一昨日、大学時代の友人から約1年ぶりに電話があった。

メアドも知ってるだろうにいきなり電話かよと、車に乗っていた自分はいったん
やり過ごし、車を留めると着信履歴に載っていた彼の番号に電話しなおした。


「お前のブログは8割が本の感想で、2割が何か食ったとかだな。」



なんだかな~。

どうやら彼は、電話をかけてる最中、別の大学時代の友人のブログを見ながら
話していたようだが、だからと言って自分のブログの感想を話したかったわけでも
なさそうだ。

生存確認か?
ああ、元気でやってるよ。お前と同じく結婚もまださ(笑)。


しばし記憶に残らない会話を続け、「2月でも横浜で飲むか」というところで
15分あまりの通話が終わった。


なんだったんだ、デビめ。一年ぶりなのに。

(ところで、彼の愛称がデビなのは、彼が悪魔でも、腹黒いわけでもなく、
単にかつての女子プロレスラーのデビル雅美とジャガー○田の2名の名前が化学反応を起こしてくっついたところに由来したものと思われる。
もっとも、彼が腹黒い男であるという可能性は否めないがな)。


さて、完全に学生時代のサークル仲間の内輪受け話となってしまい、様子が分かるのはこのブログの読者の中では「(今年はラーメンらしい)たこすけ」ぐらいだろう。
これ以上拡げようもない話なので、この辺で本編に行く。






中田永一の「吉祥寺の朝比奈くん」を読んでみた。



中田永一といえば、第1作「百瀬、こっちを向いて」で注目を浴びた恋愛小説家(?)
であり、人気があるのはもちらんその小説の出来もとても良いからでもあるのだが、
さらに彼が注目を浴びているのは、彼は覆面作家であり、本当の正体はあの「乙一」なのではとのもっぱらのウワサがあるからでもある。
百瀬、こっちを向いて。/中田 永一
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GOTH―リストカット事件/乙一
¥1,575
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ミステリー作家が恋愛小説を書くとこんな感じになるんだろうな、といった感じの、
しかもどれも初々しい恋愛話ばかり載っている短編集だ。

その第2作目が今回の「吉祥寺の朝比奈くん」だ。
吉祥寺の朝日奈くん/中田永一
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まず、本の帯がすごい。
「2009年最高の青春恋愛ストーリーが誕生!」




自分、まずここで警戒する。
ここで期待してハードルを上げてはいけないことを熟知している。


だが、結果的には作家買いである。
「中田永一」が仮に「乙一」でなくても、彼は十分に楽しめる作家だと前作で思ったからだ。




「交換日記はじめました!」「ラクガキをめぐる冒険」「三角形はこわさないでおく」
「うるさいおなか」「吉祥寺の朝比奈くん」の5編からなる短編集だ。

このうち、印象に残った3つだけ簡単に書いておく。



「交換日記はじめました!」


1986年から1993年まで続く交換日記が話の内容だ。しかし日記はしだいに交換されなくなってしまう。
この小説の脱線ぶりは、読み進める間、常に想定外の話になっていく。
そして、ラストはちょっと前向きな、いい終わり方だと思う。
(ダメ人間ならぬダメヒロインが立派に成長している!)


「三角形はこわさないでおく!」

まぁね、学生時代の恋愛には三角関係はキホンだからね。
自分はそういう学生時代を送っていないから残念だが。

それはともかく、この小説はキホンでアリガチな3人の男女の関係の中で、
お互いを思いやっている正直な若者が、話を豊かなものにしていく。
秀逸だと思うのは登場人物の「会話」だろう。
セリフや言い回しがいちいち気が利いていて、アリガチなものから少し抜け出させている。


「吉祥寺の朝比奈くん」

ええと、まずこれは不倫のお話です。
「不倫」という言葉を聴いて、すぐさま拒絶反応を起こす人にはお勧めできない。
だけど、僕はこういう恋愛はアリだと思う(もちろん不倫をお勧めするわけではない)。

不倫の果ての話だから、ラストもだいたい予想どおりなのだが、話が二転三転し
伏線を張りつつ回収する技量はやはり「ミステリー作家乙一」なのではなかろうかと。

最後に二人がしがみつくように抱き合うシーン、このときの彼らの気持ち、ものすごく共感できてしまう。
この本の中で、一番のお気に入りです。




いいですね、この本!
もっとも、全体的には前作のほうが良かった気もするけどね。



ちなみに、「不倫」を舞台にした長編恋愛小説は、中村航の「僕の好きな人がよく眠れますように」がお勧めです。
だいたいこの辺で、僕の読書傾向が分かるでしょう?
僕の好きな人が、よく眠れますように/中村 航
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ん・・・。

ハッ、また本の話を書いてしまった。
デビの言ったとおりとなってしまったではないか。




少々の屈辱感とともに、「ちぇ」とつぶやきペンを置くこととする。
(ペンで書いてないことは言うまでもない)



<おまけ>

昨日の新年会でのゲーセンで、女性陣がガチャポンで買ったシロモノ。
かわいいけれど、二人そろって赤だった。
この二人、ホントに仲良しらしい。
単なるふとした思い付き。 単なるふとした思い付き。