新井町の交叉点で、懐かしい しゃが を見ました。
生まれ育った家の玄関脇に、それこそ山のように咲いていて、初夏の陽気に水をたくさん遣ると凉しい風が吹きました。
なんの花でも 白い花を見ると “甘さ” のような味覚を感じるのですが、しゃが は真っ白でないのに同じ味を感じます。
黒田 夏子の「タミエの花」で、タミエは しゃが を テンニンゴロモと名付けます。
「シャガがあったら教えてね。
声が到いたのか、男の頭が振向いて、片手を上げた。さようなら、と言われたつもりであったろう。そしてもう見えなくなった。
シャガがあったら教えてね。
タミエは見えない男に向って、執拗に叫び続けた。叫びやめたらばもう、二度とあの花を見ることができなくなるとでもいう風に。・・・」
どもあもく