みなさまこんにちは。紅葉が進み景色の移り変わりが早い時期になりました。いかがお過ごしですか。

今回は、愛知県内のフモトミズナラ・ナラガシワをはじめとするどんぐりの最新情報をお伝えできればと思います。

1.フモトミズナラ

2.ナラガシワ

3.イヌブナ

4.アカガシ、オオツクバネガシ、ツクバネガシ

コラム

(a) はげ山時代

(b) なぜそこに「珍しい木(々)があるのか」

という章立てになっています。

 

1.フモトミズナラ

9月のとある日に、豊田市にある昭和の森に行ってきました。

噂でフモトミズナラがたくさんあるとは聞いていましたが、たくさんありましたね。

様々な葉のタイプが見られました。どうやら今年は不作のようです。

モリコロパーク(ジブリパークで話題ですが)は結構いい感じだったようです。

 

2.ナラガシワ(アオナラガシワと区別していません)

名古屋市内の瑞穂区、南区あたりの社寺、古墳に多く生息していることが分かってきました。

瑞穂区のどんぐりをsnsでアップされていた方もみえますね。

私の知る限りでは、北から順に

瑞穂区 本願寺八幡社

瑞穂区 津賀田神社

南区 呼続公園(長楽寺)

南区 桜神明社(古墳)

の山崎川を挟んだ東海道沿いの4箇所にナラガシワがあるようです。

私は呼続公園に行って様子を見てきました。

アオナラガシワのどんぐりの画像

アオナラガシワか? マテバシイ並みのどんぐりの大きさです

 

いかにもナラガシワ! という葉

 

この呼続公園はピンオーク(開花個体は2本中1本で殆ど結実せず)や隣接地に植栽のカシワもある注目の公園です。

また、枯れた様子が見られるように、一宮の妙興寺と比較して太い木がないものの、若木(更新)もあり、ナラガシワそのものの生育は維持されそうです。


次に、愛知県のレッドデータに載っている豊橋の自生ですが、確かに実際に存在するようです。しかし、岩の上に生えており、なかなか近づけないそうです。まあ、存在を確認できれば良しとしましょう。豊橋の弓張山地、石巻山付近はたいへん稀有な場所で、石灰岩地域の植生、南方系の植生、そして葦毛(いもう)湿原といった植物好きにはたまらない環境です。

また、豊田市の足助の山中にも、コナラには見えない怪しい個体があると聞きました。

 

ちなみに台湾では20年前までそれなりの個体群が何十年も行方知らずとなっていたようです。やはりナラガシワはなかなか謎です・・・。

台湾についての論文はこちらから

http://ntur.lib.ntu.edu.tw/bitstream/246246/162184/1/25

 

3.イヌブナ(ブナと比較しながら)

面の木原生林では、ミズナラやブナにまじって何本か生息しています。実は…ないですね…。結実は15年に一度だとも言われているそうです。高尾山に行ってみたいものです。

イヌブナは実をつけない代わりに大量のひこばえが出ます。

この他にも樹齢100年はいきそうな大木のイヌブナがありました。

 

こちらは立派なブナです。

 

ブナの実から生えるキノコ

 

道の駅つぐ高原グリーンパークには「イヌブナの小径」があります。

 

残念ながらイヌブナ純林ではなくブナとの混生で、太い木はありませんでした。実もブナしかなかったです。

この雰囲気はイヌブナですかね

 

この奥三河・長野県境一帯はブナ・イヌブナ産地であり、研究発表もされています。

研究発表はこちらから

 

ここからは自然観察指導員繋がりでお聞きした話です。

な、な、なんと標高200m以下にイヌブナが生息している場所があるというのです。

あと、蒲郡にもあるようですね。

豊田市の猿投山(629m)にもあって、実を拾える可能性が一番高そうです。

 

4.アカガシ、オオツクバネガシ、ツクバネガシ

知立、岡崎の東海道沿いの平地の社寺にアカガシがある場合があります。

また、三河の山地には、ツクバネガシ、アカガシが一定数生息しています。

 

 

 

 

以上アカガシ 岡崎市 甲山寺

 

次はオオツクバネガシです

オオツクバネガシ 岡崎市 くらがり渓谷

超絶きれいなオオツクバネガシだと思っています。まさにミックスなのです。

葉柄が長く、側脈のはっきりしたところはアカガシらしい特徴なのですが、葉の先端の鋸歯がはっきりしており、かつ葉の縁がそりくりかえっています。

 

ツクバネガシ 豊川市 東三河ふるさと公園

三河(あまり深くない山)で見るツクバネガシは圧倒的に若木が多いです。

 

ここからはコラムです

(a) はげ山時代

やはり、愛知の植物の分布は「はげ山時代の有無」との関わりが深いと思います。 かつて愛知県は三大はげ山県の一つとして数えられるほど荒廃が進行していました。その時代に絶滅や生息数の減少のほかに、新たに自然に移入した、あるいは分布を広げた植物があると考えられます。これに関連して、豊田市藤岡地区は個人的にたいへん面白い場所だと思っているので、決して認知度を上げたいわけではないが、不必要な伐採や人手不足による管理の放棄が進まないことを願っています。

 

豊田市藤岡地区の植物はこちらから

https://www.city.toyota.aichi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/016/111/01new/008_02.pdf

 

はげ山に関しての参考文献はこちら

 

(b) なぜそこに「珍しい木(々)があるのか」

わざと種名に言及せずに書きます。私は植物に関して道を究め研究に没頭されるすべての学者の方々を尊敬しておりまして、これから書くことは個人の意見・仮説・フィクションですので、学説に利用できないことをご承知おきください。

 

鎌倉時代、浄土真宗など新しい宗教も布教がなされ、お寺の数は増えていきました。お寺の権威付けに植物は一役買えないでしょうか?

江戸時代、東海道をはじめとする道の整備で、道を利用する人は増えました。しかし、旅はお金がかかります。旅をしつつも旅の資金の足しに何か売れないでしょうか?

 

そしてある時、なぜか小さい実や苗木をもった人がやってきて、こうやっていうのです。

「これはここら辺には絶対にない、見たこともない大きな実がなるんだよ。さらに、その実がそのまま食べられるんだよ。」とか、「これはここら辺には絶対にない、とても大きな実と葉がつくんだよ。それでもちを包むってのが絶品で、俺の地元ではやってるんだよ」あるいは「この木は100年以上枯れない大木になりやすい木だし、oo神社やoo神社でもご神木になっておるんだよ」と言います。

そして決め台詞は「これを買ってくれたら、こんな物を持ってるおたくを近所の人はそんな遠くまで行って仕入れてくるような金持ちなのか、とかそんなものを生み出したのかという尊敬のまなざしで見るよ。そして、この木を大きくして近所に配ろうってもんなら小遣いが稼げるよ。」と言います。

はい、珍しい木が植えられました。そして、神・仏の名の下保護されるわけですね。

 

今回はテキストが多くなり、かつ専門的な情報の羅列となりました。わかりにくいと思われた方も多いと思います。

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