月組公演「桜嵐記」と「Dream Chaser」を観劇してきました

月組トップスターコンビたまきち(珠城りょう)とさくさく(美園さくら)の退団公演。
素晴らしかった
悔しくなるほど。またうえくみ(上田久美子)先生の作品で泣かされた
って嬉しいんだけど常に期待以上の作品を見せられるからまるでうえくみ先生の掌中にいるみたいだから悔しくて



結果…感激しまくって幕間にルサンク買いに走る。
うえくみ先生の作品を生で見たのは「星逢一夜」の初日でその時は感動しすぎて席からなかなか立てなかった。しばらくしてお手洗い行ったら私含めてまだ泣いてる人多数。
上田久美子ってすごい
こんな、すごい脚本家がいる限り宝塚は安心って心の底から思ったな。

桜嵐記の舞台は太平記の南北朝時代。建武の新政後すぐ後醍醐天皇が南朝に逃れ、足利尊氏が北朝を興し、南朝の劣勢の中、死を宿命としていきる楠木正行(珠城りょう)の生き様と短い恋の話。観劇翌日図書館で南北朝時代の本で勉強。
…こんなに太平記って面白かったのね…

うえくみ先生は吉野を訪れたとき楠正行と弁内侍の物語を知ったそう。
死を宿命とした正行は弁内侍と想いを通じながらも弁内侍を慮って夫婦とはならずに戦死。弁内侍は正行を想いながら生涯を尼として過ごす…ものすごく宝塚らしい



楠木正行(珠城りょう) たまきちの正行は無骨さと優しさと誠実さと、あてがきだろうな、とすぐにわかるくらい役にぴったりで、見てるほうはもっと器用に生きなよ…って思うくらいその宿命を背負ってて。それはたまきちがこの5年背負ってきたトップスターとしての清らかな姿と重なりました。
弁内侍(美園さくら) 娘役にめっぽう甘い私なのでさくさくも大好きです。さくさくのユニークなキャラクターがとたまきちの生真面目さのアンバランスな感じが逆にとてもコンビらしくて好きだった。下級生の頃主席でありながら全く努力してこなかったこと、そこから役がついてからのできない自分や脚本家との向き合い方。今までにいないタイプの娘役でその個性、抜群のスタイル、大人っぽい雰囲気、どれも魅力的だった
そんなさくさくの弁内侍が本当にセリフから所作から素晴らしくて素晴らしくて感動しきりでした


楠木正儀(月城かなと) れいこの正儀は面白いキャラクターとして描かれていて正統派のれいこのこういう役はトップになったらもう見れないんだろうな、って思うと尚更貴重。観劇後調べたらこの楠正儀が兄、正行死後に北朝との統一に動いて足利義満側になり、南北朝時代が終わるんですね。歴史面白い
って作品のあとに起こる史実に大興奮


楠木正時(鳳月杏) ちなつが演じるとすべてカッコ良くなるの何
っていつも思うけどこの正時も素敵だった~。奥さん想いで戦いを好まず、でも最後は正行と共に死ぬ。奥さん役の百合(海乃美月)との大人な雰囲気も良かったなぁ。

高師直(紫門ゆりや) 専科に異動となるゆりちゃん。ロイヤルなイメージのゆりちゃん像を覆す好色な師直に驚愕
さすが専科へ行くだけある演技で引き込まれまくり、まず調べたのがこの高師直だったりしました。それくらいのインパクトがあった。湯殿で侍らせるさち花ちゃんとの妖艶さにもドキドキ


専科に同じく異動になるまゆぽん(輝月ゆうま)、若手なのにすでに専科並のお芝居をするおだちん(風間柚乃)高学年になってもアイドル顔なのに老け役が素晴らしすぎたからんちゃん(千海華蘭)。月組の人材すごすきる

そして後村上天皇を演じたありちゃん(暁千星)の瑞々しい美しさに見とれる。ありちゃんはエネルギッシュな役柄のイメージが強かったからギャップ萌え
…月組充実してるな~


うえくみ先生の脚本の素晴らしいところは出演者それぞれに背景と見せ場を持たせ、役にも役者にも注視させてしまうこと。恐るべき上田久美子

中村A先生ももう60代後半なんで大ベテラン演出家なのですがお芝居の脚本ではハマったことが失礼ながらなくて

でも、確かにショーの演出はきりやん(霧矢大夢)の「ダンスロマネクス」とか紅ちゃん(紅ゆずる)の「ESTRELLAS~星たち~」は最高に楽しかったな、と思い出した

そして誰がどの場面の振り付けをしたか気になりすぎて観劇後にプログラムを買う。
プログラムは溢れすぎてて基本、買わないことを決めていて、だいもん卒業してからまさかプログラム&ルサンクまで買うなんてね…

スパニッシュ さくさく(美園さくら)をちなつ(鳳月杏)とありちゃん(暁千星)で奪い合うという普通は割と後半にありそうなシーンをドーンと見せられてもう前のめり状態

ここがトップコンビと二番手じゃないところが非常に良くてそれだけ月組の人材が豊富ってことだ

ここの振付羽山先生

ミロンガ ミロンガってタンゴの舞踊会のことなんですね。たまきち(珠城りょう)とちなつ(鳳月杏)の男役2人のタンゴ…ひゃー
となりました
娘役さんたちもかっこよかった。振付はヤンさん(安寿ミラ)で納得



I'll be back 宝塚でたまにあるアイドルユニット系。2PMの曲でれいこちゃん(月城かなと)がラップを歌う
ここの振付は百花沙里ちゃん。80期のOGジェンヌさん。私が宝塚を見始めたときに活躍されていて最近よく振付担当してますね


DAWN 和風テイストのロックでとにかく音楽とダンスがぴったり合ってて見てて気持ちよかった~。ここは御織先生の振付。
Hymn of life 月組全員のダイナミックなシーンで感動的。振付平澤智さん。ご自身の舞台の演出、振付だけでなく宝塚でも振付多いですよね。
フィナーレ さくさくを中心とした娘役さんだけの場面。トップ娘役の退団と時は必ずあってほっこりします。大階段を使った男役の黒燕尾、トップコンビのデュエットダンスも最高に美しかった。さくさくのデュエットダンスの時のドレスが白地に裾だけが強めのピンクだったのが素敵
エトワールの水色の地に白いレースがあしらわれてておまけにセンターはさくさくの長い美脚がわかるようにミニになってるのも素敵


お芝居もショーもすべてが私が大好きな構成で本当に素晴らしかった。Twitterでトップのサヨナラ公演としてここ20年で出色の出来とつぶやいたら1日で250以上の
いいねの反応があったことを鑑みるとこの感覚は他の宝塚ファンの方たちも同じだと思う

贔屓組でないのに1回見ただけでブログでこんなに長文書けることもなかなかない。それくらいの作品に出会えたことは本当に幸せですね

観劇後はなんか感動してホワホワしながら皇居周りを歩きました
たまきち、さくさく、宝塚卒業おめでとう。本当にお疲れさまでした
