東ティモールで分校のコーディネーターをしていた時のこと。

本校の研修生を分校に送ることになり、私は一人の男子研修生をエルメラ県の分校に送ることに決めた。
彼の名前はキィム。
キィムにエルメラ県に行くように告げたら、彼は言った。
「先生、僕をエルメラに送るのはやめてくれ。エルメラのように寒い県に行くと僕は必ず病気になるから」
「は・・・?本気で言ってるの?!」
「うん。小さな頃から、僕は寒いところに行くと必ず病気になるんだ。だから、お母さんも反対すると思う。お願いだから他の暖かい県に送ってくれない?先生!」

私は考えた。
もし、これで彼を他の場所に送ってしまったら、彼は一生寒いところに行かないだろう。
そうしたら彼の人生は、一生暖かい場所に制限されてしまう。

だから、彼に言った。
「もし、卒業後エルメラ県で高い給料のお仕事が入ったら、どうするの?きっと、行くでしょ?!
もし、将来結婚したい相手がエルメラ県出身だったら、どうするの?ご両親に挨拶しに、行かなきゃいけないでしょ?!僕は寒いところがダメだから行きませんって言うの?!」
彼は黙った。。。
そして、彼に言った。
「病気になってもいいから、行きなさい!一週間寝込んで生徒を教えられなくても私が許可するから、行きなさい!!」
そして彼は、エルメラ県へ出かけた。

一週間後。
エルメラ県の分校のマネージャーに連絡をした。
「ねえ、キィム、病気になった?」
「はい!先生。キィムは病気です!」
「あらまぁあああ。。。。」
ダメだったか・・・?

数日後、私はエルメラに行った。
キィムは咳き込んでいた。
そして、私はあることに気がついた。
「ねえ、キィム、何で靴下履かないの?寒いんでしょ?」
「はい、先生!いま履きます!」
「ねえ、キィム、寒いのに何で短パン履いてるの?」
「あ、はい、長いの履きます、先生!」
「ねえ、キィム、寒いのに何で半そでなの?上着持ってないの?」
「あ、あります、先生!」
「ねえ、キィム、もしかして夜冷たい水で水浴び(お風呂)してない?」
「あ、してます。。。」

なるほどねーーー。
彼の「体が寒いのを受け入れられない」のではなくて、彼が「寒さ対策を知らない」のが問題だったのね。
そして、彼に寒い時にはどうやって体を守るのかを伝えた。
その後彼は、きちんと靴下、長袖、長ズボンを履くようになった。そして、水浴びは日中の暖かいうちに。

そしてその後、キィムの病気(風邪)は良くなり、エルメラ県で数ヶ月を過ごし、その後コーディネーターのアシスタントに昇格し、東ティモールの様々な県にある分校を視察して回った。もう彼は、その場所が寒かろうと、暑かろうと、どこに行くのもフリーだ。


それから半年後。
私が東ティモールを発つ日、彼は私にこう言ってくれた。
「先生。あの時、もし先生が僕をエルメラに送ってくれなかったら、今の自分はいないと思う。あの時の自分は、本当に寒いところに行けないって思ってた。でも、エルメラに行ったことによって、寒いところでも問題ないんだって自信がついたんだ。もう僕は、どこにでも行けるよ!」


彼から学んだこと。
私たちは、過去の出来事・経験によって、自分に制限を付けてしまうことがある。
例えば、「いつも失敗してるから、今回も駄目なんだ」とか「いつもあがってしまうから、人前では絶対に話せない」とか。
でも実際はどうなのか?
自分に「能力がないから出来ない」のか、それとも、自分が「そのやり方を知らないから出来ない」のか。
やり方を知らなければ、教えてもらえばいい。
キィムが寒い時には靴下、長袖、長ズボンが必要だということを教えてもらったように。
私も、自分に付けている制限を少しでも多く取り除いていきたいと思う。

東ティモールで、全寮制の生徒の担任をしていた時のこと。

その時私は3クラスの担任をしていた。
1つは、英語の成績、そしてリーダーシップとキャラクター共に優秀な生徒が集まったファーストクラス。2つ目は、成績、キャラクターともまずまずなセカンドクラス。3つ目は、成績も良くなく、シャイな子や校則をよくやぶってしまうような生徒が集まったサードクラス。

ファーストクラス、セカンドクラスの生徒たちはとてもアクティブで、クラスの雰囲気もとってもいい。
毎回クラスに行くたびにとっても活き活きとしたいい授業ができていた。

しかし、サードクラスに行くと、クラスはいつもどよーーーんとしていた。
何を言っても生徒の反応は鈍く、授業中眠そうな子がいたり、いつも授業に遅れてくる子がいたり、発言する時も声がとっても小さく、クラスの雰囲気はとっても暗かった。。。。。

だから、いつも私は、
「元気になりなよ!」「もっと大きな声で!」「もっと自信を持たなきゃだめよ!」「もっと努力しなきゃだめよ!」「いつも遅れてばかりいて!」「英語もっとがんばりなさいよ!」
「もっと、もっと!」を繰り返していた。

それでも彼らの態度が変わることもなく。。。。。
なんで彼らはファースト・セカンドクラスの生徒みたいになれないのか。
自信を持って、活き活きと生活ができないのか。
どうしたら彼らは変われるのか。
毎日頭を抱えていた。


そんなある日、ファースト・セカンド・サードクラス全員にひとつの課題を与えた。
「自分の良い所と、悪い所を書き出してみよう!」
この課題を与えた目的としては、自分には悪い所・克服しなくちゃいけない弱点もあるけど、でも良い所・素晴しい面もたくさんある。そういう風に自分自身の全体図を見ることができれば、たった1つの失敗だけを見て落ち込むことはない。どんな時も自分の自信を失わずにいられる。
このことを伝えるため。

この課題をファースト・セカンドクラスでやったときは大成功した。
みんな、自分自身のたくさんの良い所を見てより自信をもらい、それぞれの持つ弱点の改善に向けて頑張っていく力をもらっていた。


しかし、これをサードクラスでやったら、
「あれ・・・・??」
みんなのノートを覗き込み、びっくりした。

ほとんどの子が、自分の良い所よりも悪い所の方を多く書き出していた。
ひどい子だと、『良い所→3点 悪い所→12点』・・・・・・・・そんな感じ!

