来の木、シラカシは無事が確認されました(工房どんぐりすと注)

どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」
大津波を止めたタブの木の根。(南三陸町)
※被災後の現地調査で撮影した写真です。(工房どんぐりすと注)


3・震災復興 防潮林堤の提案

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震災によってでた、大量の瓦礫の山、その中の毒と

分解不能なもの以外を有用な地球資源として活用。
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どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」

被災地の瓦礫の山を選別し、穴を掘って埋め、土と混ぜる。
どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」10m
   ↓   ↓   ↓   ↓


その上にマウンド(植栽地)を形成する。マウンドを高くすることで、
津波に対してより安全性が高まる防潮林堤となる。
市民とともに植樹することにより、安全への意識が高まる。
15~20年の短期間で生命と財産を守る豊かな森ができる。

どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」
瓦礫のマウンド
地表~上部 20~30m
地下 10m
幅 30m以上
瓦礫:毒と分解不能なものを取り除いた瓦礫。(コンクリートや木材など)


【震災復興における防潮林堤の優れた点】

被災現場の廃材を有効利用することにより、運搬などの
無駄なコストを省ける(経済性)。
燃やさないので、環境面にも良い。

どんぐりすとの「森づくり」と「ものづくり」
瓦礫と土壌の間に空気層が生まれ、より地中に根が入り、
根が瓦礫を抱くことにより、木々が安定する。
有機性廃棄物は、年月をかけて土にかえる。

地表から木々の上まで高さ40~50m
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その土地本来の色々な種類の常緑広葉樹(潜在自然植生)による森
(高木・亜高木・低木・草本植物による多層群落の森)
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高木:タブノキ、シラカシ、アカガシ、ウラジロガシetc
亜高木:ヤブツバキ、モチノキ、ユズリハ、シロダモetc
低木:ヒサカキ、マサキ、ヤツデetc

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通常時は防風林や防砂林として機能し、
地域の憩いの場として活用できる。
気候の緩和、地球温暖化防止にも貢献。
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以上、仙台輪王寺著作、監修宮脇昭、制作イトオンによる
資料をもとに、転載の許可のもと
テキストとして再編集いたしました。

映像版 東日本大震災「いのちを守る300キロの森づくり」は→こちら