東ヨーロッパのある小さな国からやって来た男が、クーデターにより国が消滅し、何か月も足止めされることになってしまった空港を舞台に繰り広げる人間ドラマ。“クラコウジア”という小さな国からやって来た素朴な男を演じるのは大スターのトム・ハンクス。大スターとは縁遠い地味な田舎ものを演じるトムだが、このキャラクターは、数多いトム・ハンクスの芸歴の中でもベストに入るほどの出来。きまじめさが妙におかしく、観ているものは自然に彼にひかれていく。特に最初のシーンで、空港警備員が英語で話しかけるが、英語をまったく理解していないクラコウジア人のトムが一見分かったような顔をしてガイドブックに書いてあるとおりの英語を棒読みするシーンは傑作。まったくかみ合わない会話がテンポよく進む。また、一文なしになったトム演じるナボルスキーが空港のカートを返却すると25セントが返却されることを覚え、懸命にカートを集めて食費を稼ぐシーンなどサクセス・ストーリーの一部を観るようでもあり、ワクワクする。トムのほかにも清掃員のグプタや荷物運搬人のマルロイなど愛すべきキャラクターが続々と登場し、全員をとおしてスピルバーグ監督の“愛”を感じることができる人間賛歌の傑作だね☆☆☆☆