昨日の夜、ご飯を食べて風呂に入って本を読もうと思ったが、眠すぎて
20時半には電気を消して寝た。
お休みだった今日はいったん6時に起きるも幸せな二度寝をし、9時頃起床、
トーストをモソモソと口にしながら新聞の折込チラシ(PCデポの特売品とか)を見つつ
目ぼしいものはないなと思い、今日は外出せずに読書に徹することに決めた。
読んだのは、こないだマルサン書店で買ったこの本。
実は森見登美彦の本は、『夜は短し歩けよ乙女』に続いて2冊目である。
他に『太陽の塔』もブックオフで買ってあるものの、現在は絶賛積ん読中だ。
そもそも彼の小説になぜ興味が沸いたのかといえば、自分が『鴨川ホルモー』や『鹿男あおによし』で
知られる万城目学のファンであり、あのこねくりまわしたような文体や妄想たくましい青春群像劇に
はまった自分がある日ネットで「万城目学が好きな人が読む他の作家」という長いキーワードで検索したところ、
彼がヒットしたからだった。
ともに京都大学出身。
舞台は奇怪で登場人物は結滞、ばかばかしくもくだらない格調高い文体を書くという共通点があり、
昨年の暮れに文庫化された『夜は~』を読んではまったのであった。
そして先日、彼の最新作『恋文の技術』をマルサン書店で絶賛平積み中だったところに遭遇し、
3日間購入を検討したのち、「漢らしく」お買い上げしたのだった。
では、この本のレビューである(少しネタばれありです)。
酷過ぎる!
なんかこう色々な意味で。
そもそも小説の体すら成しておらず、ただひたすら「守田一郎」なる人物の書き散らかした手紙が
大量に並んでいる。
(でも、こういうのを「書簡体小説」と呼び、これまでにも「若きウェルテルの悩み(ゲーテ)」や
「瓶詰の地獄(夢野久作)」などの例があることを、今さっきネットで知った)。
さて、この主人公は修士過程にある大学院生で、クラゲ研究のために能登に島流しされており、
その淋しさ故にありとあらゆる人物を文通をする。
最初は友人にあてた手紙。
次に大塚女史、家庭教師としての教え子の小学生、そして森見登美彦(作者本人かよ!)、妹。
その中で恋文を書く技術について苦悩するのだ(というか、基本、彼自身の自意識過剰で変態チックな
日常が苦悩そのものなわけなのだが)。
この小説(?)の妙は、主人公が書いた手紙しか載っておらず、文通相手からどんな返事がきたのかは
次に主人公の書いた手紙を読んで想像するしかなく、しかも複数の相手に出した手紙を読み進めるうちに、
だんだんいろいろな状況が分かっていくという仕組みにある。
中盤、「おっぱい事件」なるものが勃発し、ただひたすらおっぱいばかりの内容に巻き込まれる
くだらなさに打ちのめされるが、徐々に主人公が文通を始めるに至った別の理由やら初恋話が分かるにつれて
物語の軸が見え始め、第9章の彼の想い人への手紙(しかも失敗作、反省文付き)の羅列を見るに至っては
もう笑いすぎてお腹が痛くなった。
凄すぎる。
手紙の上でしか分からない数多くの人の個性(しかもみんなうさんくさい)がステキ。
最後のほうで主人公以外の人が同じ日に書いた手紙(これも実はうさんくさいのだが)が並び、
最終章で想い人にようやく恋文を書いて「いい話風」に終わるのだけど、読後感といっても終始
「おっぱい万歳」に明け暮れた中盤の印象が強すぎて、素直に感動できない。
いや、ある意味感動する。
(こんな小説が楽しめる自分がスゴイとか思ってしまう)。
とにかく上手ですね、この作家さん。
文章も構成も内容もキャラ作りも。
最近小説をじっくり読む時間がなかったから、こんな風に一気読みできたのは久しぶりで
とても幸せな一日だったなあと感じた。
しかし、よく考えてみると今日はホワイトデーだった。
また「こんなことしてる場合ではないのに」をしてしまった。
