治療はしたものの、やはり治療の効果はなく、もうこのままの状態で 悪くなっても、良くなることは ないでしょうと言われました。私のように人生の途中で失聴した人のことを中途失聴者と言いますと説明してくれました。
退院後は何とかならないのか、違う治療方針はないものなのか 諦めきれない家族と私は大学病院にも受診しました。
鼓膜内ステロイド注入という方法があるとのことで2週間入院することになりました。
この治療方法は鼓膜に穴を開けて 細いチューブを入れ そこから内耳のすぐ近くに直接ステロイドを注入する方法です。
内服より直接 内耳にステロイドを入れる事で効果が得られるだろうという事らしいです。
(今現在も行っている治療かは わかりません)
効果は人によってさまざまとの事でしたが、十分な効果が得られた人も多いとも言っていました。
この治療はすぐに効果が出ない時もあり 3ヶ月間くらいは経過観察が必要との事でした。
結果は残念ながら効果なし。
もう成すすべもなくなりました…。
左耳が聞こえなくなって6年後 右耳も失聴。
30代でとうとう 私の耳は両方ダメになってしまいました。

聞こえなくなった現実を受け入れられることが出来ずに 私は心を閉ざしていきました。
回りからは 聞こえなければ「書いてもらえば良い 」「命まで無くなる訳でもないんだし 」「聞こえてる人も聞こえない人もみんな同じだよ」 等々…言ってくれましたが、その時の私には耳を傾けることなど出来なくて…
ひねくれてしまったのもあり そんなものは
人のことだから そう簡単に言えるんだと思っていました。
その中で私が1番傷付いた言葉…
「可愛そうに…」という言葉。
この言葉を聞くと なんだか自分は情けなくて 虚しくて なんとも言い難い悲しい気持ちになりました。
そう思うなら治してよ!って心で叫んでいました。
だからと言って「可愛そうに」と言った人が悪い訳でも何でもありません。
もし逆の立場だったら私も同じ気持ちになったと思うし、もしかしたら言ってしまったかも知れない。
聞こえなくなって初めて わかったことだから 仕方のないことなんですよね。