「チャペック兄弟と子どもの世界」展の会期最終日に滑り込みで行って来ました。
松濤美術館に行くのは初めてです。
 
このころ、5月末に試験を控えて、もろもろの鑑賞の余裕がありませんでした。
ですが、この日は声楽の個人レッスンを受けて、少し身体の中にパワーが巡ってきたので、発作的に美術館に行ってしまいました。
 
ともあれ、行ってしまってよかった!!
チャペック兄弟展には行きたかったですし。
可愛いこと間違いなし!と思って。
はたして、そのとおりでした。
 
 
 
この美術館自体が閑静な場所にある素敵な建物なので、それだけでも気分がウキウキします。
 
兄のヨゼフは画家、弟のカレルは文筆家なので、共同制作の戯曲が多いとはいっても、観る展示としてはヨゼフの作品が中心です。
 
「ロボット」という言葉はてっきりカレルがつくったと思っていましたが、ヨゼフが発した言葉からだったのですね。
初めて知りました。
 
あくまでこの展示を観た限りですが、
ヨゼフの作風がキュビスムだったこともあるのか、
初期のものは、子供が描かれたものでも、顔の輪郭のみで目鼻立ちが描かれておらず、デザイン的という感じ。
おもしろいけれど、温かみが薄いというか。
 
ところが、ある時点から目鼻立ちが描かれてくるのです。
ここから、がぜん可愛くなってきます。
ヨゼフに娘さんが生まれたからかしら。
絵本の挿絵を描くようになったからかしら。
 
ふと感じた、「ヨゼフってキュビスムか可愛い絵しか描けないのかしら」(←失礼アセアセ)という疑惑!?を払拭したのは、
動物や魚やトカゲを写実的にささっと描いたパステル画のスケッチでした。
デッサンあっての、あの絵画や挿絵なのですね。
デッサン力があるのはプロの画家としては当たり前かもしれないけれど、一目でわかるので、こういう展示もあって良かったと思います。
 
犬のダーシェンカとか、「こいぬとこねこ~」の絵本とか、とっても癒されます。
温かみとユーモアを感じます。
 
こちらはドビュッシー作曲のバレエ「おもちゃ箱」の舞台セットと衣装です。
ここは撮影可。
 
クリアファイルはもっと鮮やかな色合いのものもいくつかあったのですが、このモノクロな感じがなんとも可愛くて、一目惚れしました。
 
チャペック兄弟は、ナチスに目をつけられて、ユダヤ人ではないのに兄ヨゼフは強制収容所に入れられて行方不明となっています。(たしか展示中にそう書かれていたと思います)
Wikipediaなどのサイトでは1945年4月、収容所にて死亡とあり、
ヨゼフがいたベルゲン・ベルゼン収容所が解放されたのは、同じ1945年4月です。
弟カレルはナチスに踏み込まれたときには、すでに4か月前に肺炎で病死していたので、難をまぬがれたと言えるのかもしれません。
 
温かい気持ち、優しい気持ちを貫いて生きることって、とてつもない闘いなのだな、と、そう思わざるをえません。
 
展示はとっても癒されますラブラブ
 
松濤美術館の展示は終わってしまいましたが、7月1日から芦屋市立美術博物館で展示されるということです。