バレンタイン死ね!とか言ってますが、本当は本命チョコもらったことがあります。秘密にしてたけど。
先日行われた僕の高校での卒業式の帰り、こうやってみんなで集まれるのも最後かもしれないということで昼御飯を兼ねて近くのファミレスへ出向きました。まぁ最後ということでいつものメンバー以外にも何人もいてですね、それはそれは大人数、ファミレス側に迷惑をかけたことこの上ないかもしれませんが最後ということで見逃してくれたようです。
そこでは食事の傍ら、この三年間の思い出を語り合ったわけです。ある人は部活に入ればよかっただの、ある人はあの子と結局うまくいかなかったこと、またある人はこのメンバーにはいないKYなやつの悪口など…
恋の話をしていると、当然いつしかの僕の本命チョコ事件の話へと転じてしまうわけなのです。僕はなるたけその話だけはしたくなかったのに…
200X年2月14日。
聖バレンタインデーということで学校は軽いパニック状態。今年も例年のように一個ももらえず涙するものや、義理チョコをもらって本当は涙が出るほどうれしいのに「あぁ、アリガト」と我慢してクールに決めちゃったがゆえに顔が半分おかしなことになっているもの、また友チョコではしゃぐ女子たち。
そして授業中もある女子が言っていました。
「男子~、帰り下駄箱にチョコが入ってるなんてこと期待してるでしょ!?マジありえないから!ハハハ!」
わかってます。
そんな僕は部活の活動日でもなかったのであわれみのチョコももらえず(まぁ部活の女子からは後日もらえましたが)、涙を流す立場にいました。そう、帰り際までは…
授業が終わり、用もないのにそわそわ…そわそわ…しながら、変な汗をかきながら「え?僕もう帰っちゃうけど、みんな僕に渡さなくていいの…?」っていうオーラを放ちながらしばらく教室に居残ってみるものの、一向にもらえる気配なし。こんなところにいても涙が溢れてくるだけ、まさに生き地獄と察した僕ら負け組数人はまだまだ廊下ではしゃいでる女子たちを片目に下駄箱へ向かうのでした。
「あ、ちょっとごめん!どいてどいて!」
と横一列に並んでいた僕らを運動会の障害物かのように肩をぶつけながらも走りぬけていく女子2人組。愛しのあの人に早くあげないと帰っちゃうかもしれないからね。急ぎなさい。諦めすぎて慈悲深い仏の心を手に入れていた。普段の僕だったら肩をぶつけられた瞬間「いてーな…ぶっ殺してやる…殺す殺す殺す…」と心の中で唱えまくっちゃう根暗なやつですが、今日という日はもう何に腹が立つかっていうと自分の情けなさに腹が立っているわけですからもう何も文句なんて出てきません。慈悲深き仏のごとく。
どこへ行っても女子の塊。中臣鎌足。ナカトミノカタマリ。ププッ。そんなことを思いつつ、下駄箱の扉を開けて外履きにはきかえようと思ったその瞬間見つけたのでした。運動靴の上に置いてあるかわいらしい包装紙を。
僕はとりあえずもう一つの皮靴に履き替えて下駄箱の扉を閉じました。そしてその下駄箱に一度僕は頭をぶつけてみて、もう一度扉を開いてみました。やはりありました。
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
もう混乱なんてもんじゃありませんでした。見つけて数秒間冷静にしているところから、完全なパニックに陥っていることがお分かりでしょう。なんと僕は本命チョコをいただいちゃったわけなのです。(一瞬、さすがに義理だろ!と思ったもののそれなら下駄箱へ入れる必要がないなと思い、さらに中に入っていた手紙で確信を得ました)
「突然こんなことしてごめんなさい。驚いたかと思います。よかったら下のメールアドレスにメールしてください。」
ピンク色の小さな紙に書かれたオレンジっぽい文字。見ずらい。そして枠の外に例のメールアドレスと、本名が書かれていました。
その名前に僕は見覚えがあった。以前クラスが一緒だった、でも全くと言っていいほど話したことのなかった、クラスでもどちらかというとはじっこのほうで静かに毎日を過ごしている、そんなような子の名前だった。
(続く)