前回の記事の続きです。


Lが言った金額は、無理な金額ではなかったが、あえて、全額を送らない事にした。

それは、何でか。


彼女の言った金額は、無理ではないし、送る事はできるのだが、

ここで、「はい、分かりました。」と言って、甘やかしてしまっても、後々、勘違いするのではないかと思っての事。

傍から見れば、薄情と思われるかもしれない。

でも、果たして、彼女の言いなりに送金をする事が、彼女の為なのだろうか。


時には厳しくするのも愛情だと自分は思う。

タレントとして働いてしまうと、確実に金銭感覚は狂うはず。

日本での生活も、それ程、楽なわけではないという事を分かって欲しかった。

お金の大切さや、そのお金を稼ぐのに、どれだけ働かなければいけないのかを分かって欲しかった。

簡単に幾らと口にするが、日本人であっても、そう簡単に出せるものではないという事を分かって欲しかった。

口では分かっていると言っても、きっと現実は、全てが分かっている訳ではないだろう。


フィリピンに行った時、

両替所で、レートが50ペソ違うだけでも大事と言っておきながら、

家族と食事に行って1000ペソの支払いを簡単にさせる彼女、

家族がお菓子のお土産を買いたいから500ペソちょうだいと言ってのける彼女。

きっと、自分が日本人だから、そのくらいは・・・、

という思いがあったに違いない。


Lは、フィリピンに帰ってから、アルバイトしても安いだけだから意味が無い、時間がもったいない、と言っていた。

その言葉を聞いた時、ちょっとがっかりした。

やはり、彼女も少なからず日本かぶれしているのだろうか。

丸々1日、何もせず、食っては寝、食っては寝を繰り返して貯金を食いつぶしている人に送金など出来るわけが無い。

いくら安い日給であっても、必死に頑張っていたのなら、

自分は、もっと前から送金していただろう。


ただ、Lがそうした生活をしていたのには理由があった。

それは、もう一度、日本での仕事のチャンスがあったから。

自分にお金を頼ってこなかったのも、その為だと思う。

それが無ければ、最初から自分に頼ってきたに違いない。

だが、色んなトラブルがあり、このチャンスも分からなくなってしまった。


自分としては、もう夜の仕事に戻って欲しくないので、

そのままフィリピンに残る道を選択して欲しかった。

ただ、目の前には土地のローンが待ち構えている。

彼女自身も、彼女のお母さんも、そして自分も、

彼女が日本で仕事をするのは嫌だと思っている。

それならば、自分が送金するのが、

二人にとって一番、良い選択なのではないかという結論に達した。

二人の間で、何度も何度も話し合って決めた事。


彼女は、自分にお金を払わせてしまう事に、

とても引け目を感じていたようで、

最近いつも、

「ほんと だいじょぶ?○○○ かわいそーじゃ。」

と言う。

最後まで、自力で解決したかったようだ。


送金が決まった時、彼女はこう言った。

「ありがとね ○○○。アコ 仕事するよ。安いでも、頑張るする。朝から 夜まで でも ○○○ 助ける したいだから。」

この言葉を聞いた時、とても嬉かった。

やっと、自分の言った事の意味が分かってきたのだろう。

この気持ちがあれば、絶対、上手くいくはず。

自分も、もっともっと頑張ろうという気持ちになれた一言だった。