2023年10月29日、恒例のANAキュンで、年末年始のセール運賃が販売されました。無事年末年始に帰宅する航空券を確保でき、これで今年分のセール攻略は終わりです。というわけで、セールを追い続けた2年間の経験をもとに、攻略法をまとめてみます。
前提として、福岡羽田間を運行している航空会社で、大々的にセールを行うのはANAとJALの2社です。他の2社もセール自体はありますが、対象路線や便が限られていたりして、大々的な感じではありません。そして、設定される運賃はそのときによって違いますが、片道1万円前後の値段で売り出されることが多く、しかも席数は少ないものの金曜夜や土曜アサイチといった便にも通常設定があるので、上手く取れると帰宅費用を安く抑えられます。
そんなセールの多くは、日付が変わった午前0時スタートです。昔のセール(ANAの超割とか、JALのバーゲンフェアとか。いまだにCMを思い出せるくらいには、あの頃からセール運賃を追いかけていました)は、2ヶ月前の発売日の朝9時とか9時半とかに販売開始でしたが、最近は日付が変わった瞬間というのが定着しています。社会人には優しい時間ですが、発売直後はアクセスが集中してなかなかつながらないのは昔と同じなので、寝不足が心配になるところではあります。
ANAの場合、つながるまでリロードしてアクセスする以外の攻略法は特にありません。ただ、ANAのセールで金曜夜の福岡発羽田便や、月曜朝イチの羽田発福岡便を狙う場合、一番人気とは逆方向になるためか、アクセスが集中するピークタイムを過ぎても意外と席が残っています。どうしても機内モニターがある機種でないと嫌だとか、特定の便の時間でないと困るとかちった事情がなければ、アクセスに血道を上げる必要はそこまでありません。翌朝普段より早起きして6時に起きる程度で十分なので、ANA向けの攻略法は、特に私は取っていません。
そんな程度の方法でも、2023年10月29日のANAキュンで発売された年末年始、一番混みそうな年末12月29日の、朝イチの福岡発羽田便を確保できました。さすがに朝イチ便以外は埋まっていましたが、もともと朝イチの便を狙っていたので問題ありません。そして、2024年1月は、帰宅予定だった3つの週末全てで、セール運賃での帰宅用の航空券を確保できています。ANAのセールは、私が狙っている便と相性が良いです。
他方、JALの場合、様相が大分違います。まず、ピークタイム終了後にアクセスしたのでは、金曜夜の福岡発羽田便はまず残っていません。月曜朝イチの羽田発福岡便は残っていることもありますが、これもそんなに期待はできない感じです。なので、発売開始時を狙うしかないのですが、JALにはもう一つ、待合室という厄介な存在があります。セールが始まる直前の23時30分以降、セールのピークが明けるまでにJALのウェブサイトにアクセスすると、強制的に待合室に入れられ、順番が来るまで予約サイトに入れません。アプリでアクセスしても待合室を避けることはできませんし、この順番待ち順序には会員ステータスも関係ありません。純粋に、皆平等に待つしかない仕組みです。
では、待合室の順番はどう決まるのかというと、23時30分から23時59分までの間にアクセスした場合は、0時になった瞬間にランダムで並び順が決まります。つまり、この30分の間にアクセスした場合、何番目に予約サイトに案内されるかは完全にランダムです。一方、0時以降にアクセスした場合、その時点で行列の最後尾に並ぶことになります。したがって、とりあえず23時30分から23時59分の間に待合室に入っておくことが重要ということになります。
次に、23時59分までに待合室に入った場合に、順番がランダムに決まるのだとすると、なるべく多くの端末でアクセスすれば、平均よりも早い順番を引ける可能性が高まります。実際、家にあるパソコンとスマホを総動員して予約に挑んだというブログやX(ツイッター)もよく見かけます。
この方法は理にかなってはいます。ただ、普通の人は家に3台も4台もパソコンがあるわけではありませんし、スマホも機種変更した旧機種を手元にもっていればwifi接続で戦力にできるとはいえ、台数に限りがあります。では、ハードの数をそこまで増やさずに、ハードを増やすのと同じ効果をソフト的に得ることはできないのかというと、できます。
この待合室は、クッキーという仕組みを使って実現されています。クッキーというのは、平たく言うと、同じブラウザからのアクセスを識別するための電子データで、ブラウザは、ウェブサイトにアクセスするたびに、そのサイトのサーバーから割り当てられたクッキーの情報をウェブサイトのサーバーとの間で送受信します。これによって、同じブラウザからアクセスする限り、同じ人がアクセスしていることがサーバー側から識別でき、ログイン状態を維持したり、前の操作の情報を引き継いだ動作ができたりします。なので、待合室に入っている状態で再読込しても、待合の順番は変わらないのです。
