さて、本は手に入れたが、読めないとなると致し方ない。
と、言って、早々に諦めるブヒーではなかった。
「縦書きだから、日本語かモンゴル語だろうけど…」
そのどちらとも違うようだ。
「はぁ、読めないかな〜」
本の中身は図入りだ。何かの図らしい。
「なんの図だ?」
図を見てみる。すると、図が動いているみたいに見えた。
「…疲れてんのかな? 今日はずっと起きっぱなしだし」
ブヒーは寝ようとした。
「寝る前に一服と…」
タバコに火をつけた。
「ファッファッファッファ!」
笑い声も聞こえた。
「誰だ!」
ブヒーはびっくりする。
「ファッファッ、ブホッ、ブホッ」
前を見るとタバコの煙の向こうに、白くて長い髭の、しかも白い服を着た、まるで仙人みたいな人が立っていた。仙人は言う。
「煙いよ!」
仙人はブヒーの頭を叩く。ブヒーは言う。
「痛てぇよ! 一体なんだって言うんだよ。誰だよお前?」
「私を知らんとは。我こそは、ブヒー教の守護者であり、仙人である、ブヒー仙人である」
「嘘つけ!」
「インディアン、嘘つかない」
「お前、インディアンなの? じゃ、人であって、仙人でもなんでもじゃないじゃん。嘘つき」
仙人はブヒと唸る。
「とにかく、私は仙人である」
「証拠みせろよ」
「いくら出す? ただでは嫌だ」
「ただより高いものはないって言葉知らない?ただで信用を買えるんだから、ただにしろよ」
「致し方ない。では…」
そう言って、何やら、呪文を唱えた。
「出でよ、豚平君!」
そうブヒー仙人は言う。ブヒーは呟く。
「とんぺいくん?」
ゴロゴロと音がなり、ブヒーの今いる部屋の戸が開いた。
「呼んだ?」
現れたのはブヒーの師、ファーストだった。ファーストは出家する前、豚平君と呼ばれていた。
「さっきほどから騒がしいので来てみたが…」
以下次号。