「ああ、もうあの姿は見られないのか…。」

 

 放映中の朝ドラ、ブギウギで、蒼井優さん演じる大和礼子さんが劇中で亡くなってしまい、もう出演シーンが無くなったかと思うと寂しい限りです。蒼井優さんは、主演の趣里さんの先輩役で出演されていました。

 

 本格的なダンスシーンはあまり無かったものの、ちょっとしたバレエのレッスンのシーンだとか身のこなし、所作があまりに美しく、よほどバレエ経験のある女優さんだと思って調べてみたら、なんと!2歳からバレエを習い始めて、38歳の現在も継続中だとか。バレエ歴30年以上!参りました。しかも出産後1年程度での復帰で、あのスタイル、あの身のこなし。素晴らしすぎます。

 

 趣里さんもバレエでイギリス留学したほどの腕前の方なのですが、ドラマでの蒼井優さんの存在感もまた凄かったように思います。

 

 それで興味を持ち、蒼井優さんの過去の出演作を調べていたら、凄いシーンを見つけてしまいました。岩井俊二監督の「花とアリス」という作品のクライマックスです。オーディションで、「踊れるの?」と聞かれた蒼井優さん演じる高校生のアリスが、その場でバレエを踊るのですが…。

 

 そのシーンを見て私は息が止まりそうになりました。

 

 アリスは、その場で紙コップとガムテープでトゥシューズを作り、高校の制服姿のまま、バレエを踊り始めるのです。当時19歳の蒼井優さんが演じるその姿が眩しすぎて...。もはや、「神々しい」としか形容のしようがありません。

 

 一生の中で、わずかにしか許されない時間。一瞬の青春の光と影。儚さの中での力強さ。岩井俊二監督のカメラワークが素晴らしく、音楽も素敵。これは、映画史に残る名シーンだと私は思いました。

 

 こういう素晴らしいシーンを見てしまうと、バレエが踊れたら本当に素敵だろうなあと思うし、誰でも憧れるものだと思います。社交ダンスをする上でバレエの素養が必要かどうかについてもよく取り上げられる話題ではありますが…。

 

 ある番組で、草刈民代さんが言っていました。バレエにおいて魅せ場であるソロで踊るシーンの時間と回数についてのことでしたが、たしかソロ1回あたり1分程度が限界で、それが、2回くらいがいいところだとか。それを、3~4回と言われるとかなり厳しいみたいなことを言われていたような気がします。トップレベルのダンサーでも本当に集中して踊るとそれくらい厳しいギリギリのものなのですね。

 

 いずれにしろ、何年、何十年とダンサーが厳しい練習をするのは、「日の目を見るそのわずかな一瞬」のためなんですよね。本番の舞台での一つのポーズ、一つの身体のラインを作るために、きっと何年も…。もちろん才能があることが前提にしろ、その上で地道な練習の積み重ねを厭わないダンサーだけが人を感動させるレベルになれるんでしょうね…。

 

 バレエ関連の動画をいろいろ見ていて思うことなのですが…。社交ダンスのためにバレエを習うことが大切だというのは、バレエ熟練者の技能が社交ダンスに有用だということもあるかもしれませんが、それよりもむしろ、一般にダンスにおいては基礎的な練習が大切であって、その基礎練習を重視し、かつ、何度でも繰り返すやり方をバレエに見習うべきだということなのではないか、と個人的には思います。

 

 また、バレエの場合には、その長い歴史の中で基礎練習の内容・方法等が洗練されてきている、ということも言えるようにも思います。本当に綺麗に踊れるようになるためには、ぐだぐだ言わず伝統的な基礎練を信じて、それをしっかりやれってことかもしれません。

 

 例えばですが…。比較として適切かどうかわかりませんが、社交ダンスで日常的にウォーク(あまり)やらない人はザラですけど、バレエダンサーでバーレッスンをすっ飛ばす人はいないと思われます。どんな一流のバレエダンサーでも(だからこそ?)、基礎練習を大切にする、そういうところは社交ダンサーも見習うべきバレエの文化なのかな~と素人は勝手に思ったりもします。

 

 とは言っても!

 

 あくまで趣味でダンスやる上では、気負わず、怪我なく、楽しくやるのが一番ですよね~。本格的なバレエは鑑賞するのにとどめておいたほうがいいかもしれません。社交ダンスの基礎練習をやるにも、楽しく飽きない程度で...。

 

 それにしても、蒼井優さんのダンスシーン、もっと見たかったです...。