ムーラン・ルージュ!帝劇撤去作業が無事終わりました。

 

これにて1990年以来お世話になった僕自身が関わる帝劇公演も、

 

幕を降ろしました。

 

 

何も無くなった舞台を、2回客席の最上段から見つめました。

 

東宝に入る前に、最初に帝劇のその座席で観た作品は「レ・ミゼラブル」でした。

 

残念ながら、レミに関わることはありませんでしたが。

 

 

山本富士子さん、浜木綿子さん、森光子さん、佐久間良子さん、

 

十朱幸代さん、浅丘ルリ子さん、近藤正臣さん、大地真央さん、

 

西田敏行さん、市村正親さん、一路真輝さん、井上芳雄さん、

 

まだまだ沢山の素晴らしい方たちと、帝劇で公演をご一緒出来たことは、

 

演劇人生の宝物です。

 

 

 

唯一心残りなことは、帝劇で演出する機会が無かったことですが。

 

 

 

劇場を出る前に、

 

B6稽古場からB4稽古場、B2、B1オケ控室、

 

4階衣裳部屋、5階楽屋、9階稽古場まで、ゆっくり見て回ることが出来ました。

 

 

 

まだまだ帝劇では、公演が控えています。

 

お時間のある方は、是非この劇場で、

 

かけがえのない愛おしい時間を過ごしてください。

 

 

ムーランではテクニカルのところに着到をかけていただきましたが、

 

やはり「演出助手」の場所が落ち着くので、

 

こっそりかけかえて記念写真を取らせていただきました。

 

 

おっと、着到かえすの忘れてた・・・

真島茂樹さんがお亡くなりになりました。

 

 

本当に残念でなりません・・・

 

 

 

 

僕たちは真島さんの事を

 

愛と尊敬を込めて「マジさん」とお呼びしていました。

 

 

 

マジさんとの出会いは、

 

僕が東宝と契約して2年目

 

意外だと思われますが、ミュージカルではなく

 

日比谷の芸術座での現代劇「流れる」でした。

 

 

 

平岩弓枝さん脚本、戌井市郎さん演出、

 

山田五十鈴さん、杉村春子さん、乙羽信子さんという

 

日本を代表する女優さんが出演し、

 

花柳界に生きる芸者たちの日常を描いた名舞台で、

 

マジさんは賑やかな隣人を演じていました。

 

 

1幕の後半だったか、

 

落ち込む主人公を慰めるため

 

「ルイジアナ・ママ」に合わせて踊る場面があり、

 

明るく華麗に踊るマジさんの姿が、

 

いまでも目に焼き付いています。

 

 

そして

 

マジさんとの再会は

 

西田敏行さんを迎えての「屋根の上のヴァイオリン弾き」

 

帝劇稽古場での事でした。

 

 

振付はヴァイオリン弾きを演じていた坂上道之助さん。

 

マジさんはダンスリーダーで、

 

或る時、稽古始めのウォームアップで、キャストとストレッチした後、

 

全員で軽いランニングをしていたのですが、

 

マジさんが突如手を挙げてレビューダンサーの動きになると、

 

キャスト全員がそれを真似て輪を作り、

 

まるでレビューショーが始まったかのようになり、

 

稽古場に笑顔と歓声が溢れたことが忘れられません。

 

 

 

マジさんはロシアンダンサー役で、

 

酒場のシーンではソロダンスを披露。

 

誰よりもキレッキレの動きで、足を高く上げ

 

その素晴らしい跳躍に目が釘付けになりました。

 

 

1幕後半では

 

頭に瓶を乗せて踊る「ボトルダンス」のソロ。

 

本人曰く、本番で一度も落としたことが無かったとのこと。

 

脚を振り上げた時に、衣裳の赤い裏地が

 

誰より一番美しく見えるよう、常に研究していたとか。

 

 

 

2004年

 

市村正親さんをテヴィエに迎えての新演出版がスタート。

 

 

初演と再演は坂上さんに振付を担っていただきましたが、

 

残念ながら2006年にお亡くなりになってしまい、

 

途方に暮れている所をマジさんに助けていただきました。

 

 

それ以来、2021年の公演まで、

 

マジさんが振付を担当していただいた「屋根」は

 

2025年3月に明治座での再演が発表になったばかりでした。

 

 

 

東宝ミュージカルでは引っ張りだこで

 

「屋根」はもちろん、

 

「ラ・マンチャの男」「王様と私」「ラ・カージュ・オ・フォール」など

 

類まれなるダンス力と唯一無二のキャラクターで作品に命を吹き込み

 

共演した皆さんから常に愛される存在でした。

 

 

日劇ダンシングチームのスターとして舞台に立った後は

 

とても苦労なさったお話を何度もお聞きしましたが、

 

「マツケンサンバⅡ」の振付と

 

その明るいお人柄でお茶の間でも大人気になりましたね。

 

 

本当に嬉しかった!! マジさん最高でした❣

 

 

 

昨年、マジさんが主演した「ミー?ザビエル!」という映画も公開されて

 

まだまだこれからと思っていたのに・・・・

 

 

 

本当に残念でなりません。

 

 

 

 

ただ、悲しんでばかりいては、

 

「なにやってるの! ほらもっと笑顔で!」と怒られてしまいますね。

 

 

マジさんの舞台にかける情熱と、

 

深い深い愛を忘れることなく

 

マジさんの繋いでくださった「屋根の上のヴァイオリン弾き」を

 

心を込めて

 

引き継いでいこうと

 

今はただそれだけを思っています。

 

 

 

マジさん、

 

本当に有難うございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年3月

 

ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」

 

再演が決定しました!

 

 東宝HPはこちら

 

 

1967年の帝劇初演から58年目。

 

 

2004年に市村正親さんをテヴィエに迎えて

 

今回で7回目の再演となります。

 

 

前回2021年はコロナ禍での公演で、

 

いくつか演出も変更せざるを得ない状況でした。

 

 

今回の舞台は初の明治座。

 

 

市村さん、鳳さんをはじめ、

 

長女ツァイテルに美弥るりかさん、

 

次女ホーデルに唯月ふうかさん、

 

三女チャヴァに大森未来依さん、

 

仕立て屋のモーテルに上口耕平さん、

 

革命家の学生パーチックに内藤大希さん、

 

ロシア人の青年フョートカに神田恭兵さん、

 

肉屋のラザールには今井清隆さんを迎えます。

 

 

そしてアナテフカ村の懐かしい住人達。

 

 

今回は明治座の後、富山・愛知・静岡・大阪・広島・福岡・宮城

 

そして市村さんご出身地の川越で大千穐楽を迎えます。

 

 

 

ウクライナとロシアの戦争、

 

イスラエルとハマスの紛争はいまだに終息の気配が見えず、

 

幼い子供たちや、罪のない人々が命を落としています。

 

 

この作品に触れる時、

 

私たちが暮らす世界のあり方をいつも考えさせられます。

 

 

既にご観劇いただいた方はもちろん、

 

まだご覧になっていない方にも

 

是非劇場にお越しいただければ幸いです。

 

 

シャローム・アレイヘム!!