20時半には電気を消して寝た。
お休みだった今日はいったん6時に起きるも幸せな二度寝をし、9時頃起床、
トーストをモソモソと口にしながら新聞の折込チラシ(PCデポの特売品とか)を見つつ
目ぼしいものはないなと思い、今日は外出せずに読書に徹することに決めた。
読んだのは、こないだマルサン書店で買ったこの本。
- 恋文の技術/森見 登美彦
- ¥1,575
- Amazon.co.jp
実は森見登美彦の本は、『夜は短し歩けよ乙女』に続いて2冊目である。
他に『太陽の塔』もブックオフで買ってあるものの、現在は絶賛積ん読中だ。
そもそも彼の小説になぜ興味が沸いたのかといえば、自分が『鴨川ホルモー』や『鹿男あおによし』で
知られる万城目学のファンであり、あのこねくりまわしたような文体や妄想たくましい青春群像劇に
はまった自分がある日ネットで「万城目学が好きな人が読む他の作家」という長いキーワードで検索したところ、
彼がヒットしたからだった。
ともに京都大学出身。
舞台は奇怪で登場人物は結滞、ばかばかしくもくだらない格調高い文体を書くという共通点があり、
昨年の暮れに文庫化された『夜は~』を読んではまったのであった。
そして先日、彼の最新作『恋文の技術』をマルサン書店で絶賛平積み中だったところに遭遇し、
3日間購入を検討したのち、「漢らしく」お買い上げしたのだった。
では、この本のレビューである(少しネタばれありです)。
酷過ぎる!
なんかこう色々な意味で。
そもそも小説の体すら成しておらず、ただひたすら「守田一郎」なる人物の書き散らかした手紙が
大量に並んでいる。
(でも、こういうのを「書簡体小説」と呼び、これまでにも「若きウェルテルの悩み(ゲーテ)」や
「瓶詰の地獄(夢野久作)」などの例があることを、今さっきネットで知った)。
さて、この主人公は修士過程にある大学院生で、クラゲ研究のために能登に島流しされており、
その淋しさ故にありとあらゆる人物を文通をする。
最初は友人にあてた手紙。
次に大塚女史、家庭教師としての教え子の小学生、そして森見登美彦(作者本人かよ!)、妹。
その中で恋文を書く技術について苦悩するのだ(というか、基本、彼自身の自意識過剰で変態チックな
日常が苦悩そのものなわけなのだが)。
この小説(?)の妙は、主人公が書いた手紙しか載っておらず、文通相手からどんな返事がきたのかは
次に主人公の書いた手紙を読んで想像するしかなく、しかも複数の相手に出した手紙を読み進めるうちに、
だんだんいろいろな状況が分かっていくという仕組みにある。
中盤、「おっぱい事件」なるものが勃発し、ただひたすらおっぱいばかりの内容に巻き込まれる
くだらなさに打ちのめされるが、徐々に主人公が文通を始めるに至った別の理由やら初恋話が分かるにつれて
物語の軸が見え始め、第9章の彼の想い人への手紙(しかも失敗作、反省文付き)の羅列を見るに至っては
もう笑いすぎてお腹が痛くなった。
凄すぎる。
手紙の上でしか分からない数多くの人の個性(しかもみんなうさんくさい)がステキ。
最後のほうで主人公以外の人が同じ日に書いた手紙(これも実はうさんくさいのだが)が並び、
最終章で想い人にようやく恋文を書いて「いい話風」に終わるのだけど、読後感といっても終始
「おっぱい万歳」に明け暮れた中盤の印象が強すぎて、素直に感動できない。
いや、ある意味感動する。
(こんな小説が楽しめる自分がスゴイとか思ってしまう)。
とにかく上手ですね、この作家さん。
文章も構成も内容もキャラ作りも。
最近小説をじっくり読む時間がなかったから、こんな風に一気読みできたのは久しぶりで
とても幸せな一日だったなあと感じた。
しかし、よく考えてみると今日はホワイトデーだった。
また「こんなことしてる場合ではないのに」をしてしまった。