私が社交ダンスを始めてみて気づいたことの一つが、私のもう一つの趣味のバイクと意外な共通点があったことです。それは、様々な理由から過去に規制(迫害?)された時代があったこと、その後には規制等の緩和があったものの、最近では愛好者の中心が若者世代から中高年に移っていること、になるでしょうか。

 

 社交ダンスの営業等は基本的にはつい最近まで風営法の届出をする必要がありました。当局の言葉を借りれば、「営業の行われ方いかんによっては、享楽的雰囲気が過度にわたり、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、または少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあるため必要な規制」だそうです。いつの時代の話かと思いますが、社交ダンスはそういう目で見られてきた、少なくともそういう時代があったということなのですね…。

 

 一方で、バイクに関しては、昔は大型バイクの免許は、教習所等で取得することができませんでした。大型バイクに乗りたければ困難な実技試験に合格するしかなく、腕自慢のライダーが5~10回受けても受かるかどうか、という異常なものでした。当局の「暴走族対策」だそうです。「バイクに乗ると不良になる」と言われた時代で、高校ではバイク免許の取得を認めていないところが殆どでした。内緒でバイクの免許を取って高校を停学になったやつがいたりしたものです。

 

 様々な社会的なバッシングを受けながらもそれに反発するのが若者たちで、当時の若者はそれでもバイクに乗りました。30年以上?前はバイクブームでしたし、一方で社交ダンスは昭和20~30年頃に大ブームがあった、盛んにダンスパーティーが開かれた、と聞いています。バイクにしろ、社交ダンスにしろ、昔ブームであった当時は流行の中心が若者であったはずでした。

 

 最近では社交ダンスの営業も一部を除いて風営法の対象外となり、バイクの大型免許も教習所で取得できるようになり、社交ダンスもバイクもようやく「市民権」を得たかのようには思えますが、その一方で…。

 

 ピカピカの最新のスポーツバイクに乗っているのはどんな若者かなと思って見ていると、ヘルメットを脱いだら人生の先輩だった…という例が少なくないように思います。若者のバイク愛好者は少ないですね。社交ダンスも言わずもがな。

 

 若い頃に憧れたバイクや社交ダンス、当局の締め付けが緩くなって、「さあどうぞ」となってみれば、やっているのは中高年というのは何か不思議な感じがします。(ダンスのほうは「クラブ」などのシングルダンスは若者の隆盛をみせているようですが。)

 

 社交ダンスのほうはわかりませんが、少なくともバイクに関しては、若い頃に好きだった人たちが歳をとっても乗り続けているか、歳をとって経済的に余裕ができた人が再び乗り始める例が殆どのように思います。すなわち、バイク愛好者の「参加メンバー」が昔からあんまり変わっていない(=そのまま高齢化している)…。

 

 バイク業界も社交ダンス業界も、どちらかと言えば愛好者の底辺拡大よりも、現時点でのメインの客層に対する高級路線を手厚くしているようにも見えます。それも商売の上ではしょうがないことなのかもしれません。

 

 かつて若者がその情熱をぶつけた対象は、今では経済的に余裕がある中高年が対象の高級レジャーになりつつあるようにも見えてしまいます。社会的に認められたレジャーになった、という考えもありますが、どこかで少し寂しい気もします。しかし、それは時代の流れなのでしょう。信長ではないですが、「是非に及ばず」と言ったところでしょうか。

 

 バイクも社交ダンスも、何かよほど画期的な対策をしない限り、このままでは少なくとも日本においては衰退していくのは必然でしょう。そんなこと考えてもしょうがないですが。

 

 諸行無常。

 

 などど、くだらないことを考えつつ、今日も私はあまり乗りもしないバイクをひたすら磨き、ダンスの練習をするのでした...。