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ある休日。
秋も深まり、少し肌寒い日が増えた頃。
今にも降り出しそうな曇り空。
この日も妻は日雇いの仕事。
おかげで俺がこなさなきゃならない家事負担が増える。
本当に忙しいならともかく、以前聞いたら暇だからって言ってたからね。
暇なら家の事をしてくれ…
床の傷の件もあったし、少しいらいら。
寒くなったので冬用こたつ布団を出し、とりあえず洗濯機の前に夏用を置いた。
そして掃除したり買物してたら、あっという間に夕方。
あまり乾いてないけど洗濯物を取り込み、学校から帰ってきた次男の弁当箱を洗っていた。
(受験生だったので休日も補習があった)
すると妻が帰宅。
もちろん、ただいまも言わずに二階へ。
いつもの事。
やっと一息つける…と、くつろいでたら二階から降りてきた妻。
そして洗濯機を確認した後、ウロウロしだした。
夏用こたつ布団を抱えてる。
何か言いたげにしてるけど無視。
しばらくウロウロした後、妻は言った。
「これ、洗えないんだけど」
顔も向けずに、そう言ってやった。
すると妻は突然震えだし、布団を床に叩きつけた。
なにか、大声でわめいている。
涙をボロボロこぼしながら。
落ちた涙が、雨粒の様にフローリングに…
「どうしたんだよ」
「だから何!って…」
「洗えないならしょうがないじゃん。
クリーニングも出来ない?
なら、そのまましまっておく?」
「天気がいい日に干してから…」
「あのさ。
だから、何!
って、昔さんざん言われたんだよ。
言った事、覚えてないかもしれないけど」
不倫発覚前、いつもそう言われてた。
そのたびに、自分に悪い所があるから怒られるんだ…と思っていた。
「顔も向けずに返事されるのもイヤだろ?」
「…」
「イヤな思いさせて、ゴメンな」
俺がいつもどんな気持ちだったのか、少しは思い知ればイイのさ。
この出来事から1年半が過ぎた今、妻は返事をする時はこちらへ顔を向ける事が増えてきた。
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