1.8月25日、第1回口頭弁論が行われ、貸し切りバス利用などで参加した傍聴者で大法廷(定員100人)は、ほぼ満員だった。印象に残ったのは、女性の参加者が6割くらいを占めたことだ。
法廷でやり取りがあったのは訴訟告知についてであった。裁判官はこの告知を原告側に行うように提起されたが、
〇原告側は「本来被告側が行うべき制度であり、その上、土地の鑑定書の情報が黒塗りだらけで、公開された情報は地権者など不明で、情報を持っている町が行うよう」主張。また「公開された土地鑑定書では農地の時価が不明である」と。
〇被告である町は「次回の期日までに提出する」と約束。
そのあと原告被告双方が意見陳述を行った。
〇原告末松さんの陳述は
〇被告岡本町長の陳述は
https://www.town.inagawa.lg.jp/mayorroom/message/1661406353467.htmlにて掲載。
次回の期日は11月1日(火) 午前11時30分より
2.閉廷後、会場を近くの湊川神社・楠公会館に移し、弁護団による裁判の模様の説明会が行われた。最初に主任弁護士の服部先生から、住民訴訟の意味について説明。
起源はアメリカの納税者訴訟であり、日本では 1963 年(昭和 38)の地方自治法の改正で「住民訴訟」となったが、財務会計上の違法しか争えない。また、この制度は、住民が直接、地方自治体の政治に参加して、とくに自治体の財政上の腐敗の防止を目ざす点に意義がある、と。
続いて、訴訟告知についての説明があった。
訴訟告知とは住民訴訟特有の言葉で、福田前町長と地権者に対して、裁判に参加することを促すものである。本訴訟は、現町長に対して提訴しており、福田前町長と地権者は訴訟の当事者ではないが、町が敗訴した場合の判決の効力を、福田前町長と地権者に及ぼすことができるものである。
その後、参加者からの質問に対して弁護士から回答がなされた。主な内容は以下の通り。
Q 「土地の取得価格が、農地ではなく事業用の土地としてならどうなのか?」
A 公開された鑑定書は、殆どの箇所が黒塗りで次回の開廷日までには公開すると町が答えているので、それを待つことになる。訴訟を起こした事で、住民に不明のまま、ではなくなるという意義がある。
Q 「『変更合意書』によって、2020 年 3 月の土地購入予算についての議会決議の前提が崩れたのに、決議は有効なのか?」
A 法律上、それを問うことは非常に難しい。
弁護団より、「大勢の傍聴参加者に大いに力づけられ、感謝している。普段から議会の傍聴に出かけて、議員の活動をしっかり見届けて欲しい」と呼びかけがあった。
議会で行われている議論を私たちも実際に見て、判断の材料にしましょう。