人は空を飛ぶことを夢見る。


僕は進路を決めるために人より遅く学校に残っていました。しかし結局何になりたいのか、そして大学はどこへ進みたいのかとかは決まらずなんだかもやもやした気持ちでカバンの置いてある教室まで静かな廊下を歩いていたのです。

小学校のころに思っていた未来への希望、「中学になったらきっと。」「高校になったら彼女がいないことすらありえない。」という夢もはかなく散っていきそうな勢いの僕の高校生活。そんな充実していない毎日を送っているのに、大学に入るなんてもってのほかだ。17歳といえば人生の中でも1,2番を争う楽しい時期だというのに、恋をしていないなんてどういう人生を棒に振る方法?と思いながら教室へ到着し、次の面談の人に終わったことを知らせて帰ろうとしたときでした。

声が聞こえる・・・こんな放課後まで残って何をしているんだ?まさか!学校でエッチなことでもしているんじゃないだろうなぁ~!とか思って覗いてみると、そこには彼女がいるくせに女にもてはやされているモテ男Sクンと、彼氏がいるくせに男から人気のあるモテ女Rさんたちカップルがいました。学年の中でも付き合っている期間が一番長いカップルのひとつに数えられている彼ら。・・・そうか、僕の思い描いていた未来の自分とは彼のような人間なんだなと思いながら・・・

と、おもむろに窓を開け始めるSクン。そしておもむろに彼女のひざ掛けに手を掛けたァー!まさか外にまでRさんのあえぎ声を聞かせてやろうっていう魂胆なのか!ゆるさん!止めに入ってくる!気まずいけど!

「お前このひざ掛けで羽ばたいたら空飛べるんじゃね?」

「飛べそうだよね。」

恋愛をすると女は恋という名の、男は女という名の酒に溺れるという。どんな酒よりおいしいとされるそれは、付き合っている最中はそのまま飲むこともでき、将来その当時付き合っていたことを思い出すことによって酒の肴ともなるすぐれものだという。

つまりこの二人は酔っ払っている。いつもは無邪気ながらも冷静な一面も見せているSくんや時折大人な顔立ちを見せてくれるRさんも時々はこうやってはじけることも必要なんだと思う。僕は手を掛けていた扉から手を離し、静かな廊下を抜けて帰り道を進みだしたのです。

「あー、恋してぇー。」