中学校のとき、ものっそい口の臭い理科の先生がいたんです。


まぁその先生は自分自身でも口が臭いことを自覚してたみたいで、給食のあととかかならず職員室の洗面所でハミガキをしてから午後の授業に臨んでいたんですけど、それでも臭いは取れないくらいの手遅れな感じな先生だったわけなんですよ。

授業のときも割りと親切に教えてくれてたし、テストは簡単だったし、問題の書き間違いとか絶対にありえないくらいでなかなかいい先生だったんですけど、そのルックスと臭いと口うるささでめちゃくちゃ嫌われてました。

そんな嫌われていた先生でしたが、僕の救いの手を差し伸べてくれたこともありました。

今では健康そのもの!もう健康二重丸地!ってくらいの出席率で陸上部で活動をしてるんですけど、中学の頃は野球をやってたんですね。でも先生がイヤでイヤで仕方なくなったのでやめちゃって、一緒にやめた友達と「コレから部活どうしよ・・・」とかブツブツ言いながら廊下を歩いていたとき、その先生が現われたんです。

W先生「やあキミたち。何をうろついてるんだい?」
僕「いや・・・部活何はいっていいか迷ってて・・・」
W先生「それじゃあ僕ら科学部に入らないかい!?」
僕「あ、じゃあ入ります。」
W先生「はやっ!じゃあ入部届け書いておいてね。」

勧誘されたんです。僕らも受験のために何か部活に入ってたほうがいいんじゃないと思ってそのときは軽い気持ちで科学部に入ったんですけどね、そこの部員が何話してるわからないわけ!地球の起源とか宇宙の話とかアニメの話とかもうワケがわからない!とりあえず僕はその話に入れなかったんで愛想笑いしながらその場を過ごしてました。時間がゆっくり動くって、こういうことなんだなぁ・・・とかも思いながらけっこう部活には出ていて発見したこともあった。

いつもはおとなしくクラスの隅っこで本読んでるアイツが、部活ではこんなに元気になって話の中心になってる・・・楽しいんだろうな、この時間が。普段だとなかなかない自分中心に世界が回ってる時間。それを思い切り楽しんでるんだろうなって思ったりしてちょっと科学部を見直したりもしてた。


しかし、悲劇は現実のものとなる。僕ら科学部は誰がなんと言おうとオタクの集まり。そのころ僕はまだクラスではオタクの分類はされてなかったと思う。しかし、あのときから僕はオタク扱いされはじめてしまったのだ。

ある日、僕はいつもどおり部活に行って時間を潰そう(あんなの活動って言うか趣味の部屋として科学教室を使ってただけっぽいし)と思って科学教室に行ったんですけど、僕と一緒に入部したI君(詳しくはミクシイを読んで!)がいないんです。僕を置いてばっくれたみたいです。僕はめちゃくちゃ寂しい思いをしたけれど、一人で帰るのもなんだし、ちょっとカルメ焼でも作ろうと思ってザラメとか用意してたんです。

「(ガラララ)Aちゃんいるー?」
「え、Aさんならあ・・・!!

え、Nさんだ!僕が結果的に3年間恋をしてたNさんだ!な、なんでここに!?

僕はとっさに顔を隠した。Nさんにこんなオタク部に入ってることはばれたくない!もう知らない振りして僕はカルメ焼を作ってました・・・しかし、火の調節を間違えた僕。ザラメが突沸!

僕「(パァンッ!!)うわぁぁっ!」

思わず声を上げてしまったけど、NさんはAさんと話してる・・・ば、ばれてな・・・

N「アレ?そこにいるの、もしかしてnebe?」

ば、バレタァァァァァァァッ!!!!

僕「へっ、しくじっちまったぜ・・・ん?アレ?Nじゃん。なんでここにいるの?」
N「いや職員室に来るついでにAちゃんと話に来ただけ。」
A「ついで!?」
N「っていうかnebe、科学部なんだね・・・
僕「(ズキッ)うっ・・・」
N「バレー部だと思ってた・・・」

野球部だったのにバレー部在籍だと思われてた僕。それはそれで悲しい・・・っていうか普通にばれちゃったし、それだったら帰宅部の方がよかった・・・(しかも部活のこととか受験でほとんど関係なかった、というのもずっと帰宅部のヤツほどいい学校に合格してたから・・・)くそ!あの時・・・あの時お前が誘われてなかったらこんな目に遭うことはなかったのに・・・!Wのヤロー、絶対にゆるさねぇ・・・(逆恨み)



そして3年の時は過ぎ、2006年6月7日・・・つまり今日。水泳とかで疲れた体を引きずりながら掃除当番ということで化学教室に向かった僕らの班。でも化学教室にはたくさんのおっさんとおばさんが。中学の先生達の研修が僕らの学校で行われてたらしい。それをガラス越しにこっそり覗いて見てました・・・

ん?あ、アレはWのヤローだ!!!!

あのときの恨み晴らしてやる・・・とか思ったけど、それでも恩師って言ったら恩師です。師弟の喜ばしい再会ってことにするか・・・

「W先生!W先生!」

僕は中学の頃の思い出(主に悪い)を思い出しながら先生の名前を呼んだ。そしたらあの酷いルックスの微笑で振り返ってきた。僕も微笑返してみたけど、そしたら先生はなんだか困った顔をしたんです。研修の邪魔だったのかな?

僕「お久しぶりです!覚えてますか?」
W「おーキミか。ちゃんとがんばってるかぁ?」
僕「まぁ・・・高校は難しいですよ。」
W「ワハハ、でも2年になって出てくるバケガクってヤツのが難しいぞー」
僕「え?僕もう化学習ってますよ。」
W「へ?・・・・・・1年だろキミ。」


わ、忘れられてるゥゥゥゥゥッ!!!


あの時勧誘したのは僕の瞳にきらりと輝くものがあったからじゃないのか・・・誰でもよかったのか・・・すごいショック。というか最初から変だとは思ってたんだよ、3年前とは言え、自分の教え子を「キミ」呼ばわりとか・・・あのワハハーとか笑ったときも内心では「何コイツ・・・誰だっけ・・・」とか思ってたんだろうな・・・へっ、どうせ存在感の薄いヤツでしたよ僕なんて・・・

僕「じゃあがんばってください。さようなら。」

僕はそう言って事情によって掃除の出来ない化学教室をあとにしたと同時に、W先生との永遠の別れを誓った。そして僕は思った。

「相変わらず口、めっちゃ臭いな。」って。