師走で年末。あまりの多忙さに人はみな自分を見失い、周りが見えなくなってしまうのです。


僕もその一人なんですけどね、まぁ先日起きた話をしたいと思いますよ。

部活仲間の男子タメの一人と僕は、学年でも有名ないかにもイカ臭そうなコンビと名高い関係を保っているわけで、暇さえあれば下ネタに走り、風さえ吹けばスカートの丈くらいまで姿勢を低くさせ、女の叫びとも取れる声は「喘ぎ声だな。」「ああ。」とまるで十数年間ともにしてきたあぶない刑事仲間のようなハードボイルドを見せつけるなどの輝かしい功績を今までに挙げてきました。

しかし、行動が非紳士的なエロは追及しないのが僕らのモットー。スカートをめくろうとすることなんてもちろんのこと、女子更衣室をのぞくなんてことをしてしまったら紳士の道を背くとして学校から追放させる気満々です。僕が。僕らが求めているのは自分から切り開いていくエロではなく、自然現象の中で生まれる数少ないエロを掘り下げていって大きなものへ頭の中で昇華させる特殊なエロリスト。行動がセクハラなのではなく、存在自体がセクハラになりつつある僕らなのです。


そんな軍曹(僕)と中佐(彼)と呼び合っている僕らなんですが、この間の部活終了後で足に乳酸をためていて帰り道を歩くのも精一杯のフラついた足で男子更衣室へ向かっている途中、外の女子更衣室の前を通りました。僕らは別に更衣室に興味はありません。しかし、更衣室のほうから漂う何か温かみのある物を感じました。それは高校生なら毎朝感じているような、温かみでした。

その正体は湯気。外の更衣室にはシャワーがついています。部活が終わってドロドロになった生徒たちの憩いのスポット。プールのシャワーのように冷たい水しか出ない生徒から嫌われるようなものではなく、ちゃんとお湯が出るようになっている蛇口のあるシャワー。男子は夏はよく利用するそれだけど、女子は何かと準備するものが多いため利用者はきわめて少ないという。ましてや今は冬。シャワーなんて入っているやつなんておらへんがな~、と思ってはみたものの、それは確かに湯気でした。お湯が出る蛇口があるのはシャワーか教務室とかしかないのでシャワーを何かで利用していることは確かなのです。

軍曹(僕)「ま、まさかな・・・」

中佐「そんなこと・・・ないよな。」

何かの間違いだ。きっと何かが引っかかったか何かで蛇口を誤ってひねってしまっただけだろう。それに誰も気づかずにそのままになっているだけだろう。僕はシャワーつけっぱなしなんですか?とドア越しにしゃべりかけようとしたその瞬間でした。

キャ、ちょwまだつめたいんだけど。

疑いは確信となった。僕らはシャワーから上がってきてまだ髪が乾ききっていない、そんな超ど級のエロ、夏限定のどエロ、プール上がりのなんともいえないあのどエロをこんな寒い中体感できるのか!!と思うと重く引きずっていた足が軽快にステップを踏み早く着替えて女子更衣室の前で待ち伏せをしなくちゃいけないと思って男子更衣室へと走った。

限界を超えたはずの足を動かすその衝動。性欲。火事場の馬鹿力と何か共通するものを感じていた。ボタンをつける手が寒さでかじかんでいるのと、もうすぐ更衣室から出てくるのではないかという焦りでプルプルとふるえていた。体を曲げて人工的に二段腹をつくり、その間に手を入れてかじがんだ手をあたため、ふたたび血行をよくする。回復!ボタンをつける手がまるで高橋名人を髣髴させるものに見えたのは僕だけだろう。ズボンのチャックをしめるときにちんちんの皮を持ってかれそうになったが気にせずしめあげた。着替えが完了し、女子更衣室の前でまるで誰かと待ち合わせをしているかのようにワイシャツの袖を上げて手首をのぞきながら「おっそいな~、まぁ待つか。」とボソボソとしゃべりながらそのときを待つ。

開かない扉を待ち続ける僕ら。かれこれ15分はたってしまったころだろうか。あまりの静けさでもう帰ってしまったのでは?と思わせるくらい不安になっていたところに、ようやく一人の女性が出てきた。一瞬顔を上げ、ふともものあたりまで見たところで僕の頭の中で「こりゃピザだ」と思って手元に持っていた携帯でゲームを続けた。もしかしたら磨いたら光り輝くダイヤモンドの原石だったのかもしれないが、そんな苦労してまで手に入れたいと思ってはいないので目をそむけたのです。更衣室にはまだ明かりがついているのでまだ中には人がいると判断した僕らはもう少し待つことにしました。

待っている間は最近のジャンプについて語っていました。ラルグラドとToらぶるは同じにおいがするとか、エムゼロはとうとうToらぶるを意識し始めて残念だとか、二次元の中でも紳士的なエロを追求している僕らは熱く語っていました。ジャンプを知らない人からしたら僕らの会話は、少年誌ってレベルじゃねーぞ!って感じでしょうけど、最近のジャンプは何かおかしいのです。カムバックみえるひと。アレもちょっとにおうけど。

と、そこにやっと出てきました。残りは三人だったらしく、同時に出てきました。さすがに三人相手にふとももを見て判断するということは同時にできることではなく、顔をみるためにさらに自分の顔をあげて見てみました。まぁ最後なんだし、見るしかなかったんだけどね。これで見ないで決めたらお前、何この十数分間は?みたいな話になるわけで。そこで僕らは見てはいけないものをみてしまった。

うわ~、何あの顔。ハリセンボンの細くて歯が黒い方が三人ほどいるんですけど~マジ最悪。とかいうゲテモノだったワケではありません。髪がぬれていないのです。まぁそれは冬ということで早めに乾かさないと風邪を引きかねないので、あー残念だったね。まぁいいにおいはしたわ!とかいう大団円になったりするつもりだったんですけど、別にいいにおいもするわけではない。何か別の女子生徒と違っているところといえば、手元にハンガーがとりつけられたユニフォームを持っていたこと。たしかアレはサッカー部のユニフォーム・・・

サッカー部はたしかマネージャーが3人・・・ハンガーがとりつけられているということは今から干すところだということなのです。つまり、それらのユニフォームは更衣室の中で洗っていた、ということなので・・・

洗濯・・・マネージャーの仕事・・・水で洗うのはつらい・・・シャワー室にはお湯が出る・・・ハンガー・・・洗ったあと・・・。・・・・・・アーッ!

つまりはこういうことなのでしょう。サッカー部のマネージャーはいつも泥だらけになった部員のユニフォームを洗っていた。いままでの季節は水洗いでもつめたいと思わなかったけど、さすがに冬は厳しい。でも泥だらけになるユニフォームはどのシーズンの変わらない。最近雨が降って校庭もぬかるんでいて泥だらけにならないわけがない。どうにかならないかと考え付いた末、更衣室内にあるシャワーのお湯で洗えばつらくないという考えが生まれた。そして今日もその考えに沿ってそこで洗っていた、ということなんだね!うん、僕らの十数分間は何だったんだーッ!!!

僕らが学校を出るころにはもうあたりは暗くなっていた。遅くまで自主トレをしていたバスケ部部員に話しかけられる。「こんな時間まで何をやっていたの?」僕らはこう答えた。「青春の答えを探しに手間取っててね。」