電気が消され、沈みかけた夕日の光だけを頼りに大きな足音を立てながら薄暗い校内を駆け巡る。


誰一人残っていない教室の数々。定時制の生徒がもう学校に来て授業を始めている。そんな中、制服を着ている僕が一人だけ混じっているっていうのはなんとなく気まずい。そのため、定時制の授業のない階だけに絞って僕は駆け巡っていた。そう。うんこがしたくなったのだ。

しかし学校のトイレでは、トイレットペーパーを使ったイタズラがよくおこなわれている。ある程度の長さで切ったトイレットペーパーを水にぬらし、それを思い切り壁にぶつけた痕跡がたくさん残っている。そのため、生徒用のトイレではトイレットペーパーが支給されず、大便器の存在意義をなくしているわけだ。

トイレットペーパーが支給されているはずの職員用のトイレは定時の授業のやっている階にある・・・さすがにそれはきまずい。それに数少ないうんこのできるトイレだ・・・もしかしたらもう誰かに使われているかもしれない・・・そしてそれが定時の人だったりして・・・それはもっと気まずい!それなので僕はなんとか、定時の行っていない階の生徒用のトイレでトイレットペーパーを探さなきゃいけなかった。


ジョジョ・・・人間ってのは我慢の限界があるなあ。


限界の突破である。限界に達した直腸や肛門は、内から出てくる未知なる創造物をそこに繋ぎ止めておくことができなくなった。排便。その日の前日は、夜遅くまで外に出ていたために、うんこをしろ!という命令が脳みそから出されずに眠りに付いてしまった・・・その代償として、いつもなら家までなんとか我慢できることが、この日はあまり我慢することができなかったわけなのである。

困ったことに、仕方なく入ったこの個室にも紙がなかったことだ・・・このまま肛門辺りに違和感を持ちながら、帰りの自転車では決してサドルに気を許すことなくずっと立ちっぱなしで家に帰ることも考えた・・・しかしそれは肛門にとってあまりいいことではない!放置していると痔になっちまうからなァ。こうして策を練っている間にも、痔という名のタイムリミットは刻一刻と迫ってきている。とりあえずトイレットペーパーの代わりになる紙を身に持っていないか確認してみた。

僕は常にポケットティッシュを持つタイプではない・・・あとほかに紙となると・・・お札かブックオフの50円サービス券。さすがに柳沢慎吾みたいにお札でふくのはもったいないので、仕方なく50円サービス券を使うことにした。一発でしっかりふけるようがんばって、トイレに流そうと思った。

しかし・・・この50円サービス券を手に入れるために1000円もはたいたということを僕は思い出していた。これは50円という仮面を被っているが・・・もともとは1000円だったもの・・・しかも!僕はマンガを集めるときは全力なので、とにかく知る限りのブックオフへ自転車で行きまくる。それは自分の家の町を中心にして隣町まで行かないかもしれないけど、それを一日に何件も回るのでそれなりの走行距離になる。そんな努力をしても一冊も見つからないなんてこともザラにある。そんな努力の結晶がこの50円サービス券。それをそうやすやすと捨てることなんて・・・できないよ・・・

僕はそのサービス券を持って個室から出てきた。ふいた面が見えないように水道まで持っていき、そこからは目をつぶっての作業。水で!洗い流す!その後手をよーく洗い、サービス券をパタパタして乾かしながらそのトイレをあとにした。しわくちゃになったサービス券をまた財布の中へしまった・・・