リトルマーメイド | ドナドナ雑記帳

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 昨日、劇団四季が公演中の「リトルマーメイド」を観劇してきた。2017年の観劇始めがこの舞台で本当によかった。4月9日のフィナーレまで残り70回を切った「リトルマーメイド」。原作のディズニーアニメーションが世界的な人気を博していることはもちろんのこと、劇団四季のリトルマーメイドもまた、人々の心を掴んで離さない。今回は、そんな「リトルマーメイド」を題材に、海の世界を旅してみたいと思う。ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

うお座リトルマーメイドのあらすじかに座

 アリエルは18歳の人魚の女の子。海の王、トリトンの末娘として生まれた。亡くなった母親ゆずりの歌声をもつ美しいアリエルは好奇心旺盛で、幼なじみのフランダーを引き連れては、よく海面にいき人間の世界に憧れを馳せていた。そんなある日、嵐に遭い海に投げ出されたエリック王子を助けたことから、アリエルは人間に恋してしまう。そしてエリックもまた、おぼろげながら記憶にある美しい歌声に恋をしたのだった

 そんな折、アリエルは人間の世界へ憧れていることを知った父トリトンに激しく怒られ、警告されてしまう。落ち込んだアリエルの心の隙間につけこんだのは、魔女のアースラ。アースラはトリトンの兄弟のひとりで、その昔トリトンに負け、深海に追いやられていた。いつか海の世界を取り返すことをもくろんでいたアースラは、トリトンが大切にしていた末娘のアリエルに目をつけたのだった。

 美しい声と引き替えに人間の足を手に入れたアリエル。しかし、人間になって3日目に王子からキスされなければ、アリエルの魂はアースラの支配下になるという契約を結んでしまった。

 海辺にいる女の子を見つけたエリックは、その美しさに惹かれるものの、しゃべれないと分かると落胆する。エリックはあの歌声が忘れられなかったからだ。二人は結ばれることないまま、ついに3日目を迎えてしまう。王子の誕生日にあの歌声の持ち主を探すべく、国中からお姫様が集められた。しかしその中にあの歌声の持ち主はいなく、アリエルのけなげなアピールにエリックは心打たれ、結ばれようとした。しかしそのとき、魔女アースラが現れ、二人は引き裂かれてしまう

 

 アリエルがアースラに捕らわれたことを知ったトリトンは、娘を助けるべく自分の魂を引き替えにする。しかしそのときだった。アースラの持っていた魔法のホラ貝をアリエルが取り返し、それを壊した。それによってアースラは消えてなくなり、アリエルは声を、トリトンは魂を取り戻したのだった。

 アリエルのエリックに対する深い愛を知ったトリトンは、娘を人間にしてやり、二人は晴れて結ばれたのだった

 

イルカ愛される子アリエルを取り巻く深い愛タコ

 アリエルを愛したのはエリックだけではない。彼女はたくさんの愛に包まれている。まず注目したいのは、父トリトンの深すぎる愛。娘が勝手に人間に恋したのにも関わらず、娘の命を助けるために自分の命を犠牲にしたり、大切な娘を人間にしてあげて愛する人と結んであげたり……。案外親というものは、父というものはそういうものなのかもしれないが、なんせアリエルとエリックとの間には人間界と人魚界という大きな隔たりがある。それにも関わらず、娘の幸せを切に願うその気持ちに、海より深い愛を感じる。

 そして、次に幼なじみのフランダー。彼もまた、アリエルに対し淡い恋心を抱いている。にも関わらず、彼もまたアリエルの幸せを切に願っている。彼女が人魚界にいたらまだ叶っていたかもしれない恋を諦め、彼女の手を離してあげるのだ。

 そして、宮廷音楽家でありながらアリエルのお目付役をしたカニのセバスチャン。仕方ないな~まったく!と思いながらもアリエルを色々助けてあげる。アリエルの姉たちもまた、彼女のことを心から想っている。

 大きな愛に包まれているアリエル。そんな彼女を見ていると、なんだかこっちまで幸せになってきてしまう。

 

みずがめ座運命を信じきって道を切り開いていく強さ赤薔薇

 アリエルのすごいところは運命を信じ切ること。「こうだ!」と決めたら曲げない強さがある。自由で強くて美しいアリエルの“運命を信じる強さ”ったらない。「わたしのいる場所はここじゃない」とか「これが恋だ」とか、現実生活していたらそうそう出会えない“運命”というものに、心のままに従う。以前、このブログでポカホンタスを紹介したときに“心の声が教えてくれる”というワードを出したが、ディズニープリンセスの強さはここにあると思う。

 現実では、心の声が聞こえてもなんだかんだ理由をつけて諦めてしまうことはままある。そんな諦めや葛藤、言い訳をかなぐり捨て、自分に正直に生きる素晴らしさを教えてくれる。自分に正直に生きることは、パワーも使うし責任も伴うし辛くて苦しかったりもする。そういうことを知っているからこそ、言い訳して逃げるわけだが、そんなことに喝を入れてくれるのが、アリエルの生き様なのだ。また、これが舞台だからこそという側面もある。ワイヤーで吊られながら歌ったり踊ったり、演者さんたちにもまた、想像を絶する苦労があるのだと思う。次項では、そんな劇団四季の舞台装置などについて。

 

 

魚しっぽいざ海の世界へ!劇団四季の舞台装置魚あたま

  この劇団四季リトルマーメイドの大きな特徴は、なんといっても“海”の世界観である。ワイヤーで吊られて、泳ぐことで観客はそこに重力を感じない海の世界を疑似体験する。地面に着地するときもふわっと着地する技術は圧巻。アリエルがエリックを助けるシーンもまた然りだ。水を吸い重くなったエリックの沈んでいく感じや、アリエルが引っ張り上げて水を掻くヒレの力強さなど、もう泳いでいるようにしか見えない。あー、あんな高さでワイヤー切れたらどうしよー!とヒヤヒヤもするのだが、劇団四季の公演回数に裏付けされた安心感・安定感は語るまでもない。演者と裏方の強い絆と信頼によって、この舞台は完成されている。

 会場に入った瞬間から響く波の音や、観客への注意アナウンスもまた面白いのでよく聞いてみてほしい。

 

 

 

 なんだか久しぶりに何も考えずにただ元気を貰った。そんな劇団四季リトルマーメイドの公演は4月9日まで。この春休みを利用してぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。日常生活のモヤモヤを美しい海の世界が洗い流してくれることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

劇団四季リトルマーメイド

小林由希子 山田元 鈴木釉佳之

田島亨祐 飯野おさみ 丹下博喜 

岡崎克哉 大村真佑 平田郁夫

中橋耕平 川原信弘 他