楽しかった高校生活も今日で終わり。これから卒業式に望みます・・・
私の名前は土橋智美。ネーミングセンスが一世代昔なのは、名づけた人が悪いから私は何も悪くないわ。
中学の時の親友が一緒に受けよう!と言われ、私のレベルじゃちょっと厳しいこの女子高に入ってしまって早三年。そんな親友はなぜか落ちてしまって違う学校へ行っちゃって、結局中学からこの学校に入ったのは私一人だけだった。
受験はなんとか頑張って入ることは出来たけれど、実際に学校の授業が始まってみるとまったく内容が理解できず、ついていくことがだんだんつらくなっていった。周りには知らない中学から来た子ばかりで、なかなか馴染めず、いっそこんなつらい学校辞めてやる!と思ったこともあった。
そんなとき、私を慰めてくれたのは若本先生だった。
先生は体育の教師。他の授業でもついていくのはつらかったけど、体育の成績は他の教科と比べ物にならないほど低かった。そもそも私には運動神経はまったくないのだ。そのため、体育の補習は何度も何度も受けさせられた。何度やってもできないときは、若本先生とマンツーマンで、暗くなるまで付き合ってくれた。今まで3段までしか飛べなかった跳び箱も、今ではその倍の6段までなんとか飛べるようになった!
そんな若本先生とは、学校の中で一番仲がよかった。年齢差は15歳ほど、でも私はクラスの子たちとお話をするよりも、若本先生と一緒に補習を受けている時のほうがよっぽど楽しかった。そのため、唯一できるはずの縄跳びでもわざと補習を受けるように、すぐに失敗するような演技を繰り返していた。
そしてそんな若本先生への気持ちは、やがて恋心へと変わっていった。
女子高だから男子と交流がなく、仕方ないから先生と・・・という話はよくあるけれど、私は違った。たとえ共学でも若本先生から体育を習っていたら恋してたと思うし、本当の彼氏が欲しければ合コンか何かをすれば、簡単に男子ともかかわりを持てた。でも私はそれをしなかった。若本先生への気持ちが本気だったから。
ある日の夕方、私は勇気を振り絞って先生へこの気持ちを打ち明けた。でも先生は・・・「先生と生徒の間柄で・・・そんな気持ちにはなれないよ・・・。ごめん。」とだけ。結果は大体予想できたけど、やっぱりショックで学校を何日か休んだこともあった。
それでも私は先生のことが諦められなかった。その後も何度か告白をしたけど・・・全部断られた。そりゃそうだ。私が若本先生の立場にたったら・・・・・・。迷惑だっただろうな。反省した私は高校3年になってからはなるべく先生とかかわりを持たないようにした。しかし、補習はどうしよもなく、そのたびになんとなく気まずい空気がそこには流れていた。
そして今日。卒業式当日。最初の頃は馴染めなかった高校生活だけど、若本先生のおかげでだんだんと学校が好きになって、いつの間にか友達も増えていった。どれもこれも先生のおかげ。感謝しなくちゃ、と思いつぼみをつけた桜を眺めながら卒業式の会場の体育館へ向かっていた。その時でした。
「待って!土橋!」
聞きなれた先生の声が後方から聞こえてきた。駆け足できたのか、息を切らせながら言葉を続けた。
「もう一年、俺と一緒にいてくれないか?」
もう一年?・・・・・・も、もしかしてコレって、あのときの返事!?