そして、このクッキーという仕組みは、端末側ではブラウザのソフトによって、ソフトごとに制御されています。つまり、1台のパソコンでも、複数の種類のブラウザを立ち上げれば、それぞれのブラウザは独立にウェブサイトからクッキーを受け取り、ウェブサイトのサーバーに対しては、それぞれ別のアクセスとして振る舞うことになります。したがって、複数の種類のブラウザをインストールすれば、パソコンの数を増やすのと同じ効果があります。
さらにクロームの場合、複数のgoogleアカウントを保有していれば、それぞれ別アカウントで動作させているクロームは、それぞれ別のクッキー情報を持ちます。なので、複数のアカウントでクロームを動作させれば、これまたパソコンの数を増やすのと同じ効果があります。ただ、複数のgoogleアカウントを管理する面倒さはあります。
私は、エッジ、クローム、Firefox、オペラをインストールしているので、このパソコン1台で4つの待合室に入ることが可能です。
なお、もっとえげつない方法としては、パソコン自体のログインアカウントを複数作ってしまうというやり方もあります。ユーザーが違えば、同じブラウザでもユーザーごとに別のクッキー情報を持つので、要するにパソコンの台数が増えたのと同じ状態になります。Windowsの場合、複数のユーザーでログイン状態のまま、ユーザー切り替えができるので、複数のアカウントでそれぞれ複数のブラウザからアクセスし、0時の時点で一番短い待ち時間になっているものを最終的に生かせばOKです。
さらに、スマホでも同じようなことが可能です。アンドロイドスマホの場合、JALアプリと、クロームと、Google検索は、それぞれ別のウェブブラウザとして扱われます。Bingアプリやスマホ版Edgeも、それぞれ別枠でクッキーを管理しています。つまり、スマホでこの5つを立ち上げてそれぞれでJALのサイトにアクセスすると、5つの待合室に同時に入れるのです。スマホが2台あれば、待合室10個分です。
そんなこんなで、私はパソコン2台とスマホ2台から、入れる限りの待合室に同時に入り、最も待ち時間が短いアクセスを使ってセールでの予約にチャレンジしています。これまでで最も短かった待ち時間は3分、最も長くかかったときも30分以内にはアクセスができており(それでも30分かかったこともあるのです。ここに、この待合室の攻略の困難さというか、最後まで運任せなところがあります)、完全ではないものの目当ての便をだいたい確保しています。
こんなことをブログで書いてしまうと対策されるのではないか、という問題が一応ありますが、このブログの閲覧者は少ないですし、クッキーを使って待合室を制御する限り根本的な対策は多分できません。対策するとすれば、JALアプリからのアクセス限定にするとか、そこまで行かなくても待合室をJMBにログインした状態でのアクセスに限定して、複数デバイスからのログイン状態でのアクセスを弾く仕様にするといったところでしょうか。でも、そうすると会員限定セールになってしまい、間口が狭まるので、そういう対策は取りにくいのではないかと思います。
その上で、これはANAもJALも共通ですが、発売直後にアクセスする場合、目当ての便を事前に決めておいて、片道で順番に予約します。往復で予約しようとすると、復路便が満席だったときに往路便の分の操作が無駄になり、その間に往路便も売り切れる、といった悪夢があり得るためです。また、決済も時間がかかり、その間にどんどん空席がなくなっていくので、予約だけします。座席指定も後です。とにかく目当ての便に、片道で次々と予約を入れていくのが鉄則となります。
傾向と対策としてはこのくらいですが、ここまでやっても目当ての便を確保できないことも、もちろんあります。特にJALの場合、3分でアクセスできたときでさえ、一番欲しかった時間帯の便にはセール運賃の空席がなかったこともありました。ただ、それでも丸腰で挑むよりはずっと勝率が上がりますし、第2候補や第3候補まで視野に入れればだいたい確保はできています。
というわけで、2023年はかなりうまいことセールを活用することができたのですが、どうしようもない問題もあります。それは、セールがどの時期に実施されるかが事前には全く読めないということです。2023年は、夏の繁忙期と年末年始以外はだいたいANAかJALのどちらかのセールがある感じでしたが、両社で微妙に傾向は違います。5月の連休は谷間の1日2日限定でしたがJALのみセールがありました。逆に2023年末から2024年始にはラッシュと逆方向にほぼ限定されるもののANAのみセールがありました(私は東京から福岡への単身赴任で、帰宅はラッシュと逆方向なのでこのセールは大変ありがたいものでした)。2022年は、ANAは割とセールがあった一方、JALのセールはほとんどありませんでした。
さて、2024年は、どうなるでしょうか。