女相続人
1949年に公開された、ウィリアム・ワイラー監督の作品です。

19世紀半ば、ニューヨークの資産家達が家を並べる広場に
スローパー家はあった。
父オースティンは厳格な父、娘キャサリン(オリビア・デ・ハビランド)
は引っ込み思案で外にでることもほとんどなかった。
ある夜、従妹の結婚晩餐会に呼ばれた親子は世話好きの
叔母とともに会場へ向かう。
そこでキャサリンはモーリス(モンゴメリー・クリフト)という一人の
男性と知り合う。
キャサリンに一目ぼれしたと語り、積極的にアプローチする
モーリスにキャサリンはまんざらでもない。
急激に接近する二人は遂に婚約までしてしまうが、父の
オースティンはモーリスに懐疑的だった。
果たして若い二人の行く末は・・・

アカデミー監督賞を3度受賞しており、「ローマの休日」でも有名な
名匠ウィリアム・ワイラーがシビアな現実を描いています。
キャサリンの豹変ぶりは見ものだと思います。

オリビア・デ・ハビランドと言えば「風と共に去りぬ」でもメラニー役を
熱演し、アカデミー主演女優賞を2度獲得しています。仲が悪いことで
有名な妹のジョーン・フォンティーンもアカデミー賞を受賞しています
から、演技の上手さは血筋なのでしょう。

ちなみにこの姉妹は父が東京帝国大学(現東京大学)の教師であり、
日本の東京で生まれています。
よって、海外のwikiなどでも出身地は「japan」と記されています。
ヒトラー~最期の12日間
2004年に公開された、終戦直前のナチスを描いた作品です。

1945年4月、ベルリン。
敗色濃厚となっていたナチス下では多くの人がヒトラーに脱出を進言していた。
しかし、ヒトラーは断固として脱出しようとはせず最後まで戦う意思をみせていた。
連日の作戦会議で無理難題を指示する彼のもとからは徐々に人が減っていく。
それでも、ゲッペルスを筆頭に忠誠を尽す部下も多く、秘書や食事係でさえも
最後まで共に戦おうと決意する。
遂にはソ連軍がベルリンの総統本部近くまで侵攻し・・・

この作品はドイツ・イギリス・オーストリアの共同製作となっています。
ナチスやヒトラーを絶対悪として描いていないので、ドイツ単独では世に
出せなかったのではないでしょうか。
ヒトラーが死に、部下が後を追うさまは大戦中の日本と同様であり、
奇妙な親近感を覚えます。

日米ともに評価が高い映画なのですが、個人的にはリアリティがない
と感じました。
私自身は第二次世界大戦関連の資料を多くみているので、この映画は
綺麗すぎると感じてしまいます。
ほぼ知っている内容だったので物足りなかったのですが、知らない人には
おもしろいかもしれません。

いい映画とはなんなのかよく分らなくなってしまいました。
イントレランス
1916年に公開された、D.W.グリフィス監督の作品です。

いつの世にも「イントレランス(不寛容)」は存在する。
4つの時代において、そのイントレランスの再現を試みる

一.現代のアメリカ
雇い主からの一方的な解雇により、幸せな家庭が崩壊し、
無実の罪で夫が死刑を宣告されてしまった女性の話

二.イエスの受難
ユダヤ教で当時隆盛を極めていたファリサイ派による、
イエスへの迫害

三.古代バビロニア帝国の滅亡
バビロニアの高僧ベルの裏切りにより、滅亡への道を
辿った古代バビロニア

四.サン・バルテルミーの大虐殺
中世のフランスでカトリーヌ・ド・メディシスが行った、
ユグノーへの大虐殺

すべての人々を愛し、許す心があれば人間は幸せに
なるのではないだろうか・・・

映画創世記に作成された、3時間近くのサイレント超大作です。
特に古代バビロニアのセットは、当時はもちろんCGなどはなく、
すべてこのために作られたものになります。
遠方からのショットで分かりますが、とてつもなく巨大なセットで
出資する映画会社はさぞ悲鳴をあげていたことでしょう。

この作品には、制作裏話を描いた「グッドモーニング・バビロン!」
という映画があり、イントレランス本編を見た後に見るのもおもしろい
と思います。

また、この映画で初めて試みられたものの代表的なものとして
撮影技法があります。
クローズアップ、ロングショット、移動撮影、カットバック、空撮など、
後の世にもスタンダードとなる多くの技法がグリフィスの手によって
登場しています。
フルメタル・ジャケット
1987年に公開された、スタンリー・キューブリック監督の作品です。

舞台はベトナム戦争の最中である1960年代。
アメリカ合衆国内にある海軍の訓練所で今日も鬼教官が新兵達を
スパルタで鍛えていた。
その中でも、ガタイは大きいが運動神経は鈍く怖がりのパイルは特に
厳しい仕打ちを受けていた。
鬼教官はパイルを徹底的にしごくばかりか連帯責任で全員に罰を
与え、パイルの居心地はどんどん悪くなり毎日いじめを受けていた。
同期のジョーカーはパイルを気にかけ励ますが、次第に精神に異常を
きたしていく。
過酷な訓練も間もなく終わる頃、パイルは一つの決心を固める・・・

キューブリックらしく人間の醜悪な部分を全開にさらけ出すこの作品
ですが、実際に格段に高い自殺率を誇る軍隊(日本の自衛隊も同様)
をある意味正直にとらえていると思います。
軍隊(自衛隊)の中ではいじめは日常茶飯事なのです。
もちろんすべての人がそうではないのですが、軍隊が体をはって国を
守る映画しか見たことがない人は、こちらの「現実」も見てはいかがでしょうか。

ちなみに戦争映画ではありますが、戦闘シーンはほとんどありません
ので、ご注意ください。
ディア・ハンター
1978年に公開された、マイケル・チミノ監督の作品です。

1960年代後半のペンシルバニア州西部クレアトン、製鉄所で働く
仲間達、マイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・
ウォーケン)、スチーブンらはいつものように鹿狩りを楽しんでいた。
しかし、彼らは徴兵でベトナム戦争へ行くこととなった。
送迎会が開かれた後、3人はベトナム戦争へと赴く。
凄惨を極める戦場で偶然にも出会った3人だが、ベトコンに捕まり、
捕虜となってしまう。
捕虜となった彼らの前には、アメリカ兵の命をロシアンルーレット
でかけて興じる狂った世界が待ち受けていた・・・

180分の映画ですが、普通の人々が狂気の渦へ放り込まれ、もがく
様を描いています。

アメリカ兵は善人でベトコンを血も涙もない殺戮集団として描いている
所は一方的で不快な箇所ではありますが、あのロシアンルーレットの
場面を描くにはしょうがなかったのかもしれません。
マイケル・チミノはアメリカの良心を描いたと語っていますが、臭いもの
に蓋をして善人面されてもなあ、という疑問は残ります。
しかし、ロシアンルーレットの場面は特筆すべき出来であり、なんといっても
クリストファー・ウォーケンの演技がとんでもないです。銃口をこめかみに
あてて引き金を引く表情はいつまでも頭に残ります。これだけでも見る
価値はあると思います。