私は殆ど見ていないので詳しくはわかりませんが、世の中では今オリンピックが開催中のようですね。社交ダンスがオリンピックの種目になる可能性があることが話題になっておりましたが、皆様のご意見はいかがでしょうか?
オリンピックは世界的に巨大なマネーが動く「利権のモンスター」になってしまっており、光の部分だけでなく、最近はその大きな影の部分も隠しきれなくなってきているような気がします。しかし、選手の皆さんには関係の無い話なので、参加されている選手の皆さんには本当に頑張っていただきたいと思います。
今回は、特に判定に関していろんな種目で不満?意見?が噴出しているようですね。人間のやることですから、判定や採点に関しては問題になることもあるでしょうし、それは時に社交ダンスでもあり得ることでしょう。
現在のオリンピック種目の中で、社交ダンスに最も近いものは、個人的にはフィギュアスケートではないかと思います。(冬季の種目ですが)
フィギュアスケートの採点方法は、2002年以前は、技術点、芸術点で、それぞれ6.0点満点(+順位点)という方式でした。しかし、この方式だと審判の「主観」が大きく作用するのは容易に想像できます。
実際に、ソルトレイクオリンピックでは、審判の裏取引による不正事件が明らかになってしまいました。それをきっかけに、フィギュアの一つ一つの技自体の基礎点を設定し、それに完成度による点を加え、それらを一つ一つ加算していくという積み重ねによって得点が決まる方式となりました。皆さんもフィギュアスケートの試合の中継でご覧になった記憶があるのではないでしょうか。昔はあんなもの無かったですよね。細かいルール変更は今なお続いています。
じつは、その大幅な採点方式の変更があった後の最初のオリンピックで優勝したのが誰かご存じですか?
そう、日本初のフィギュアスケートの金メダリスト、荒川静香さんなのです。
荒川選手は世界選手権での優勝経験もあって、オリンピックで優勝してもおかしくない実力の持ち主ではありましたが、コンディションは決して良くなくて、トリノオリンピックでは有力な優勝候補とは言えない状況でした。
しかし、忖度や不正が横行していたフィギュアスケートの採点方式を、公正にという目的で大幅にルール改正した後の最初のオリンピックで、有力な優勝候補であった欧米の選手を押しのけて、日本人選手が優勝したというのは、何か嬉しい気がします。
荒川さんの演技に使われたのは、プッチーニのオペラ、トゥーランドットの「誰も寝てはならぬ」。トリノオリンピックの開会式で、イタリアの偉大な歌手、ルチアーノ・パヴァロッティが歌い、大いに盛り上がったばかりでした。
荒川さんの演技の時に、「誰も寝てはならぬ」がかかると、試合会場の空気が明らかに変わったのがわかりました。会場の後押しなど関係ない「公正な」採点方式のはずなのに、私にはなぜか会場の後押しがあったような気がしてならないのです。
演技中、荒川さんは過去の試合のことが頭をよぎり、ここで滑れていることが集大成になるんだな、と不思議な感覚に包まれたといいます。きっと優勝するべくしての優勝だったのでしょう。
「勝つ時」とは、そんな時かもしれません。
社交ダンスがもし仮にオリンピックに採用されたとして、どんな採点方式とするのでしょうか。世界の目が注目するオリンピックにおいて、審判の主観が大きく影響する芸術性の高いダンスに対して、本当に客観的で公正なジャッジなど可能なのでしょうか。
そして…。
いつの日か、荒川さんや羽生さんのように世界を制する日本人は現れるのでしょうか…。