共働きで家族を残して単身赴任していると、帰宅予定でなかった週末、突然配偶者に予定外の仕事や用事が入ってしまうことがあります。入ってしまった予定が1ヶ月以内に迫っている場合、普通に私が帰宅しようとすると、安いチケットはもう残っておらず、結構な出費になります。

 とはいえ小学校低学年の子に長時間の留守番も、ちょっと難しいものがあるので、こういう場合は何とかして対処する必要があります。選択肢の1つにシッターの利用がありますが、1日シッターを頼むと結構な出費になる上、シッター利用だと外に遊びに行けなないなどの制約があったりして、丸一日コースだと子どもにとってはあまり嬉しくない状態になったりします。

 年に何回もあるわけではないのですが、そんなときに私が活用しているのが、小児株主優待運賃で子どもに福岡に来てもらう、という方法です。小児株主優待運賃は、フレックス運賃の75%引きの値段で飛行機に乗れます。今の値段だと往復で2万5000円くらいであり、セールの底値よりは高くつくものの、普通の早割で大人が往復するのと大差ない値段です。そして、この運賃は搭乗当日まで予約が可能なので、急な予定でもこの運賃に空きがある限り対応可能です。問題は空きがあるかどうかですが、3連休が絡んでいるような場合でなければ、実感値としてはほぼ大丈夫です。

 次に、子どもの一人旅の条件ですが、大まかには次のような感じです。

・子の年齢が6歳以上であること(年齢ベースです。学年ベースではないので、幼稚園や保育園の年長クラスで誕生日を迎えていればOK)
・出発空港に保護者が同伴し、搭乗口まで送り届けた上、離陸まで空港で待機すること
・出発の1時間前にはチェックインし、搭乗口では優先搭乗に間に合うようにすること
・引き返しや目的地変更の可能性があるなどの運行条件が付いていないこと
・到着空港に保護者が待機し、到着口で子と合流すること

 この条件を満たすと、搭乗口から降機までは客室乗務員さんが、降機から到着口までは地上係員さんが、子どもを完全エスコートしてくれます。このエスコートが飛行機の安心できるところです。新幹線で同じことをやろうと思うと、乗車駅で乗るところを見届けるのと、降車駅のホームで待ち受けることはできますが、入場券では車両内に入れないので、指定された座席にきちんと座れるかどうか、降車駅できちんとドアの前まで来られるかどうかといったところはサポートできませんし、何より途中駅で間違って降りてしまうリスクがどうしても残ってしまいます。

 また、2023年現在、羽田福岡線ではANAの一部機材とJALのほとんどの機材に個人用モニターがついているので、モニター付きの機材を選んで予約すると、子どもが機内で退屈する可能性がかなり下がります。ただし、個人用モニターのメニュー表示などは漢字で、ふりがなもないため、操作の仕方については事前に教えておく必要があります(何となく操作できてしまうものではあるので、それほど神経質にならなくてもいいでしょうが、最初に「日本語」を選択してタップするといったあたりは、漢字が全く分からない状態だと少し辛いかもしれません)。

 予約の仕方ですが、ANA・JALともに予約自体はウェブで可能です。子どもでもマイレージ会員になれるので、後で予約を確認したりする便宜を考えると、子ども名義でマイレージ会員になっておき、ログインして操作するのが便利です。その上で、ANAの場合は予約後に引き続きジュニアパイロットを申し込み、JALの場合も保護者の名前や電話番号などをウェブから登録してサポートを申し込みます。

 ただし、予約時に子どもの年齢が5歳で、搭乗時に6歳となる場合、JALのウェブサイトでマイレージにログインした状態では、6歳未満と判定されて、子どもだけの予約はできませんでした。ログインせずに一般で予約してから予約をマイレージに紐付ければ問題なかったので、予約システム上の制約が実際の規則に合っていなかったようです。

 座席の事前登録もできます(強く推奨)。基本的にはなるべく後ろの列の通路側を指定するのがよいようです(後方を選ぶのは、CAさんが最後尾に必ずいるためです。通路側を選ぶのは、機内でトイレに行きやすくするためです。子どもにとっては着陸のためのシートベルトサインの時間を読んでトイレに行くのは難しいものですが、経験上、シートベルトサインが出る前のタイミングで、CAさんがトイレに誘導してくれるようです)。ただ、修学旅行と重なったりすると後方の座席が団体予約で満席ということがあり、この場合は、なるべく客室乗務員席に近い列(ドアの近くであることが多い)の通路側を指定するとよいようです。ただ、具体的にどの席がそうなのかは一般人には見分けがつきにくいので、このような場合は電話をかけて確認するなどするとよいと思います。