私は何度も断られ続けてきても、どうしても諦め切れなかった。先生に大きな迷惑をかけているんだと思うと、気持ちが折れそうになったけれど、それでもどうしても諦めることができなかった。生徒と先生という立場なのに、そのような関係になることはとても迷惑のかかることだ・・・。つまり私が卒業をして、ただの一人の女性としてなら先生もOKしてくれるかもしれない・・・。そう思った私は高校3年生になってから一切のかかわりを持つことをやめた。それは将来、先生にちゃんと告白をするため。そのためなら・・・一年くらいどうってことないと思っていた。
そして卒業式が終わった後、もう一度先生に思いをぶつけようと思っていた矢先の出来事だった。私は3年がかりの念願の恋がかなって、なんだか感慨深い気持ちになった。瞳が熱くなってきた・・・やだ、これから卒業式だっていうのに・・・涙をふいて、もう一度先生の顔を見つめた。先生は静かに口を開いた。
「体育の単位足りてなかったよ・・・」
私の名前は土橋智美。ネーミングセンスが一世代昔なのは、名づけた人が悪いから私は何も悪くないわ。
中学の時の親友が一緒に受けよう!と言われ、私のレベルじゃちょっと厳しいこの女子高に入ってしまって早三年。そんな親友はなぜか落ちてしまって違う学校へ行っちゃって、結局中学からこの学校に入ったのは私一人だけだった。
受験はなんとか頑張って入ることは出来たけれど、実際に学校の授業が始まってみるとまったく内容が理解できず、ついていくことがだんだんつらくなっていった。周りには知らない中学から来た子ばかりで、なかなか馴染めず、いっそこんなつらい学校辞めてやる!と思ったこともあった。
そんなとき、私を慰めてくれたのは若本先生だった。
先生は体育の教師。他の授業でもついていくのはつらかったけど、体育の成績は他の教科と比べ物にならないほど低かった。そもそも私には運動神経はまったくないのだ。そのため、体育の補習は何度も何度も受けさせられた。何度やってもできないときは、若本先生とマンツーマンで、暗くなるまで付き合ってくれた。今まで3段までしか飛べなかった跳び箱も、今ではその倍の6段までなんとか飛べるようになった!
そんな若本先生とは、学校の中で一番仲がよかった。年齢差は15歳ほど、でも私はクラスの子たちとお話をするよりも、若本先生と一緒に補習を受けている時のほうがよっぽど楽しかった。そのため、唯一できるはずの縄跳びでもわざと補習を受けるように、すぐに失敗するような演技を繰り返していた。
そしてそんな若本先生への気持ちは、やがて恋心へと変わっていった。
女子高だから男子と交流がなく、仕方ないから先生と・・・という話はよくあるけれど、私は違った。たとえ共学でも若本先生から体育を習っていたら恋してたと思うし、本当の彼氏が欲しければ合コンか何かをすれば、簡単に男子ともかかわりを持てた。でも私はそれをしなかった。若本先生への気持ちが本気だったから。
ある日の夕方、私は勇気を振り絞って先生へこの気持ちを打ち明けた。でも先生は・・・「先生と生徒の間柄で・・・そんな気持ちにはなれないよ・・・。ごめん。」とだけ。結果は大体予想できたけど、やっぱりショックで学校を何日か休んだこともあった。
それでも私は先生のことが諦められなかった。その後も何度か告白をしたけど・・・全部断られた。そりゃそうだ。私が若本先生の立場にたったら・・・・・・。迷惑だっただろうな。反省した私は高校3年になってからはなるべく先生とかかわりを持たないようにした。しかし、補習はどうしよもなく、そのたびになんとなく気まずい空気がそこには流れていた。
そして今日。卒業式当日。最初の頃は馴染めなかった高校生活だけど、若本先生のおかげでだんだんと学校が好きになって、いつの間にか友達も増えていった。どれもこれも先生のおかげ。感謝しなくちゃ、と思いつぼみをつけた桜を眺めながら卒業式の会場の体育館へ向かっていた。その時でした。
「待って!土橋!」
聞きなれた先生の声が後方から聞こえてきた。駆け足できたのか、息を切らせながら言葉を続けた。
「もう一年、俺と一緒にいてくれないか?」
もう一年?・・・・・・も、もしかしてコレって、あのときの返事!?
私は何度も断られ続けてきても、どうしても諦め切れなかった。先生に大きな迷惑をかけているんだと思うと、気持ちが折れそうになったけれど、それでもどうしても諦めることができなかった。生徒と先生という立場なのに、そのような関係になることはとても迷惑のかかることだ・・・。つまり私が卒業をして、ただの一人の女性としてなら先生もOKしてくれるかもしれない・・・。そう思った私は高校3年生になってから一切のかかわりを持つことをやめた。それは将来、先生にちゃんと告白をするため。そのためなら・・・一年くらいどうってことないと思っていた。
そして卒業式が終わった後、もう一度先生に思いをぶつけようと思っていた矢先の出来事だった。私は3年がかりの念願の恋がかなって、なんだか感慨深い気持ちになった。瞳が熱くなってきた・・・やだ、これから卒業式だっていうのに・・・涙をふいて、もう一度先生の顔を見つめた。先生は静かに口を開いた。
「体育の単位足りてなかったよ・・・」