走る閃光、そしてそれをも超える速さで追いかける「何か」・・・


「こちら司令官!P-32号乗組員、応答せよ!応答せよ!」
ピーガガガガーーー・・・


20XX年。地球は世界中のありとあらゆる機関が協力し合い、戦争や争いのない平和な世界が出来上がってきている。
諸犯罪は起きつつもまさに平和である。オードリー・ヘップバーンなど多くの著名人が命を削ってまで願い続けた理想の世界が出来上がりつつある。

このある少年と少女のいる東京ドームのある日本も同じ。

「トシ!早くしなよ!巨人戦始まっちゃうよ!」
「待ってよチカ姉ちゃん!まずこの売店寄ってから・・・」
「帰りでいいでしょ!さっ、早く早く!」
「・・・?」
「トシ?どうしたの?」

トシは遥か遠くの空にいるにもかかわらず、その「何か」の気配を感じ取っていたのかもしれない。でもそんなことわかるわけの無いトシは全く気にせずドームの中へ。

試合は進み、6回裏が終わりラッキーセブンのため準備に時間がかかっている時。その「何か」はとうとうここまでやってきた・・・!

「トシ、ジェット風船買いにいこ!」
「・・・真上にいる・・・」
「え・・・?何が?」


ドーーーン!!!!

東京ドームの屋根に光のビルが貫き、そしていつしか消えていった。そこには大きな穴が開いている・・・
何かとてつもないものが入ってくる・・・そう感じたトシはガタガタと震え始めていた。


「それ」は案の定、その大穴から入ってきた。そして「それ」はドームにいた人間全員が聞かずとも察していた。

「明らかに地球のものじゃない・・・」と。


「それ」はグラウンドにある程度のスペースを余らして埋め尽くしていた。入りきらなかったと思われる「それ」らはドームの周りを飛び回っているのが大穴からよく見られた。
そしてそのあまったスペースにもう一機だけ降りてきた。しかしそれもドームにいた人間全員が聞かずとも察していた。

「「最後のアレ」にはとんでもないものを乗せている・・・」と。


トシの震えはまだ止まらない。
「トシ!大丈夫!」
チカの心配をよそにトシの震えは増すばかり。

「あ、アレはヤバイ・・・こッ、ここにいる人たち全員殺されてしまう・・・!」
「え!?」


そして数分後、「それ」からはぞろぞろと明らかに地球外のものと思われる武器らしきものを手に持っている昆虫のような生物がこの地球の地に足を踏み入れた。
その後その生物を指揮しているであろう者、さらにその指揮官をも収める司令官らしき者、そしてドームにいた人間全員が聞かずとも「一撃でここにいる人間すべてを殺すことができる・・・」と察し出来るほどのオーラを持ったすべてを総括する者。

まさにそれは王と呼ぶにふさわしい!それほどの威圧感!

平和にすがり付いて生きていることにほんの不安の無かったそこにいる人間達は、今までに体験したことのないくらいの禍々しいオーラに圧倒!全員が半失禁状態に陥っていた!少年と少女とあと一人を除いては・・・

「こんな怖いもの見たことがない・・・でも・・・なぜだろう。この包みまれるような感じ・・・」


チカは不思議な気持ちになっていた時、一人グラウンドに踏み入る「人間」・・・

「あー!アレは「スタメンから落ちて控えになっても表情一つ変えないミスター鉄のハート、眠れる大砲”稲田”」じゃないかーー!!!」
「アンタさっきまで信じられないほど震えてモノも言えなかったんじゃ・・・」

そう、彼の名は稲田。主にサードなどの内野をやっているが捕球率の悪さからスタメン落ちした超重量打者である!
彼は野球を愛し、そしてホームランを愛し続けているが故、並大抵のことでは心を揺るがすことは不可能!エラー率最悪の結果が出てもホームランを打ちまくる貴重な得点源で球団としても辞めさせるわけにはいかず、ホームラン王になっても安年収で雇われているベテラン選手である!
安年収でも彼はどうじない。

しかし、一つだけ彼を揺るがすことの出来る唯一の手段!それは彼から野球を奪い取ることだ!

最近はドーム球場が増え、雨天中止ということが減ってきたが、まだ屋根なしの球場で試合をやっている時代、突然のスコールともとれるほどの超豪雨が彼のチームを襲う!
いつも表情一つ変えない彼が突然発狂、しかも空に向かって!そう、彼は雲に野球が出来ない鬱憤を晴らしていたのだ!
そんな彼の野獣とも思われる雄たけびが聞こえたのか、球場の真上にあった雲からだんだん晴れていって試合決行にした伝説を残している!

乱闘が起こっても「いつか再開するだろう」と思っているのかずっとベンチの残っている稲田が今回ばかりは動いた!
この状況では「どんなに時間がたっても再開はしない」と思ったからだ!

「やいやいやいやい!これじゃあ試合ができなくな・・・」

生物は手に持っている武器で稲田を瞬殺!まさに文字通りの瞬殺!
ドーム全員が一瞬何が起こったかわからなかった。それくらいの瞬殺である。
そして数秒後、全員は「兵士でコレ・・・だとすれば王は・・・とんでもないッ!」と思いみな震え上がった。


「聞いてくれ」
喋った・・・王が喋った!?しかもかなり流暢な日本語で!

「今のはいわゆる「見せしめ」というヤツだ・・・だから我々はもうこれ以上太陽系第3惑星人、「地球人」を無駄には殺さない。しかし、我々がコレから地球人に要求したことを飲んでくれればな・・・」
どうせ無茶な要求だろう・・・全員は思った。

「私がいまからある程度の数の地球人に指を指す。ということは私に前々から目をつけられていた、と思ってもらってほしい。私は運命をコントロールする力がある。目をつけていた地球人は今日ここに来るよう運命を変えていたのだ。」
そういうと一人一人、指をさしていった。バックスクリーン横にいたカメラマンはその指をさいた人間を写し、そしてスクリーンに映していた。あの二人、チカとトシも指をさされた・・・

「以上だ。コレに選ばれた地球人は今日から3ヵ月後、ということは地球の暦で言うと7月20日。海の日だ。その日にココで私と戦ってもらう。まぁすぐには戦えるわけでもないがな。私が倒された場合、ココにいる兵士一同、地球に勝手に入り込んだことを死んで詫びる。」
もしかして日本ファン?秋葉原に行く外国人のようなもの?そう思った人間はちょっとだけいた。

「しかし、選ばれた人間がみんな私の力に及ばなかったら・・・人類は滅亡すると思っていい。それがいやな人は地球の外に逃げるか、もっと強いと思われる人を私と戦わせるんだな。まぁ私がこうやって目をつけていたんだ。ここにいるに地球人以上に強い地球人はなかなかいないだろうな。」
人々は絶望を感じつつ、王に目につけられたあの二人の子供を心配する声もチラホラ。

「だんだんとマスコミも集まってきたようだな・・・ココを本拠地とし、公式にこのことを発表しよう。あと私に選ばれた地球人はグラウンドに降りてくること。降りてこなかったら・・・わかってるよな?」



数日間、そのことはテレビや新聞にはこのことが大きく取り上げられた。

そのころあの姉弟は修行のため、芦ノ湖を目指していた・・・

運命の日まであと約3ヶ月・・・