 当日は、ANAの場合は、「申込書・同意書」を印刷して空港に持参することが推奨されています(持参しなかった場合空港で書く)。JALの場合は、オンラインで連絡先などを記載している場合、予約が確認できるもの(eチケット控えや、マイレージ番号)があればOKです。両社とも空港のSpecial Assistanceカウンターが使えるので、そこで残りの手続をします。ANAは出発の30分前までに手続するよう案内されており、JALは1時間前にカウンターに来るよう案内されています。実際の搭乗は優先搭乗枠になるので、出発の30分前にゲートについておくイメージで行動するのがよく、手続や保安検査にかかる時間、トイレに立ち寄る余裕などを考えると、1時間前くらいには空港に着いておきたいところです。

 搭乗手続の際、付き添いの保護者が制限区域に入るためのチケットがあわせて発行されます。これは搭乗券ではありませんが、これがないと保安検査を通過させてもらえません。また、見送った後は保安検査場を逆流する形で制限区域外に戻ることになります(羽田のターミナル1はそのまま到着口につながる階段を降りれば外に出られますが、ターミナル2や福岡空港は乗降の動線が完全分離されているので、逆流する以外に制限エリア外に戻る方法はありません)。その際にこのチケットを保安検査場の係員に渡すことになるので、それまでの間、なくさないように注意が必要です。

 優先搭乗開始時点でゲートに到着していれば、あとは座席まで案内してもらえます。搭乗前にトイレに行っておきましょう。

 搭乗後は、飛行機が離陸するまで空港内で待機することになります。離陸できずに欠航した場合に出迎えなければいけないためです。ただ、羽田空港の場合、乗った飛行機が実際に離陸したのかどうかを目視で確認するのは難しいので、航空会社の運行情報や、FlighAwareのアプリなどでチェックするのが現実的でしょう。感覚的にはドアが閉まって20分以内には離陸していることが多いですが、混雑時は30分以上かかることもあります。

 続いて、お迎え側はというと、到着口で待っていると係員の人が子どもを連れてきてくれます。基本的には最後に降機するようなので、同じ便の人が全部降りた後、回転台で荷物が回り始める前くらいに出てくる感じです。なお、荷物を預けている場合は、当然ながら受け取った後で到着口に出てきます。

 福岡空港の場合、到着口が北と南の2か所あるので、到着便がどちらに着くかを確認して、その到着口にいればOKです。基本的に最後に降りてくるので、手荷物を預けていなければ、乗客がどんどん出てくるのが終わるあたりで地上係員さんにつれられて出てきます。

羽田空港の場合、第1ターミナルも第2ターミナルも出口がたくさんあるので、出てくる出口を間違わないようにする必要があります。

第1ターミナルの場合は、スターフライヤーだと2番、JALで南ウイングだと3番、JALで北ウイングだと6番、スカイマークだと7番の出口で、それぞれ各社の看板が設置されています。第1ターミナルの出口は1つ1つが離れているので、間違わないようにする必要が高いです。

 

第2ターミナルの場合は、北ウイング到着だと2番、南ウイング到着だと5番の出口がミーティングポイントで、これは各社共通です。第2ターミナルは、北ウイングも南ウイングも3つの出口が割と近接しているので、北と南さえ間違わなければ何とかなりそうな感じで、難易度は第1ターミナルより低めです。

到着口で子どもと合流したら、一人旅は終了になります。

ということで、至れり尽くせりではあるのですが、やはり子どもを1人で飛行機に乗せるのは心配だ、という方もいらっしゃると思います。私自身は、子どものときに一人旅で飛行機に乗った思い出はとてもよいものとして記憶に残っていたので、それほど心配せずに子どもにも同じ体験をしてもらうことにしました。結果的にもよい思い出になったようです。ただ、この辺は、親の教育方針や子の気質にもよるところだと思うので、適する場面があればそういう選択肢もある、という話だと思います。