川崎彰彦の詩集 新編「竹藪詩集」 1994年 海坊主社発行 編集工房ノア発売
詩集としては4冊目になるが、1976年に出た旧「竹藪詩集」の新装版でもある。
旧版に新しい詩を12編加えたもの。
今年の夜がらす忌ではこの詩集をとりあげる
二度目に倒れた後、「合図」で復活を果たした。その二年後に編まれた。
川崎さんの詩は、短い。平明でわかりやすいが、平板ではない。
現実を描写しているが、現実から浮遊している。
報告
朝 凍りつくような水道の水で
溜まっていた茶碗類を洗う
洗ったあと
部屋の奥まで差しこんでいる冬の日ざしで
両手をあぶる
あたたかいのである
日光はあたたかいのであった
のである
もっと詩情あふれるものもあるし、「詩人買い物にいく」なんていうのもあるが。
小説が書けない時に、スケッチのように詩を書いていたとも聞く。40になって独居生活のつれづれにー
ともある。
「冬晴れ」1989年。北海道の新聞社を辞して、大阪に移り住んだ67年から 22年間の短編、掌編18作。
ここには、珠玉の短編「冬場れ」もあるが、なんだか童話の雰囲気が漂う作が多いのだ。
読んでいると、静かな佇まいのなかに、つましい詩人の暮らしのなかに
光が差し込んでいるのである。
それが読む者にまで届いている。
長く書くばかりが能ではないなあ。
川崎さんは、いらないことは書かなかったからこうなったが、
私などは
削り落して、推敲を重ねて、もっとすっきりしたものにしないとーー、と思った。
川崎彰彦の魅力は文章だとだれかが言った言葉を思い出している