『あんなことが俺にできるだろうか―――そう考えた途端、根津の中にあるスイッチが、かちりと音をたてて入った。忘れかけていた何かが蘇り、心の隅ですっかり冷えていたはずのものが、少しずつ熱を帯び始めた。その温度は瞬く間に高くなり、やがては彼自身にはどうすることもできないほど、全身の血をたぎらせるようになった』

 

幸せな瞬間。まだ自分にもそんな瞬間を迎えることがあるのか。