今日は過去の話から
それは人形を集めることだ。
小さい頃から人形遊びが大好きだった。
胸のボタンを押すと喋り出すチャコちゃん人形は「ぞうさんのお鼻はどうして長いの?」なんて質問してきた。
誕生日にリカちゃんのママとわたる君人形をプレゼントしてもらった時のことは一生忘れない。
大人になった私は、ある日何気なく見ていたヤフオクで運命的な出会いをしてしまった。
それは今までに見たことの無い非常にリアルな人形だった。
リー・ミドルトン・ドールである。
とにかく表情が可愛い。
独身の時なら出会うことはなかったかもしれない。
このリアルな人形に出会ったのは、結婚して3年目くらいの頃〜もう子供を諦めた時期だったと思う。
たまらなく欲しくなった。
子供の時のように純粋な気持ちではなかったかもしれない。
時々溢れ出す、赤ちゃんが抱きたいという感情を、この人形が何とかしてくれるかもしれない。
私は取り憑かれたようにリボーンドールを買いあさった。
そしてよりリアルな人形を見つけては手に入れたくなった。
シリコンのプニュプニュな感触、植毛された頭、血管まで再現した肌のペイント。
海外の作家さんによるリボーンドールはその精巧さに驚くばかりだ。
そのうち人形が趣味の人達に出会う。
本当に趣味としている人達の世界は半端ない。
ひと部屋まるごと人形で埋め尽くされ、調度品も素晴らしい。
送られてくる画像からお金持ち感が漂ってくる。
取り憑かれた私は、簡単には手が届かない値段のビスクドールも欲しくなった。
展示販売会で衝動買いしたこともある。
いつのまにかマンションの和室が人形部屋になって行った。
もともと人形が好きと伝えてあったので、夫も最初のうちは可愛いねと言ってくれていた。
しかし、どんどん増え続けるリアルな人形に夫は何も言わなくなった。
不気味さを感じていたことだろう。
10㎝くらいの小さなものを含め、2年ほどの間に100体くらいの人形で和室の片隅が埋まった。
どの位の散財だったろう?
100万は使ったと思う。
今その人形たちは、引っ越しを機にダンボールに入れたままだ。
20体ほど手放したが、もう全てを出して飾ることはないと思う。
心が少し寂しかった頃の私の支えとなってくれた人形たち。
金額云々ではないと思いたい。
