「非行」とは、犯罪のうち少年によるものをいいます。

非行だなんて、我が家とは無縁だわ…とお考えでしょうか?

けれど、残念ながら身近なことばかりです。全く知らないでいるよりは、少なくとも保護者や教育者など子どもたちの周りにいる人には、ある程度でも関心をもっておいていただきたいことばかりです。

生まれてきたばかりの0歳からはじまり、子どもたちは身体だけが成長するのではなく、精神的にも発達していきます。

その中で概ね中学・高校生のころを思春期と呼んでいます。

「思春期の子育てに 何となく不安を感じる」ということを感じたり、あるいは見聞きしたりという経験は多くの人にあるのではないでしょうか。

そしてご自身の記憶をたどって「ああ、確かに」と思い当たる人もいるかもしれませんが、この頃は非常に不安定な精神状態にあります。自分でもよくわからないけれど何だかイライラしてしまうとか、わーっと騒いだかと思うとシュンとして人と関わるのさえ億劫とか、親のちょっとした小言に大きく反発するとか、いろいろな形で現れます。

(☆どんぐりっ子は、そういった状態にならないと言われていますが、その話はまた今度。←私の知る限りは、ほぼその通りです。)


この不安定な時期に、非行は多発しています。

その非行少年の心理的一般的特徴を挙げると…

・対人不信感の強さ

・自己肯定感の低さ

・フラストレーションに耐える力の乏しさ

・「誰かに救ってほしい」と思っているが、実際には助けを求めることが出来ない

・“被害感”の強さと、傷つきやすさ

・考えようとしたとしても、実際には具体的にそれが出来ないか困難


上に挙げたこと、一つひとつ丁寧に見てください。

…どうでしょう、このうちのいくつかならば、そして「ある程度」であれば、自分や子どもにあてはまる部分があるなぁということはありませんか?

もちろん、このすべてに当てはまったとしても、それが即非行につながるものではありません。ご安心を。

ただ、たった一つでも当てはまっている事柄について考えた時に「それは、生きにくいよね」と共感しませんか?


これらの特徴は、生まれてからのプロセスによってなる、と考えられています。


さて、以上は非行臨床に関わる人はもちろん、教育学や心理学を学んだ人にとっては目新しくもなんともない事実です。

ここからは、指導者としての私見。

上に挙げたいずれも、就学前の子~小学生の乳幼児期・児童期にも、よく見られます。
特に、どんぐり教室に駆け込んでくる子の中には「考えようとしたとしても、実際には具体的にそれが出来ない」という子が少なくありません。

通信制の保護者さまとはメール等でやりとりしていますし、通学制あるいは長期休暇の講習でお会いする保護者さまとは対面で会話しますので、その理由はどこにあるかもじっくり見せていただいています。

それで…
「子どものリズム・テンポ」
に気づいていないという場合が少なくありません。

これは、子どもに特有という意味ではなく、人それぞれ違うんだよ、ということです。

親子だから一緒ということもありません。(同じ場合もあります。)

それは、どういうところを見ているとわかるか、というと、赤ちゃんのときからの生活の中でわかることです。

ちょっと、表現は悪いですが、ペットだと思ってみるとちょうどいいかもしれません。
「言葉の通じない相手」という意味でですね。

ハイハイなんて、早い子も遅い子もいるのが当たり前。それと同じことがずーっとずーっと言えるってことです。
思春期になったって、恋人が出来るのが早い子も遅い子もいるわけですね。(あえて、ざっと飛ばして言っていますが、かけ算覚えるのが早い子も、英語をマスターするのが早い子も、そしてそれらが遅い子もいるってことです!)

そして、その早いだの遅いだのでジャッジしないことです。
早く言葉を発したからエライなんて、そんなわけないんですよ。

しかし、遅すぎると感じたらどうしたらいいのか?

心配したまま眠れずに過ごす必要はもちろんないので、身近な専門家を探して相談しましょう。
ひとりで頑張る必要なんかどこにもありません。


私は、今まで犯罪行為をせずに過ごしてきましたし、この先も今の行動規範を失わない限りは(例えば認知症により失われる可能性が高まると言われています。)犯罪を起こさないので、犯罪者の気持ちがすべてわかるとは言い切れませんが、彼らにも犯罪を起こさない可能性があったのではないかと思われてなりません。好き好んで悪いことをする人にはならないような気がするのです。

では、どういう風に子どもを育てるのが彼らの二の舞にしない方法かと考えると、結局「幸せに生きていけるように育てること」だし、それは「生きにくさ」から遠ざけてあげるということだと思うのです。

子どものリズムに気が付くことが、その第一歩かなと思います。
そして、それに気が付かないで「どんぐりの文章題やっているんだから、考えられるようになるでしょ!」というのは、何とも乱暴だと思うのです。

私がよく「どんぐり方式の子育てしてね」と言うのは、そういうことです。

そして、どうしても子どものリズムとやらがピンときませんよ…と言う場合、あなた自身のリズムのことを分かっていないのかもしれません。

子育てするって、自分のことを見直すっていうことでもあるんですよね。(だから、子育て大好きなんです~。)