最初にリストカットした時、『ゴチャゴチャ言ってないで、薬のんで寝なさい♪』

大した事じゃないと、笑いとばした先生。

あれから1ヶ月。

恒例の、精神科の診察。

今まで、この待合室が大好きだった。

先生の顔を見ると、
安堵した。

長い順番待ち。

連日のリストカットの
誘惑。

切ると、安心すること。
元気になること。

聞いて欲しかった。
そして
助けてもらいたかった。

ニコニコ話す私に、
『じゃ、薬いつも通りね』

何ヵ月も聞いている、同じ文言。

勇気を出して聞いてみた。
『切りたくなったら、どうすればいいですか?』

『それは、自分で考えなさい。』

怖い顔だった。

リストカットで、明るくいられた私は、一気に墜ちた。

待合室の隅で、涙が溢れた。
助けてもらいたかったのに。

先生の言った事は、もっともだと、頭では理解できた。

でも、『怖い』と言う感覚が、強く私を捉えてしまった。

『誰も救うことはできない』

深く思い知らされた。

先生は、一万人もの患者を抱えている。

リストカットなど、日常茶飯事だろう。

私など、軽い患者なのだ。
いちいち、関わってる暇などない。

泣きなら歩いた。

もう、あの待合室は広くない。

私の居場所ではない。

先生に話すのは、止めよう。

多分、もう話せない。

『怖い』から。