続いてはこの本。

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)/万城目 学
¥903
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万城目学。


「鴨川ホルモー」や「鹿男あをによし」で知られる作家といえば

お分かりであろうか。

自分、彼の作品がかなり好きである。



彼の小説は、始まるとともに三崎亜紀のような破天荒な設定で始まる。

前作「プリンセス・トヨトミ」は、豊臣氏の末裔が今でも大阪に住む大阪人によって

守られており、大阪国が会計検査院と戦うという破天荒な展開。

(ちなみに、この「プリンセス・トヨトミ」は前回の本屋大賞のエントリー作品にして

直木賞の候補作、なにより映画化も決まっている(参考HPはこちら )。




その彼の新作がこの「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」である。



まず書いて置くが、このお話、小学生くらいのお子さんがいる人や

猫を飼っている人には絶対おススメである。



かのこちゃんは「鹿子ちゃん」であり、その「フンケーの友」すずちゃんのお父さんは

「鹿男あをによし」の主人公であるが、こんお物語ではその辺りの説明はなく、読者の

想像によるものである。



かのこちゃんは小学校1年生の女の子。

マドレーヌ夫人はそのかのこちゃんに飼われているアカトラの茶色い猫である。

マドレーヌの色に似ているからその名がついている。

ちなみに夫は「玄三郎」という老犬である。




猫が言葉をしゃべり、集会を開く以外はさして破天荒な設定ではなく極めて平穏。

前半のこの猫の集会やらかのこちゃんの小学校での生活にほのぼのさせられる。

(特に猫の生態に詳しい人には目尻が下がる作品であろう)。




が、しかしそこはやはり万城目学である。




意外なことが起こり、一気に日常が非日常になる。

猫にとって受難の日々(笑える)が続く。



だけど、全体的に穏やかに過ぎていくこの本は、読む人をどこかホロリとさせ、

心を温かくしていく。



これは単なる奇想天外な物語ではない。




猫好きにはぜひ読んで欲しい。

そして子どもがいない人は、純粋だった昔の自分を思い出して欲しい。



ちょっとだけ技巧的な部分が鼻に付くかもしれないが、そこは片目をつむって

マキメワールドを楽しんで欲しい。




<おまけ>

昨日、マルサン書店に寄ったとき、ついつい見つけ、

書籍係数を気にしつつ即買いしてしまった。


ザ・万遊記/万城目 学
¥1,260
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万城目2冊目のエッセイ集である。


あうう、米澤穂信の本を市立図書館でたくさん借りているのに、

三崎亜紀の「刻まれない明日」も借りているのに、また買ってしまった。

しかし、後悔はしていないのだ!