こりゃ自信が持てないはずだよ。
自分の良い所よりも悪い所の方が多く見つかるんだもの。


この後、その中の数人を呼び出して、聞いてみた。
「ねえ、あなたはいつも夕方に、学校中の椅子を集めるの手伝っているよね。『人のやりたくないことを手伝うことができて思いやりがある』って自分の良い所に書いてみた?」
「・・・・・え?!書いてないです。。」
「じゃあ、書かなきゃ!!あなたの良い点の一つでしょ?!」
「・・・あ、はい!」

他の子にも、
「あなたと同じ県から来た友達はみんな、学校途中でやめてしまったよね。でも、あなたは友達に流されず、一人でもしっかり学校を続けているじゃない。『すごい意思が強い』って自分の良い所に書いた?」
「・・・・え?書いてない。。。」
「じゃあ、書かなきゃ!すごいことなんだから、あなたの勉強に対する強い気持ちは!」
「はいっ、書きます!」

こんな感じで、彼らが自分の良い所を探すお手伝いをしばらくして、
少しずつ気がついてきた。
なんで彼らがこうなってしまったのか。


彼らは、いつも周りから、
「英語が弱い」「シャイだ」「自信がない」「おとなしい」「サードクラスの生徒」「やんちゃばかりしている」
そういわれていた。
私も彼らに、「もっと○○しなさい」「もっと!もっと!」って。
いつも彼らの足りないところばかり強調してきた。
だから、彼らはその言葉ばかりを吸収してしまっていたんだって。

だから自然と彼らは、「自分は欠点ばかりなんだ」って、そう思ってしまったのだろう。
だから、いつも元気がなかった。
いつもマイナスな言葉ばかり聞いて生活してたから。

もっとポジティブな言葉が必要なんだ。彼らは。
「あなたにはこんな良いところがあるんだよ」って。
そうじゃないと、バランスがとれなくなってしまう。


この気づきを他の先生たちともシェアして、
そもそもこの「ファースト・セカンド・サードクラス」という呼び名も良くないよね、って話が出た。
「サード」は自然と「ファースト」に劣等感を持ってしまうから。
そしてその後、その名前も変えることにした。

ネガティブな言葉の目に見えない威力と、ポジティブな言葉の大切さをあの生徒たちから学んだ。


マレーシア、カンボジア、東ティモール、NGO滞在記!

全寮制の生徒のクラスルーム(といっても、木の下での青空教室☆)


マレーシア、カンボジア、東ティモール、NGO滞在記!

                    
「自信とスキルは関係がない」


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マレーシアで英語を学び始めて半年くらい経ったときのこと。

家の近くのビーチでよく勉強をしていた。同期のまゆみと一緒に。

ある日、そのビーチで建設中のホテルを見て、まゆみが「中に入ってみようよ!」って言った。
だから二人で恐る恐る入って中を見てみると、シーン・・・・・・・誰もいなかった。

二人で屋根のある場所に腰掛けて、しばらくおしゃべりをしていた。

そしたら、、、、

「Hey! What are you doing?」

上半身裸の男の人たちが出てきた(!)
そこの建設現場で働いてる人たちだった。

「勉強してるのよ、ここで」 って言ったら、

「オッケーイ!続けて、続けて!」 って言われた。笑

そして奥から使ってない板を持ってきてくれて、
「ここに座って」みたいなこと言ってくれて。

ほんと心が広いよね。

その後しばらくしたら、またその男の人がやってきて。

「どこから来たんだ?」
「ここで何してるんだ?」
「学生なのか?」

みたいなことたくさん質問されて。
彼らはインドネシアから出稼ぎに来ていたらしい。

「俺らの国はあそこだぞ!」って海の向こうを指差され。

超フレンドリーだった。

正直言って、彼らの英語は私の英語よりも全然弱くて。
たまに彼らの言ってることが分からなかったりしたけど、それはジェスチャーでカバーしたり、何度も聞いたりして。
何度聞いても、言いたいことが伝わらない時も、
それでも彼らは落ち込むことなく、
シャイになることもなく、
変わらずにフレンドリーに話しかけてきた。

その頃の私は、
自分の英語の弱さを恥ずかしく思ってて。
なかなか積極的に話しかけられなかったり、
もし相手に言いたいことが伝わってなかったら、もう話すのをやめたり。
自信が本当になかった。

でも、そのインドネシア人を見ていて思ったんだ。
「なんで彼らは私より英語がしゃべれないのに、私より自信があるんだろう」って。

それで、気がついたんだ。
「自信=スキルとは関係がないんだ」って。

ずっと、スキルがあるから自信を持てるんだって思ってた。
英語が話せるから自信を持てる、とかね。

でも今は、必ずしもそうではないんじゃないかと思う。
現状だけを見て自分の自信が決まるのではなく、将来の可能性を見て自信を決める。

「今の私には高いスキルはないけど、私も練習を続ければ他の人のようなスキルを身につけることができる」
これを理解していること=自信なのだと思う。


そんなことを、このインドネシア人から学んだ。


マレーシア、カンボジア、東ティモール、NGO滞在記!



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マレーシアで私の住んでた町マラッカ。