これまでの私の人生には特に大きなイベントがあったわけではない。
でも他の誰かに迷惑をかけてきたわけでもない。
この先もただ静かに生きていきたいだけなんだ。
なんでこんなことに・・・。
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入社11年、係長。
就職氷河期の大学4年生。
自分の希望職なんて考える前に「内定をもらえる会社」ならどこでも良かった。
いや、本当は氷河期なんて関係なかった。
何をやりたいか?
本当にそれを強く持っている学生が何人いるだろう。
私もそうだった。
でも就職浪人するわけにはいかない。両親に迷惑がかかる。
それだけは何としても避けなければいけない。
そして自分の世間体が悪くなるなんて耐えなれない。
そんな恐らく世の中の大多数であろう普通の日本人だ。
入ったのはそれなりの大きさの企業だった。
そこを選んだ理由は就職試験が面接だけだったから。
それなりの国立大学をとりあえず卒業した程度の私は、4年間まともに勉強した記憶がなかった。
そんな時に学生課で手にした就職案内で「面接のみ」の文字は私を引き付けて
離さない魔力を持っていた。
面接を受けた私は、驚くほど呆気なく内定をもらった。
柄にも無く大喜びしている私に研究室の先輩が言った。
「どこ入ったの?」
「○○ってところです」
「え・・・ま、まじで?」
そして大爆笑。
わけが分からない私に先輩が説明してくれた。
その企業はとくにキツイことで有名なそうだ。今で言う所のブラック企業ってやつだと思う。
残業は月100時間を下回ることはなく、当然全ての残業代が付くわけは無い、
毎年数百人の新入社員を取るが残るのは10人程度、そんな企業だった。
だが、キツイだけで会社自体は東証一部上場、大証一部上場。
肉体的に厳しいだけなら個人的には問題なかった。
忍耐力には自信がある。
そして気が付けば11年が経っていた。
仕事は確かにきつかったが、先輩に恵まれ、上司もガミガミ言ってくるタイプではなかった
ことが有難かった。
とにかく真面目にコツコツ仕事が出来ればそれで幸せだった。
<つづく>