前日の小松原沢遡行から帰宅し、沢道具の後片づけも終わってひと息ついていたところでT田さんから連絡が入る。他のメンバーで沢登りを予定していたがキャンセルになったらしく、コガ沢に連れていって欲しいとのこと。正直疲れもあったが、翌日も休みであることから渋々了解する。
渋々…の理由は、この沢がとにかく歩く沢であると言うことと、核心部の滝がかなり滑っていると言うことである。
とは言え前回遡行したのは3年も前のことなので記憶もかなり曖昧であり、もう少し違った印象が持てるのではないかという期待もあった。
【行動日】2020年8月15日(土曜日)
【行動距離】約11km
【行動時間】約6時間半
8:00宮城蔵王白石スキー場駐車場~9:30入渓~12:30南屏風岳~13:10不忘山~14:30駐車場
【天候】曇り
【使用装備】30mロープ×1
【メンバー】はでりゅう(L)、T田さん
『コガ沢』遡行
仙台市の最高気温は34℃予想。今日も暑くなる予報であったが、最近は沢に登ると天気が悪くなる日が続いている。
案の定、山頂を見上げるとガスがかかっており、気持ち薄暗くもあるようだ。
雨が降ることはないだろうと踏んで出発はしたものの、3年前も山頂では暴風雨に見舞われたことを思い出す。

登山道をひたすら歩き、約1時間かけて入渓。
あまりにも暑く、登山道だけで持参した水分のほとんどを飲み干してしまったT田さんは、入渓後早々に沢水で水分補給を行う。澄んで綺麗ではあるが、お腹が痛くならないか心配であった。
初っ端から微妙なへつり。T田さんはスムースにクリアするが、私はドボン。
そう言えば3年前もここでドボンした記憶が。進歩のない男である。
ここから小滝が連続するようになる。
コガ沢は入溪直後から小滝が連続し、中盤~後半にかけてはほぼゴーロ帯である。
写真左側にある岩を避けようとして、ここでもドボンする。
滑りはするが決してスタンスが悪いわけではなく、単に集中できていないだけ。この先に核心と思われるちょっと悪かった滝が2本出てくるので、ここでしっかりと頭と身体を冷やすこととする。

核心①の滝。ヌルヌルのスラブであるがホールドはしっかりとしており、スタンスさえしっかり拾えれば落ちる心配はない。とは言え、ロープを出したほうが安心安全な滝と言える。

取り付きが嫌らしく、T田さんは左側を巻く。私は水線突破。

ここのへつりも悪かった。T田さんはスムースに上がっていくが、私はタワシでスタンスを確保し、さらに左足で左壁を突っ張りなんとか体勢を維持する。クラックがカチれるが、なかなか次の一手が出せずに苦労する。

核心②の滝。ここもヌルヌル、しかも上部がたっているので絶対に落ちてはいけないところ。私が先に登ってロープを出そうとすると、T田さんは自分がリードすると強気の姿勢。ここはホールドも少なく、草つきを利用し上手にクリアする。結局ここでもロープを出さなかったが、1~2ヵ所は支点をとりロープを出したほうが安心安全な滝と言うことは間違いない。

入渓から1時間強で小滝・大滝は登り終え、そのあとはひたすらゴーロ帯を歩く。徐々に水量も細くなるが、水が枯れても沢筋は山頂稜線に向かって続いていくため藪こぎも迷わずスムースに行うことができ、予定していた時間よりも早く稜線に出ることができた。

南屏風岳。
ガスと時折吹く暴風のため、そそくさと通過。

不忘山。
暴風は変わらず。ガスのため眺望はゼロ。ここもそそくさと通過。

下山もヌルヌルで幾度となく足をとられる。フェルトソールなら大変なことになっていただろう。
ふと下界に目をやると、麓はしっかりと晴れているようだった。稜線を歩いている際は上着が必要なくらいに寒かったが、下山途中から徐々に気温も上がり、結局汗だくとなってゲレンデを降っていった。

今回はT田さんリクエストでコガ沢を3年ぶりに遡行したが、やはり『歩き』が相当堪えたらしく、この先数年はご遠慮したいとのことであった。私も同感である。