社交ダンスで「シャドーをやるかやらないか」なんてことが時に話題になりますが、実は、私は逆に「他人と組んで」踊ることが苦手で困っておりました。

 

それならなんで社交ダンスなんてやってるの?と言われそうですが...。

 

私は「社交ダンス」そのものが好きで始めたというよりは、身体を鍛えることや動かすこと、音楽が好きで、他のダンスにもアプローチしつつ、紆余曲折しながら社交ダンスに流れ着いたタイプ?なので...。

 

まあ、好きな音楽でありダンスだし、大丈夫だろうと思って始めてみたけど、やっぱり「他人と接触」するのは意外と苦労するな、と思いました。

 

普通に話をするくらいの距離なら問題ないのですが、1m以内のパーソナルスペースは、入るのも入られるのも私にとってはかなり抵抗があるのです。ラテンならまだしも、常に密着しているスタンダードを始めた時はちょっと参りました。私にとっては、それが男性でも女性でもあまり関係ありません。

 

私はもともと人混みが苦手で、人酔いして具合が悪くなることがありました。こんな体質でありながら、かつては東京に住み、電車通勤をしていた時期もありましたが、当時は本当に苦痛でした。たくさんの人との距離が近くなる満員電車なんて地獄で、人混みを少しでも避けるために早朝に通勤していました。会社には、いつも朝早く会社に来ていて仕事熱心なやつ、と思われていたかもしれません。

 

閑話休題。

 

スタンダードは最近始めたのですが、いくらレッスンしても、ホールドがあまりにだらしなく、ボディは腰砕けでグダグダでした。

 

先生があきれて「私のことが嫌いなんですか?」と半ば冗談で言うので、私は、「一人ならもう少しは踊れるんですけど…。」と真面目に答えました。

 

先生の動きが一瞬止まりました。ホールドを解いて、ちょっと真剣な顔で「じゃあ、一人で踊ってみてください」と突き放されました。その顔には、「組んで踊れないやつがシャドーで踊れるわけないでしょ!」と書いてありましたが…。

 

私は自分でカウントを取りながら、先生の目の前で、先生と組んで練習していたルーティーンを「シャドー」で踊りました。

 

先生はしばし無言になり、「普通は逆なんだけど…」と言いながら納得できないといった表情をしていました。

 

そりゃそうでしょ、私もこの状況に納得できないんですから!

 

私はしぶしぶ先生に事情を説明しました。先生は少し驚いていたようでした。

 

「えーっ!じゃあ、今まで時々体調が悪いって休んでいたのは私と踊ったことで体調が悪くなったからだったんですか?」

 

いやいや、さすがにそこまでじゃあないですけど、と私は笑いましたが…。

 

しかし、接触する人によっては会った後に調子悪くなる場合もありますし、人混みが苦手といっても、どんな人混みかによってかなり体調や気分に差があるのも事実です。

 

こんなことを言うと、上から目線で会う人を選別している印象を持たれそうで嫌なのですが...。先生には、くれぐれも他の方には他言無用で、とお願いしました。しかし、パーティーが苦手だったので、断る理由がクリアになってよかったなーとも思いました。

 

そんな事情(希望?)もあって、私のレッスンはがシャドーが中心です。レッスンが始まると、まずはシャドーで踊って先生が修正。それを繰り返しながら、時々組んで踊って確認して、組んだ場合の修正点をさらに見つける、という感じでしょうか。

 

しかし、最近では少しずつ「組んで踊る」ことにも慣れつつあり、組んで踊る時間も増えてきました。先生も「ようやく慣れてきましたね」と。それが先生と限定のことなのか、他人と組んでも大丈夫なのかはわかりませんが。

 

ダンススクールに到着すると、私はアップを兼ねていつもウォークし、たっぷりとシャドー(おもにラテン)を踊っています。

 

先生は、「シャドー踊ってる時は伸び伸び楽しそうですね」と言います。私は、「シャドーのほうが組んで踊るよりいい感じでしょう?」というと、先生は「それでは私がダメなことになるので、私からはそうは言えないでしょ?」と笑いますが...。

 

ダンスに対する考え方もアプローチも人それぞれ、楽しく踊れればそれでいいのかな、と思います。