「わしらは木の股から子供を産ませることも出来る!」

昭和の時代、実在した山口県警の刑事の言葉です。
警察に出来ないことは無い。
警察がクロだと判断したらクロだということ。
真犯人を逃さないためには厳しい捜査も必要ですが、強引な捜査により多くの冤罪も生みました。

2014年に私の職場で窃盗事件が発覚しました。
立会い者の私は、DNAを採取するときに紙帽子と紙マスクに手袋を付けらされ、①新品の綿棒を取り出すところ、②採取しやすい薬品?を付けるところ、③採取するところ、④ビニール袋に保管するところ、⑤それを封筒に入れ封印するところ、全てに立ち会わされ写真を撮られました。
封筒の封印は糊付け部分全てに割印を。
1つのDNA採取にこれですから、タバコの吸い殻一本拾ってもこの繰り返し。
4時間以上捜査に付き合わされました。

やり過ぎくらいに思った私は、担当の若い刑事さんに何でここまでするのか?聞きました。
「先輩たちが無茶苦茶やって来たから、今はしょうがないのですよ」とぽつり。
警察による不正防止のため、今はここまでやるようです。

福岡県の母子殺人事件。
私の見立ては警察発表の状況から、犯人は母親による無理心中と見せかける犯行を計画。
首を締めて窒息させずに、背後から頸動脈を圧迫して気絶させる。
次に子供達を紐で窒息させる。
最後に練炭を焚いて無理心中を偽装する。

母親を窒息死させないので、完全犯罪が可能だと考えたのでしょうか?
司法解剖により首の骨の損傷が見つかり、さらに母親の爪に皮膚片があったことから、母親は絞められる途中に苦しみながら犯人の腕に爪を立てたのでしょう。
この皮膚片のDNA鑑定が大きな証拠になります。

頸動脈を圧迫して気絶させることは、柔道有段者なら誰でも出来ることです。
犯人は柔道経験者。
但し、法医学の知識は少ない。
締め落とせば証拠が残らないと判断したのでしょう。

何ともやりきれない犯罪。
犯人は極刑でも許されません。