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上矢印この話の続き

 

 

 

 

 

去年。

 

妹の家に遊びに行った。

酷い義実家の事で感情の高ぶった妹は、話題を切り替えた。

 

「そういや兄貴の奥さん…Hさんと不倫してるんじゃないかって噂されてるけど、何か心当たりある?!」ムキー

 

 

 

 

勝手に保証人にされそうになった件で、妹は妻に不信感を抱いている。

 

 

 

そして娘と大親友だったH氏の娘との縁が切れた事は、妹にとっても足かせがはずれた事を意味してたのだろう。

 

 

 

 

 

「兄貴が傷つくと思って言わなかったけど、二人が一緒にいるところを見たっていう人が何人もいるんだよ!

 

 私もPTAの集まりの時に見たし!!

 

 来る必要ないのにHさんが中学の野球部の試合に現れて、気が付くと奥さんと二人で姿消してるっていう話も何度か聞いたし!」ムキー

 

 

 

 

 

その後も妹は、いくつもの目撃情報を具体的に話した。

中には俺の同級生の証言もあった。

いざとなれば彼に聞けば、もっと具体的な事がわかるだろう。

 

やはりH氏が不倫相手で間違いないようだ。

とはいえ、それが不貞の決定的な証拠とはならない。

これを元に裁判で戦う事は出来ないが、自白させる事は可能かもしれない。

 

 

 

 

でも今はそんな事は望んでない。

 

 

 

 

 

不倫して謝罪もない妻の事なんて大切ではない。

もちろん愛してもいないし好きでもない。

 

 

だけど俺たち家族にとって必要な存在だ。

 

 

だから別れる事は考えてないし、離婚しなければたいした制裁を与えられない。

そもそもそんな労力を使う事自体、今の自分にはなんの価値も見いだせない。

年老いた両親を悲しませるような事もしたくない。

 

 

 

 

 

なので、妹に こう伝えた。

 

「そんな事ないと思いたいけど、もしかするとそうかもしれないね。

 そう言われると怪しい気もするし。

 注意深く見ておく事にするよ。

 なにかあったら相談させて!

 

 それと、両親には心配かけたくないから黙っていて」

 

 

 

 

「ごめん、私、余計な事を言っちゃったかも…

 本当に兄貴がそれで良いなら…

 でも本当に困った事とか辛い事とか、あったら言ってね」ニコ

 

 

 

 

「うん。

 ありがとう!」

 








 

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